母子家庭・父子家庭の保障を考える前提条件として、支援制度のことを知っておきましょう。

夫婦世帯で、夫婦のどちらかが亡くなると、母子家庭・父子家庭といったひとり親家庭になります。

そうなったときに、生活費がどのくらい必要で、収入がどのくらいあるか、をもとに生命保険(=死亡保険)の保険金額を決めます。

ひとり親家庭の収入を把握するときに、母子家庭・父子家庭向けの手当などの支援制度を、押さえておきたいです。

支援制度はたくさんあって、しかも一つ一つが複雑

ひとり親家庭向けの支援制度はたくさんあります。

たくさんあるのはありがたいことですが、まぎらわしさもあります。

たとえば、制度の名称は似ているけど中身が違っていたり、同じ目的の制度だけど受給できる要件が少しずつ違っていたり、同じ制度でも住んでいる地域によって微妙に違っていたり・・・

これらの制度の多くは、受け取る条件を充たしていても、申請しないと支給を受けられません。

また、申請の漏れに気がついても、過去にもらえたはずの分をさかのぼってもらえないものが多いです。

どのような支援制度があるのかを、くれぐれも、もれなく押さえておきましょう。

参考までに、おもな手当や支援制度を、以下にまとめました。

ただし、都道府県や市町村が独自に設けている支援制度があります。お住いの役所の窓口でご確認ください。

手当(お金が定期的に出る)

《児童扶養手当》と《児童手当》は、国の制度です。それ以外は、市町村など地方自治体の制度です。

手当 対象
児童扶養手当 ひとり親家庭の0〜18歳までの子ども
児童手当 0歳〜15歳の国内に住所がある子ども
地方自治体の手当 地方自治体によって異なる
住宅手当 賃貸住宅に居住するひとり親家庭(詳細は自治体による)

ご覧のように、子どもの養育のための制度が多いです。

それぞれの詳細は、下で説明します。

手当以外の支援制度

制度 概要
医療費助成 医療費無料、薬代自己負担ゼロ等(自治体による)
自立支援教育訓練給付金 教育訓練費用の60%相当額の助成
高等職業訓練促進給付金 最大月額100,000円
寡婦控除 27万円または35万円の所得控除
遺族年金 老齢年金受給までの、遺族向けの年金

利用できるかもしれないその他の支援制度

ひとり親家庭向けではないけれど、利用できるかもしれない制度です。

地方自治体によっては、ないかもしれませんし(逆に、その地域独自の制度があるかも)、制度の内容も異なります。

制度 概要
生活保護 生活に困っている世帯への、生活の保障と支援。
国民健康保険料の減免 国民健康保険料を2~10割減免
上下水道料金の割引 地方自治体によって異なる
粗大ごみの手数料減免 地方自治体によって異なる
保育料の減免 地方自治体によって異なる
交通機関の割引制度 地方自治体によって異なる

以下で、それぞれの制度について、補足説明します。

児童扶養手当は、支給条件も、支給額の決まり方も複雑です。

児童扶養手当は国の制度です。

よって、支給要件や支給額は、全国どこでも一律です。

児童扶養手当をもらうための条件(支給要件)

ひとり親になった原因が、細かく定められています。

両親の離婚や死別はもちろんですが、それを含めて、子どもが以下の9つのいずれかに当てはまると、手当の対象になります。

  • 父母が離婚(事実婚の解消を含む)した後、父又は母と生計を同じくしていない児童
  • 父又は母が死亡した児童
  • 父又は母が政令で定める障害の状態にある児童
  • 父又は母から1年以上遺棄されている児童
  • 父又は母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
  • 父又は母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童
  • 船舶や飛行機の事故等により、父又は母の生死が3か月以上明らかでない児童
  • 婚姻(事実婚を含む)によらないで生まれた児童(事実婚とは、婚姻届を提出していない男女の間に社会通念上夫婦としての共同生活と認められる事実関係が存在することをいいます。)
  • 棄児などで、母が児童を懐胎した当時の事情が不明である児童

そのうえで、そらに次の条件のすべてを充たす必要があります。

  • 子どもの18歳の誕生日以後の、最初の3月31日を過ぎていないこと(心身に一定の障害のあるときは20歳未満)。
  • 子どもの住所が日本国内である。
  • 子ども児童福祉施設等(母子生活支援施設などを除く)に入所していない。
  • 親が再婚(事実婚を含む)し、子どもを養育していない。

条件が多くて、まぎらわしいです。

児童扶養手当の支給

児童扶養手当の支給額は、物価スライド制になっていて、要するに毎年変動します。大きく変動するわけではありませんが。

支給額が決める手順も、かなりややこしいです。

児童扶養手当の所得制限

親の収入によって、支給額が変わります。《所得制限》という仕組みです。

支給額は、《全部支給》と《一部支給》の2段階あります。名称のとおり、《全額支給》の方が多いです。

ここでは、《所得制限》のイメージをつかんでいただくために、親の収入についての要件だけを記載します。

実際の仕組みはもってと複雑です。

ちなみに、下表の〈扶養人数〉と〈所得〉は、前年の実績です。

被扶養者の数 父または母の所得
0人
  • 全部支給(〜490,000円)
  • 一部支給(〜1,920,000円)
1人
  • 全部支給(〜570,000(870,000円)
  • 一部支給(〜2,300,000円)
2人
  • 全部支給(〜950,000(1,250,000円)
  • 一部支給(〜2,680,000円)
3人
  • 全部支給(〜1,330,000(1,630,000円)
  • 一部支給(〜3,060,000円)
4人
  • 全部支給(〜1,710,000(2,010,000円)
  • 一部支給(〜3,440,000円)
5人
  • 全部支給(〜2,090,000(2,390,000円)
  • 一部支給(〜3,820,000円)

〈被扶養者の数〉は、子どもだけでなく、世帯のすべての被扶養者の人数です。

また、親が離婚して、養育費を受け取っているときは、それも所得に含めます(税金の計算とは異なります)。

この他に、親の実家で扶養されているケースでは、実家の収入にも《所得制限》が設けられています。実家以外で扶養されているときも同じです。 これらの金額は、上表では割愛しています。

当てはまりそうなときは、居住する市町村のウェブサイトか窓口でご確認ください。

全部支給と一部支給の金額

子どもの人数によって、《全部支給》と《一部支給》の金額は異なります。

子どもの数 全部支給 一部支給
1人の金額 42,910円 10,120円 
~42,900円
2人目の加算額 10,140円 5,070円 
~10,130円
3人目以降の加算額 6,080円 3,040円 
~6,070円

子どもの人数をもとに、上の表に則って計算します。

児童手当は、児童扶養手当と名称が似ていますが、ひとり親家庭向けの支援制度ではありません。

児童手当は、中学校卒業までの子どもを養育する、すべて親に支給されます。

ひとり親家庭向けの支援制度ではありませんが、児童扶養手当と混同しやすいので、ここで説明します。

児童手当をもらうための条件(支給要件)

児童手当の支給要件は単純です。

中学3年生(15歳に達する日以後の最初の3月31日)までの、国内に住所がある児童を養育している父母等に支給されます。

ひとり親家庭のときは、もちろん、子どもを養育している親に、支給されます。

児童手当の支給

児童手当にも、児童扶養手当と同じように、《所得制限》があります。

被扶養者の数 所得制限
0人 〜622万円
1人 〜660万円
2人 〜698万円
3人 〜736万円
4人 〜774万円
5人 〜812万円

所得制限未満か以上かで、支給される金額が異なります。

また、児童手当の金額は、子どもの年齢によって分かれています。

下表にまとめました。金額は1ヵ月あたりです。

年齢 所得制限未満 所得制限以上
0~3歳未満 15,000円 5,000円
3歳~小学校修了前 第1子・第2子10,000円
第3子以降15,000円
5,000円
中学生 10,000円 5,000円

ちなみに、所得制限以上の5,000円の支給は、当分の間の特例措置です。そのうち廃止される予定のようです。

居住する地方自治体によって異なる支援制度があります。市町村窓口などで、よく確認しましょう。

ほとんどの市町村で、同じような支援制度をおこなっています。

ただし、ルールの細かいところは、地方自治体によって異なります。また、一部の地方自治体で実施されていない支援制度もあります。

市町村などの地方自治体のウェブサイトや窓口で、制度の有無や内容をご確認ください。

地方自治体の手当

市町村などの地方自治体によっては、児童扶養手当のような、ひとり親家庭向けの支援制度を、独自に設けています。

制度の名称はいろいろですが、《遺児手当》とか《災害遺児手当》とか《児童育成手当》というような名称で、国の制度と同じように、定額の給付を受けることができます。

ひとり親家庭向けの住宅手当

よく目にするのが、賃貸住宅に住んでいるひとり親家庭に、家賃の一部を助成する制度です。

助成する制度はないかわりに、公営住宅の入居条件の中で、ひとり親家庭を優遇する市町村が多いようです。

医療費助成制度

ひとり親家庭への医療費助成は、多くの地方自治体が実施しています。

もともと、医療負担は、健康保険などの公的医療保険によって軽減されます。それでも、自己負担は残ります(実際にかかった費用の1〜3割)。

その自己負担分の全部または一部を、地方自治体が助成する、という方式が多数派です。

自立支援給付金

ひとり親家庭の、経済的な自立を応援する制度です。

自立支援給付金は、具体的には、以下の3つの給付金に分かれます。

  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金
  • 高等職業訓練修了支援給付金

自立支援教育訓練給付金は、児童扶養手当の支給を受けているひとり親家庭の母親または父親に、資格取得のために教育訓練機関に支払った費用の60%を、助成する給付金です。

高等職業訓練促進給付金は、看護師や介護福祉士等の資格取得のために、1年以上養成機関で修業する場合に、修業期間中の生活の負担軽減のために支給されます。

あわせて、入学時の負担軽減のため、高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。

いずれも国(厚生労働省)の制度ですが、窓口は都道府県となっています。

ただし、居住している都道府県によっては制度が実施されていないことがあります。

寡婦控除

法律上の寡婦の条件を充たすと、一定の金額を所得から控除できます。その分、納税額を減らすことができます。

寡婦控除の制度は、3つの控除に分けられます。( )の数字が、控除できる金額です。

  • 寡婦控除(所得税27万円、住民税26万円)
  • 特別寡婦控除(所得税35万円、住民税30万円)
  • 寡夫控除(所得税27万円、住民税26万円)

以下のいずれかに当てはまる女性は、〈寡婦控除〉を受けることができます。そして、すべての条件に当てはまると、〈特別寡婦控除〉の対象となり、控除できる金額が増えます。

  • 夫と死別した後に婚姻をしていない、夫と離婚した後に婚姻をしていない、または夫の生死不明の状況で、子どもや扶養親族を養っている女性。
  • 夫と死別した後に婚姻をしていない、または、夫の生死不明の状況で、合計所得金額が500万円以下のに女性。

また、上の条件の〈妻〉と〈夫〉を入れ替えた条件の全てに当てはまる男性は、〈寡夫控除〉を受けることができます。

遺族年金

国民年金や厚生年金のような公的年金制度の中に、遺族年金があります。

国民年金や厚生年金など老齢年金の開始前に、世帯主(=公的年金の被保険者)が亡くなったときに、老齢年金の開始までの期間、遺族年金が出ます。

遺族年金を受けるには保険料の納付要件があります。

  • 年金保険料納付済期間と年金保険料免除期間が、年金に加入していた期間の3分の2以上であること。
  • 死亡時の年齢が65歳未満の場合、死亡日の前日において死亡月の前々月までの1年間に未納期間がないこと。

保険料が未納となっている場合は、その期間によって遺族年金が給付されない恐れがあります。

学生であったり、生活資金の不足などから年金保険料を支払えないときは、免除制度を利用し未納期間が生じないようにしましょう。

受け取ることのできる遺族年金など

遺族年金は、加入している年金によって、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類にわけられます。

亡くなった人の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の年金が支給されます。

亡くなった人 受給できる人 支給されるもの
国民年金加入者 18歳未満の子がいる妻 遺族基礎年金
国民年金加入者 子のいない妻 死亡一時金
寡婦年金
厚生年金
共済年金加入者
18歳未満の子がいる妻 遺族基礎年金
遺族厚生年金
厚生年金
共済年金加入者
子の無い妻(40歳未満) 遺族厚生年金
厚生年金
共済年金加入者
子の無い妻(40歳〜65歳) 遺族厚生年金
中高年齢寡婦加算

表のそれぞれの項目について、以下で補足説明します。

遺族基礎年金

国民年金に25年以上加入していた人が死亡した場合、その人に生計を維持されていた子(18歳未満。または、障害等級1、2級を持つ場合は20歳未満の未婚の子)、または子のある配偶者に支給されます。

遺族基礎年金の支給額は、平成30年度現在で年間77万9300円+子の加算額(1〜2人目は年額22万4300円、3人目以降は7万4800円)です。

子どもが18歳になった年度の終わり(=3月末)まで受け取ることができます。

死亡一時金・寡婦年金

寡婦年金は、60歳から65歳未満の妻が、自分自身の老齢年金が開始になる65歳までの間、夫が受け取るはずであった国民基礎年金の4分の3を受ける制度です。

寡婦年金を受け取るには、婚姻期間が10年以上あることが条件です。

寡婦年金に加えて、死亡一時金が生計を同一にしていた遺族に支給されます。

死亡者の保険料納付済期間などが36ヶ月以上あることが条件です。

支給額はその期間に応じて12万円~32万円の範囲です。

遺族厚生年金

会社員や公務員などは、遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金も受け取ることができます。

年金が二重になることで、金額が増えるだけでなく、遺族厚生年金のおかげで、受給できる人の範囲が広がります。

遺族基礎年金の受給対象は、子どもがいることを前提として、子ども本人かその親でした。つまり、子どものための年金という意味合いが強いです。

遺族厚生年金の場合、生計維持の関係にあった妻、または55歳以上の夫、父母、祖父母等も、それぞれが受給資格を持っています。

また、子どものいない妻は、遺族厚生年金の金額が少ないですが、それを補うために、40〜65歳の間中高齢寡婦加算があります。

その他にも、ひとり親家庭であることが利用条件になっている制度が、いくつもあります。

ひとり親家庭を直接の対象とした制度ではありませんが、児童扶養手当の受給者であることが利用条件になっている制度が、いくつもあります。

以下で制度の概要をご案内しますが、地方自治体によって内容や要件が異なります。具体的なことは、お住いの市町村の役所のウェブサイトや窓口でご確認ください。

制度 概要
生活保護 病気等の理由で働けないときや、働いていても収入が少ないときに利用可能です。最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。地方自治体によっては、母子家庭の加算があります。
国民健康保険料の減免 国民健康保険料は、前年度の世帯収入から算定されますが、ひとり親家庭になって収入が減少したら、保険料が減額されます。
上下水道料金の割引 生活保護の受給者や児童扶養手当の受給者に、上下水道料金の減免をやっています。
粗大ごみの手数料減免 児童扶養手当の受給対象者に、粗大ごみの処理にかかる手数料を減免しています。
保育料の減免 保育料は、前年度の世帯収入をもとに決まりますが、年度の途中にひとり親家庭になって、収入が減少したときは、次月以降の保育料を減額してもらえます。
交通機関の割引 証明書を提示すると、JRの通勤定期券や公営地下鉄・バスの運賃が割引になります。

これらの制度の多くは、こちらから申請しないと利用できません。

ただし、ほとんどは市町村の役所が窓口なので、利用できる手当・支援制度の漏れがないかを、しっかり確認しましょう。

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