がんの治療費用を準備するときは、再発による治療再開や、通院による治療も、頭に置く必要があります。

がんは、1981年から日本人の死因のトップを占めている、怖い病気です。

しかし、厚生労働省『医療給付実態調査』(平成27年)によると、がんによる入院日数は平均20.82日。全体平均の30.4日より、10日ほども短いです。

平均的な所得の現役世代の人が、高額療養費制度を使ったときの、入院費用の自己負担額も141,910円と、全体平均169,830円より安いです。
詳しくは『入院費用はどのくらいかかりますか?』をご覧ください。

こうしてみると、こと治療費用の負担という意味では、そんなに怖く感じられません。
しかし、現実は、そう簡単ではありません。

がんは、1回の治療で完治するとは限らない

がんには、再発の危険が、常につきまとっています。

手術でがん細胞を除去しても、完璧に取り除けるとは限りません。精密検査や目視で認識できるのは、ある程度以上大きくなったがん細胞に限られます。
微小ながん細胞は、残ってしまいます。

時間をかけて、取り残されたがん細胞が大きくなると、治療の再開です。がんの治療は、1回で完結するとは限りません。

一般的には、治療後5年間は、再発のリスクに備えて、定期的な検査が続けられます(乳がんは10年間)。

がん治療に取り組む患者は、通院の方が多い

医療技術の発達により、通院による治療の幅が広くなっています。がんの三大治療のうちの2つ、放射線治療、抗がん剤治療は、通院で実施されることが多くなっています。

主ながんの、入院患者と通院患者の割合を、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から作成しました。

がんの入院と通院の患者の割合のグラフ

肺がんでは、わずかに入院患者の方が多くなっていますが、それ以外は通院患者数がはっきりと多いです。がん全体でも、通院患者数の方が多いです。

がんの治療費用を考えるうえで、入院費用だけでは判断できません。

がんの治療費用は、最低で115万円以上、安心のためには400万円くらいを確保したいです。

がんには再発があります。入院で治療する人も、通院で治療する人もいます。治療を開始して、そのまま亡くなってしまう方も多いです。

それらのために、総額でどのくらいの治療費がかかっているのか、つかみにくいです。厚生労働省の統計にあたっても、そのようなデータは見つかりませんでした。

こうなると、頼りにできるのは、中立性の高い機関が実施した、規模の大きなアンケート調査です。
日本医療政策機構『がん患者意識調査2010』から、がん治療費総額のアンケート結果を引用します。

がんの治療費総額のグラフ

平均は115万円で、最高金額は2,000万円でした。

治療費用の準備を検討するうえでは、最低でも平均の115万円以上を確保したいです。

ただ、安心できる金額ということなら、400万円になります。400万円あれば、グラフの95.3%までをカバーできます。大きな金額ですが・・・

がんの治療費用を準備する方法と、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。

がん治療の治療費用を準備する、一般的な方法として、以下が考えられます。

  • 預貯金などでお金を貯める。
  • 保険に加入して、がんに備える。

それぞれの方法のメリット、デメリットを説明します。

預貯金のメリット・デメリット

保険と比べたときの、メリット・テメリットを説明します。

メリットは融通が利くこと

預貯金などでお金を貯めることのメリットは、融通が利くことです。

上の円グラフのとおり、がんの治療費用は、50万円未満から2,000万円まで、大きな幅があります。

保険に加入したら、保険契約により決まった保険料を払い込まなければなりません。がんにかからなかったり、安い治療費で完治しても、払い込んだ保険料はもどりません。"掛け捨て"になります。

預貯金であれば、余ったお金は別の目的に使うことができます。融通が利きます。

デメリットは時間がかかり、不確実なこと

預貯金は、必要十分な金額が整うまでに時間がかかります。それまでにがんになってしまったら、ピンチです。

また、治療費用の幅が広いので、目標金額がブレやすいです。そして、思いがけない出費のために、預貯金が予定通りに貯まらない危険があります。

加入手続きが完了したら、約束通りの保障を受けられる保険に比べると、確実性に不安があります。

保険のメリット・デメリット

保険による対策は、がん保険に加入してもできますし、生命保険や医療保険に、がんの特約を付加することでも可能です。

メリットは加入したらただちに安心できること

保険への加入手続きが完了し、1回分の保険料を払い込んだら、約束通りの保障を受けることができます。

老後に向けて対策できるのは当然として、来月にがんにかかったとしても、保険から治療代を受け取ることができます。

また、預貯金を計画通りに貯めるのが苦手な人にとっては、保険を続ける方が確実かもしれません。

デメリットは"掛け捨て"の可能性

保険会社から受け取る金額より、保険料として払い込む金額の方が大きくなる可能性が高いです。そうでないと、保険会社を維持できませんから・・・

何回も重い病気にかかる人は、保険料の合計より多くの保険金・給付金を受け取ることができます。逆に、人並か人並以上に健康に過ごした人ほど、保険料を掛け捨てることになります。

また、保険からお金が出るためには、いくつかの条件があります。一時給付金は2年に1回とか、上皮内がんは保障されない等々(商品によって異なります)。治療にともなう全額が、保険で保障されるとは限りません。

保険を使うなら、医療保険かがん保険

保険を使ってがんに備えるには、3つの方法があります。

  1. 死亡保険など、医療とは別の保険に、がんの特約を付ける。
  2. 医療保険に、がんの特約を付ける。
  3. がん保険に加入する。

どの方法であろうと、保険としては問題なくご利用できます。

とは言え、1の方法は、お勧めしません。

主となる保険が消滅すると、自動的に特約も消滅してしまいます。将来、がんの特約だけ残して、他の部分を解約したくなっても、思い通りにできません。

保険には、いろいろと制約があります。それらにはちゃんとした理由があって、すべて約款に記載されています。とは言え、一般の消費者が、覚えきれるものではありません。

だから、目的ごとに(死亡保障か、医療か、貯金か・・・)、別の保険契約にしておいた方が、何かと安全です。

医療保険の検討には、専門家の知識・知恵・情報を活用しましょう。

がんの費用を準備するために、預貯金を貯める方法と、保険を活用する方法があります。

現実には、どちらかを選ぶというより、両方を組み合わせて対策するのが理想です。

組み合わせ方を検討するにあたって、いろいろな知識や判断が必要になります。健康保険などの公的医療保険、老後の生活資金(老齢年金、預貯金など)、治療の実際と費用などなど。

ご検討にあたって、これらのポイントでまちがってしまうと、取り返しがつきません。医療保険とは、長い付き合いになります。
専門家の知識・知恵・情報を活用して、確実な数字を把握しておきたいです。

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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

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