子育てにかかる費用と教育資金、それを準備する方法について、ご案内します。

このページでは、以下のことを、ご説明・ご案内しています。

子どもを育てるためにかかる費用

養育費教育費の2つがあります。

教育費は、学費やそれに関連する費用です。養育費は、教育費以外の、生活にかかる費用の全般です。

誕生~22歳までの養育費は約1,700万円

養育費というのは、生活にかかる費用のうち、教育費を除いたすべての費用です。たとえば、食費、衣料費、おもちゃ・文具・書籍などの代金、保育園の費用などなどです。

平均的な養育費がいくらかかるか調べましたが、見つかったのはAIU保険『AIUの現代子育て経済考2005』でした。
これによると、子どもが経済的に自立するまでの、22年間にかかる養育費は、約1,640万円とのことです。

信頼性の高いデータのようで、あちこちに引用されていますが、10年以上前というのは古く感じます。
そこで、2005年当時と昨年(2016年)の物価の違いをもとに、金額を修正したのが、下表です。

出産・育児 938,000円
食費 6,978,000円
衣料費 1,454,000円
保険医療・理美容 1,990,000円
こづかい 4,650,000円
文具・日用品等 959,000円
合計 16,969,000円

2005年より、2016年の方が物価が上がっています。2016年時点での、子どもの養育費は約1,700万円となります。

教育費はコースによって大きな差

幼稚園~高校の学費と、大学の学費を、分けてご覧いただきます。

幼稚園~高校の学費

公立を選ぶか、私立を選ぶかで、金額に差が出ます。
幼稚園から高校まで、公立と私立の組み合わせ方は16通りありますが、ここでは、すべて公立のとき(=最安値)と、すべて私立のとき(=最高値)の学費を、算出しました。

幼稚園または学校に支払う、学校教育費と学校給食費の合計です。文部科学省『子どもの学習費調査』(平成26年)からの引用です。

すべて公立 5,230,911円
すべて私立 17,699,263円

1,200万円以上の差がつきました。

大学の学費

高校卒業後に進学したときの、卒業までに必要な学費の総計を、コース別に調べました。日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査結果』(平成28年)からの引用です。

高専・専修・各種学校 3,047,000円
私立短大 3,909,000円
国公立大 4,849,000円
私大文系 6,951,000円
私大理系 8,797,000円

なお、私大理系は、学部学科による学費の差が大きいです。たとえば医学部だと・・・

大学 総額費
国際医療福祉大学 1,850万円
順天堂大学 2,080万円
慶應大学 2,160万円
東北医科薬科大学 3,400万円
岩手医科大学 3,440万円
帝京大学 3,750万円
川崎医科大学 4,720万円

読売新聞2017年1月の記事から引用しました。川崎医科大学が、国内最高額だそうです。

私大医学部は、金額も大きいですし、大学間の格差も大きいです。こうなると、一般論として学費を論じることは難しいので、この記事の検討対象から外します。

最低限確保したいのは約1,580万円

公立、私立のどちらを選ぶか、さらに大学では文系と理系のどちらを選ぶかによって、教育費は大きく変化します。

理想は、どのような進路を選んでも、対応できるように準備することです。
ということは、幼稚園~高校まですべて私立を選び、かつ私大理系に進学しても、学費を支払える準備をしたいです。上の金額をもとにすると、2,650万円になります。

しかし、すべての家庭が、この金額を準備しなければならない、というのは、現実的ではないかもしれません。
というか、子どもをぜひ私立学校に通わせたい、と望んでいない家庭にとっては、バカバカしく感じられるかもしれません。

そのように感じる方は、ひとまずの目標として、以下の金額を想定しては、いかがでしょうか。

コース 費用
幼稚園(公立) 634,881円
小学校(公立) 1,924,383円
中学校(公立) 1,444,824円
高校(私立) 2,973,792円
大学(私立理系) 8,797,000円
合計 15,774,880円

上の数字を、想定の金額としていただきたい理由は、以下です。

  • 幼稚園~中学校は、希望すれば公立に進める。
  • 公立高校受験に失敗して、私立高校に進む可能性がある。
  • 子どもが、私大理系を希望するかもしれない。

教育費をできるだけ抑えたい、という立場からすると、私立学校に進学するのが想定外の出来事になります。そして、想定外に私立学校に進学する可能性が高いのは、高校と大学です。

この2つの想定外が起こっても、資金を調達できる準備をしておきたいです。

養育費+教育費で約3,280万円

というわけで、大学卒業まで22年間子どもを育てるのにかかる費用は、以下のようになります。

養育費 約1,700万円
教育費 約1,580万円
合計 約3,280万円
子どもを一人育てるのに、3000万円以上を覚悟しておきたいですね。

教育費の準備に取り組むなら、まず大学の学費から検討しましょう。

子ども1人当たりの養育費+教育費の目安として、約3,280万円という金額を上げました。

この金額は、22年間かけての出費の累計です。
そして、日々の生活費の一部として生じる出費と、一時的なまとまった出費(入学金とか)に分かれます。

まず、大学の学費をどうするか

結婚あるいは妊娠のタイミングで、子どもにかかる費用の準備について、検討を始めるとしたら、まずは大学の学費の確保から考えたいです。

というのは、結婚または妊娠の時点で、世帯の月々の収入は、ある程度固まっています。
そこから、月々の収入を大幅に増やす方法は限られるでしょうし、簡単には見つからないでしょう。
収入を増やす努力・工夫をしつつ、一方で、使えるお金の範囲でのやりくりを頑張る、ということになりそうです。

その一方、将来のまとまった出費に向けて、計画的に資金を準備する方法は、いくつもありますし、実施可能です。

となると、大学の学費が、まず検討対象となります。何しろ、1年ごとの負担額では、大学の4年間が大きくなりやすいです。

図は、幼稚園~大学卒業までの、1年後の学費を表しています。
グラフの、幼稚園~中学の金額は、公立学校の学費です。そして、高校と大学の学費は、国公立・私立を含めた、全体平均です。

幼稚園から大学卒業までの、1年ごとの学費の変化のグラフ

大学の学費が飛び抜けて大きくなっています。

大学が最終学歴ですから、これの学費の目どが立っていなければ、子どもを導こうにも、方向が定まりません。
子どもの進路について、できるだけ広い選択肢を提供できるように、しっかり準備しておきたいです。

教育資金は、できるだけ安全確実な方法で準備したいです。

お金を貯めて増やす方法はいろいろあります。
大学の学費の準備方法を検討するうえで、次の条件に頭に置いていただきたいです。

  • 18年間で貯める。
  • 大学の学費として、できれば900万円、少なくとも500万円以上を準備したい。
  • できるだけ、安全確実な方法でお金を貯める。

できれば900万円、少なくとも500万円以上

900万円は、上でご案内した私大理系の平均の学費です。
500万円というのは、国公立大学の学費に相当する金額です。準備額としては、心細いです。

もし学費を手持ちの資金でまかなえなければ、奨学金や教育ローンなどを利用するかもしれません。
そのときでも、借入額をできるだけ抑えたいので、500万円くらいは準備しておきたいです。

2017年5月現在、与党では、大学無償化の検討が具体化しています。反対の声が大きいようなので、無償化が実現されるかは、わかりません。それでも、大学の学費負担が、将来的に軽減される期待は、けっこう大きいです。
お気楽な予測ですが、十数年後には、500万円で案外全額をカバーできてしまうかもしれません。

できるだけ、安全確実な方法で

長く低金利が続いています。利回りの良い運用手段に目が行ってしまいますが、それらはリスクを伴います。

学費は、将来確実に発生し、必要になる時期も決まっている支出です。判断ミスや手違いで間に合わない、という事態は避けたいです。

安全性の高いお金を貯め方は、下でご案内します。

教育資金を、安全確実に準備する5つの方法を、具体的にご案内します。

安全性の高いお金の貯め方には、以下のような方法があります。

  • 自動積立定期預金(銀行、郵便局)
  • 財形貯蓄(勤務先がやっていれば)
  • ネット銀行の定期預金
  • 投資信託(元本割れのリスクがある)
  • 学資保険などの貯蓄型保険

安全性重視なので、投資信託を除くと、高利回りな金融商品はありません。

安全確実という意味で、投資信託をここに含めるべきではないかもしれません。
ただ、投資信託の中に、わりと安全性の高い商品があるのは事実なので、投資信託をわかっている人なら、選択肢に入るでしょう。

自動積立定期預金(銀行、郵便局)

毎月、定期預金口座に、自動的にお金を積み立てる預金です。銀行や郵便局で取り扱っています。

給与等の振込口座から、毎月一定額を積み立てていく、というのが基本形です。
ただし、それ以外の積立方法も、用意されています。メニューは、銀行によっていろいろです。

自動積立定期預金口座の仕組み

2017年5月現在で、主要大手銀行の金利は0.01%です。利回りの魅力はゼロに近いです。タンス預金と大差ありません。

ただし、自動的に積み立てができるので、お金を貯めるのが苦手な人には、有用かもしれません。

財形貯蓄(勤務先)

会社員や公務員で、勤務先が実施しているときに限り、利用できる貯蓄です。

給与から一定額が天引きされて、自動的に貯蓄される仕組みです。

勤務先が運営しているように見えますが、勤務先は給与から天引きしたお金を、提携している金融機関に送金しています。運用は、その金融機関がやっています。

金融機関にとっては、集金の手間が省けるので、その分財形貯蓄の利回りは高めに設定されていました。

しかし、2017年現在、主要な金融機関の財形貯蓄の金利は0.01%で、上の自動積立定期預金と同じです。
低金利、マイナス金利の影響は、こんなところにも表れています。

ネット銀行の定期預金

ネット銀行は、実店舗を持たないので、一般の銀行より経営コストがかかりません。その分、金利を高くすることができます。

ネット銀行というと、怪しく思われるかもしれませんが、大手企業系列の銀行が大半です。
参考までに、2017年5月現在の、定期預金の金利をご案内します。

イオン銀行
1年定期 0.10%
2年定期 0.10%
3年定期 0.10%
新生銀行
1年定期 0.05%
2年定期 0.02%
3年定期 0.02%
ソニー銀行
1年定期 0.05%
2年定期 0.02%
3年定期 0.02%
住信SBIネット銀行
1年定期 0.02%
2年定期 0.02%
3年定期 0.02%
じぶん銀行
1年定期 0.20%
2年定期 0.03%
3年定期 0.03%
SBJ銀行
1年定期 0.20%
2年定期 0.25%
3年定期 0.30%
東京スター銀行
1年定期 0.03%
2年定期 0.03%
3年定期 0.025%
楽天銀行
1年定期 0.03%
2年定期 0.03%
3年定期 0.04%
関西アーバン銀行
1年定期 0.15%
2年定期 0.15%
3年定期 0.15%
大和ネクスト銀行
1年定期 0.10%
2年定期 0.10%
3年定期 0.10%
SMBC信託銀行
1年定期 0.01%
2年定期 0.01%
3年定期
ジャパンネット銀行
1年定期 0.02%
2年定期 0.02%
3年定期 0.02%

銀行によってけっこう差はありますが、上でご案内した自動積立定期預金口座や財形貯蓄よりは、高い金利です。

1~3年ごとに、金利の有利な銀行を渡り歩くことになります。手間はかかりますが、その価値はあります。

投資信託

個人が、株式や債券に投資するには、知識と時間とまとまったお金が必要です。それが出来る人は限られてしまいます。
そこで、投資信託が考え出されました。誰でもが、株式や債券に投資できる仕組みです。

販売会社(証券会社、銀行、郵便局など)が、大勢の投資を希望する消費者から、お金を集めます。消費者一人一人の投資額は少額でも、人数が集まれば、大きな金額になります。

そのお金を、資産運用専門の会社が資産運用します。

投資信託の仕組み

投資信託の注意点は、元本保証がない(投資したお金がもどらないこともある)ということです。資産運用する会社がしくじって、損をしたら、託したお金はもどってきません。

だから、消費者は、資金を預ける先を、しっかり選ばなければなりません。それをできるくらいの知識は必要になります。

投資信託には、たくさんの商品があって、投資の方針とか対象が明記されています。それによって、安全性とか、もうけの期待度とかが違ってきます。

安全性の高い商品を選べば、大きなもうけは期待できませんが、預貯金よりお金を増やせるかもしれません。
ただ、元本が保証されないので、やるとしても、限度を決めて投資しましょう。

学資保険などの貯蓄型保険

教育費の準備ができる保険というと、まずは学資保険です。

それ以外にも、養老保険、生存保険、個人年金保険、低解約返戻金型終身保険などが、貯蓄性のある生命保険です。

これらの中で、学資に使える利回りを期待できるのは、低解約返戻金型終身保険くらいです。
その他は、利回りの点で、一段劣ります。

学資保険と低解約返戻金型終身保険について、以下で説明します。

学資保険の利回りは、安全堅実なお金の貯め方の中では、なかなか優秀です。

子ども向けの生命保険には、いくつか種類があります。学資保険は、教育費の準備を目的とした、貯蓄型保険です。

学資保険の仕組み

一定期間保険料を払い込むと、ある年齢になったら学資金がもらえます。この点では、どの保険会社の学資保険も、ほぼ同じです。

ただし、保険料の払い方や学資金の出方(タイミングとか配分とか)は、商品によって異なります。下図は、よくある2つのパターンです。

学資保険の仕組み例の図

2つの図のうち、上の方では、大学に進学する前年に、学資金全額が出ます。
大学に収める費用は、1年目がもっとも大きくなります。また、学費以外にもお金がかかりがちです。それを考えると、この方式は使いやすいです。
もしお金が余ったら、預貯金に入れておいて、必要なときに使えますし。

図の下の方は、大学在学中、学資金が分割されて出るタイプです。図は5回に分かれていますが、分割の回数はいろいろあります。
このタイプは、お金の使い方が制約されます。しかし、保険会社が資産運用できる期間が長くなるので、利回りは有利になります。

保険の利回りは、返戻率という独特の表し方

学資保険に限らず、貯蓄型保険では、利回りとか金利のかわりに、返戻率(戻り率)という考え方を使います。

よって、他の金融商品を比較するときには、学資保険の返戻率を利回りに変換しないと、優劣を判断できません。ここは面倒くださいです。

さらに、一つの学資保険でも、加入の条件(年齢、性別、学資金を受け取る時期、受け取る回数等)によって、返戻率は異なります。
つまり、見積もりをとらないと、正確な返戻率は分かりません。

学資保険と他の金融商品とを比べるときに、計算を誤って、損な選択をしたらマズいので、保険の専門家を活用したいです。

学資保険の利回りは、安全志向の貯蓄としては良好

では、現在販売されている学資保険の利回りがどの程度なのか、一例をご覧いただきます。

ソニー生命『学資保険II型』で、保険料と返戻率(利回り)をご覧いただきます。
0歳加入、18歳のときに学資金100万円をもらえます。契約者は父親の30歳という設定です。

保険料総額 935,280円
満期額資金 1,000,000円
返戻率 106.9%
年利 0.74%

なお、"年利"は、保険会社では計算してくれません。このサイトで計算しました。

18年間保険料を払い続けて、増えるのは65,000円程度。大したことないようですが、年利にすると0.74%になります。
上でご案内した積立定期預金、財形貯蓄、ネット銀行の定期預金より、ずっと高利回りです。

ちなみに、父親が25歳だとすると、返戻率は107.1%に、年利は0.76%になります。上に書いたように、ちょっと設定を変えると、保険の返戻率(利回り)は変動します。

なお、この見積もりは、便利だけど、返戻率はそんなに高くならないプランです。学資金を分割で受け取るようにすると、返戻率はもっと上がります。

掛け捨ての特約に注意

子どものための保険には、親が亡くなったときの養育費・教育費を準備する育英型、子どもが入院したときの医療費用を準備する医療型、というような保障型保険もあります。
これらは、掛け捨て保険です。貯蓄性はありません。

保障型保険には、それなりの存在意義はありますが、学資の準備には使えません。気をつけてください。

また、学資保険によっては、保障型の特約を用意しているものがあります。保障タイプの特約を付加すると、貯蓄としての利回りは低下するので、注意が必要です。

低解約返戻金型終身保険を使って、学資を準備できます。ただし、2017年現在、貯蓄としての魅力は低下しつつあります。

終身保険は死亡保険です、亡くなったら死亡保険金が出る、という保険です。もともとは、貯蓄のための保険ではありません。

ただし、いつかは必ず死亡保険金を受け取ることができるので、掛け捨て保険ではありません。それで、貯蓄的な性質があります。その性質をうまく活かすと、貯金がわりになります。

そんな終身保険の貯蓄性をパワーアップしたのが、低解約返戻金型終身保険です。
保険料払込期間終了後に解約すると、お金(解約返戻金)が増えてもどってきます。

終身保険を学資に使うときの注意点

学資のために、終身保険に契約する場合、意識したいことが3つあります。

  • 保険料払込期間を、18年以内(10歳、15歳、17歳、18歳など商品によって異なります)に指定する。
  • 被保険者(亡くなったら保険金が出る人)は、家族のうちの、もっとも返戻率が高くなる人にする。
  • 必ず低解約返戻金型終身保険を選び、返戻率を確認して判断する。

終身保険は、学資のため保険ではないので、加入するときに、子ども有無とか年齢は関係ありません。
18年以内に保険料の払込を終了し、解約したときに、少しでもおトクに解約返戻金を受け取れるような入り方をします。

夫婦二人(と子ども)の世帯なら、保険契約の名義は、以下のように指定します。

  • 契約者  ・・・ 父母のうち、実際に保険料を負担する人
  • 被保険者 ・・・ 父母のうち、見積もりをして、高利回りだった人
  • 受取人  ・・・ 契約者と同じ人

低解約返戻金型終身保険の利回りの例

では、現在販売されている低解約返戻金型終身保険の利回りがどの程度なのか、一例をご覧いただきます。

オリックス生命『終身保険ライズ』で、保険料と返戻率(利回り)をご覧いただきます。
保険料払込期間15年、死亡保険金300万円、被保険者が30歳男性の場合の、見積もり例です。

保険料総額 2,373,840円
15年後に解約 2,406,360円
(返戻率101.3%)
(年利0.18%)
20年後に解約 2,476,020円
(返戻率104.3%)

"年利"は、保険会社では計算してくれません。このサイトで計算しました。

保険料払込期間が終了した直後の、15年後の解約だと、返戻率101.3%です。年利に置き換えると0.18%です。
銀行の積立預金や財形貯蓄などに比べると優秀ですが、上の学資保険と比べてかなり低いです。

学資のために終身保険を使うときの返戻率

ちなみに、図のように、保険料払込期間が終わっても、すぐに解約しないで放置しておくと、解約返戻金は少しずつ増加します。

上表では、5年放置して、20年後に解約したときの、解約返戻金と返戻率を、参考に載せています。
解約して、現金(解約返戻金)を受け取る時期を、自由に選べるところは、終身保険の魅力かもしれません。

ここ2年くらいで、低解約返戻金型終身保険の魅力は低下

少し前までは、低解約返戻金型終身保険の利回りは、学資保険に勝るとも劣らない水準にありました。

しかし、2016年に日本銀行がマイナス金利政策を始めて以降、どんどん低解約返戻金型終身保険の利回りは低下しています。
それどころか、販売停止になる商品が相次いでいます。

という事情があるので、現時点では、学資保険の検討をお勧めします。

学資保険でも、利回りの低下や販売停止が無いわけではありません。
しかし、学資保険は、世帯が初めて加入する保険になることが多いです。そこで保険会社は、厳しい運用環境にもかかわらず、高めの利回りでがんばっています。

安全確実に教育費用を貯めるなら、学資保険がもっとも優れていますね。

生命保険のメリットは、税制の優遇があることです。低金利時代なので、節税効果はバカにできません。

生命保険料控除をご存知だと思います。学資保険や終身保険は生命保険ですから、生命保険料控除を受けることができます。

実質的な保険料は、少し安くなる

所得税や住民税を算出するときに、1年間の所得がもとになります。
所得が大きいほど、負担する税額も大きくなります。ということは、所得を下げられたら、節税になります。

所得は、収入から必要経費を除いた残りです。何が必要経費にあたるかは、決められています。
そして、生命保険料は、法律で、必要経費と認められています。

たとえば、所得税の税率10%(課税所得が195~300万円)の人が、年に60,000円の生命保険料を支払ったとします。
このとき、生命保険料控除のおかげで、所得から35,000円を減らすことができます(途中の計算は省略してます)。

ということは、税率10%なので、所得税として納める金額を、3,500円ほど下げることができます。
保険料は60,000円だけど、3,500円ほど税金が安くなるので、実質的な負担は56,500円くらいになります。

塵も積もれば山となる

上で例としてご覧いただいた、ソニー生命『学資保険II型』の見積もりを使って、節税の効果を確認します。
ここでも、所得税の税率10%(課税所得が195~300万円)の人を想定して、試算します。

保険料総額
節税前 935,280円
節税後 875,898円
返戻率
節税前 106.9%
節税後 114.1%
年利
節税前 0.74%
節税後 1.44%

細かくなりすぎるので、途中の計算は省いています。

生命保険料控除のおかげで、保険料負担は、実質的に1ヵ月あたり275円くらい安くなります。
たった275円ですが、18年間にわたって、毎月積みあがっていくので、最終的には、利回りを大きく押し上げます。

上表の節税後の利回り 1.44%は、イマドキの安全志向の運用方法としては、飛び抜けて良い数字です。

生命保険による貯蓄には、2つのリスクがあります。念のために、貯蓄方法を分散したいです。

学資保険は、もともとの利回りが有利な上に、生命保険料控除が使えます。元本保証のある貯蓄手段の中では、優れています。
教育費の全額を、学資保険で準備したくなるかもしれません。

それはそれで"アリ"だと思います。ただし、生命保険による貯蓄にもリスクがあります。それを踏まえて、判断してください。

保険料払込期間の途中で解約すると、損になる

生命保険のお金の増え方には特徴があります。

生命保険の貯蓄の増え方

図のように、加入してからけっこう長い期間は赤字が続きます。この期間中に解約すると、損になります。
そして、この赤字の期間は、保険料払込期間にほぼ一致します。

つまり、いったん始めたら、よほどのことが無い限り、保険料払込期間が終わるまでは解約できない、ということになります。

こういうプレッシャーは、貯金が苦手な人にとっては、プラスになるかもしれません。
とは言え、保険料は無理のない金額に設定しておきたいです。たとえ、学資金の金額が物足りなくても。

いわゆるインフレ・リスク

生命保険で貯蓄をするときに、インフレ・リスクが付いて回ります。

生命保険商品の利回りは、原則として固定金利です。"変額~"とか"積立利率変動型~"というような名称の商品を除くと、加入した時点で利回りが、契約消滅まで固定されます。

そのおかげで、約束された学資金は、確実にもらうことができます。
その反面、加入後に物価や学費が上昇して、学資金では不十分になっても、それに合わせて中身を変更できません。

上で説明したように、生命保険を途中で止めるのは損なので、物価や学費が上昇したからといって、他の運用方法に切りかえるのも、悩ましいです。

これが、保険のインフレ・リスクです。
インフレ・リスクがあるので、保険だけに投資するのは、ちょっと不安です。多少は、資産運用方法を分散した方が、安全かもしれません。

インフレ・リスクに、神経質にならなくても良さそう

インフレ・リスクが現実にモノとなるかは、世の中の動向にかかっています。しかし、世の中の動向に着目するなら、別の兆しもあります。

2017年5月現在で、与党が大学など高等教育の無償化の検討を本格化しています。仮に、無償にはならなくても、家庭の学費負担が軽減される期待は大きいです。
そうなったら、仮にインフレになっても、保険の学資金で、学費をまかなえるかもしれません。

また、物価が上昇してインフレになっても、それが穏やかなペースであれば、損を痛感することはないでしょう。
保険会社に払い込んだ金額より、増えてもどってくることはまちがいありません。当初の期待ほどのありがたみはなくても、損をしたことにはなりません。

そして、万が一急激なインフレ(=物価の上昇)が起こるとしたら、学費以前に、衣食住に大きな影響が出るはずです。学資保険のことを悔やんでいるような、のどかな状況ではなくなるはずです。

保険のインフレ・リスクを軽視・無視することはできません。しかし、こと教育費用の準備に関しては、そんなに神経質になることはないでしょう。

学資保険の検討では、保険の専門家を、うまく活用しましょう。

学資保険そのものは、そこまで複雑ではありません。しかし、損得を判断したり、他と比較するときに、返戻率という生命保険独特の考え方を、使いこなさなければなりません。

この返戻率は、単一の商品であっても、見積の条件を何か変えると、コロコロと変動するのでやっかいです。
そのうえ、他の金融商品と比較するには、返戻率を金利に変換しなければなりません。

また、資産運用のリスク分散を考えると、学資保険と他の金融商品との組み合わせを検討したいです。
それには、かなり幅広い知識が要求されます。

ご検討にあたっては、家計と保険の専門家の活用をお勧めします。
家計と保険の専門家と聞いても、親しみがないかもしれません。意外と簡単に、しかも無料で、専門家に相談する方法があります。

詳しいことは

を、ご覧ください。

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

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