医療保険、がん保険などの検討の前提知識として、生涯にかかる医療費についてご説明しています。

このページでは、以下のことを、ご説明・ご案内しています。

医療系の保険が必要かどうかを判断するために、まずは、生涯にかかる医療費について、正確なイメージを持ちましょう。

まずは、生涯に負担する医療費の全体像について、正確なイメージを持ちたいです。

医療費自己負担分より、公的医療保険の保険料の方が大きい

医療費というと、医療機関の窓口で支払う費用が頭に浮かぶと思います。
それと同じくらい意識しておきたいのが、健康保険など公的医療保険の保険料です。

公的医療保険の保険料は、節約が難しいだけでなく、金額がかなり大きいです。

下図は、年代別の、国民一人あたりの医療費自己負担と、健康保険など公的医療保険の保険料です。金額は1年あたりです。
厚生労働省『医療保険に関する基礎資料』(平成27年度)からの引用です。

年代別の、国民一人あたりの、医療費自己負担と健康保険など公的医療保険の保険料のグラフ

このグラフによると、80代になるまでは、医療費自己負担分より、保険料の負担額の方が、大きいです
通算すると、医療機関に払う医療費より、公的医療保険の保険料の方が大きくなる人の方が、多くなりそうです。

入院費用より、通院費用の方が大きい

医療費は、大きく入院費用と通院費用に分けることができます。

医療保険を検討するときに、この区別は重要です。
というのは、医療保険は、入院費用の保障をメインとする保険だからです。

ちなみに、医療保険が入院を重視するのは、想定外のまとまった出費になるからです。

ただし、生涯に負担する費用を累計すると、通院費用の方が高くなりそうです。

下図は、年代別に、国民一人あたりの入院と通院の医療費用のバランスを表したグラフです。
厚生労働省『医療保険に関する基礎資料』(平成27年度)からの引用です。

年代別に、国民一人あたりの入院と通院の医療費用のバランスを表したグラフ

入院費用が、通院費用より大きくなるのは、85歳以降です。それまでは、通院費用の方が多いです。

上に書いたとおり、医療保険は入院メインの保険で、通院費用はまったくカバーしないか、するとしてもごく一部です(商品によって異なります)。

また、その他の医療系の保険商品でも、通院費用を幅広くカバーできるものはありません。つまり・・・

医療費自己負担分の過半数を占める通院費用は、保険会社の商品ではまかなえません。

医療保険やがん保険は非常用の対策

結局、わたしたちが負担する医療に関する費用の大半を占める、公的医療保険の保険料と通院費用は、医療保険を初めとした保険会社の商品ではカバーできません。

これらの費用は、日常的に発生する生活費の一部として、長期的・計画的に手当しなければなりません。給料等の定期収入、年金、預貯金などで対応することになります。

しかし、大きな病気やケガをして、入院することになると、まとまった出費が発生します。入院中は仕事を休むことになるので、収入に影響が出るかもしれません。
そうなると、手元のお金だけでは心細くなるかもしれません。

そういう非常事態のときに、医療保険とかがん保険が役に立ちます。

逆に言うと、急に3ヶ月くらい入院することになっても、預貯金などで対応できそうなら、これらの保険はどうしても必要ではありません。

保険に入れば病気になっても安心・・・という単純なことではないのですね〜

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医療に関する保険商品にも、いろいろと種類があります。適材適所で選びましょう。

医療のための保険というと、まず医療保険が頭に浮かぶと思います。

しかし、保険会社のパンフレットに目を通すと、医療関連の保険商品は、他にもいくつかものタイプがあります。

医療保険
おもに入院費用を保障する。通院費用は一部のみ。
特約を付加すると、がん、三大疾病などへの対策が可能になる。
がん保険
がん専用の保険。入院、通院、先進医療に対応できる。
商品による保障内容の差が大きい。
女性専用保険
女性向けに、一般的な医療保険、がん保険より強化された保険商品。
女性特有の病気に手厚くなっている。ただし、女性特有の病気が何かは、保険会社によって差異がある。
引受基準緩和型保険
持病・既往症があるなど、健康に不安がある人向けの保険商品。一般的な保険商品より、保険料の設定が高い。
特定疾病保障保険
三大疾病などにかかって、所定の条件を充たしたら、まとまった金額の保険金が出る。
実損補償型の保険
治療にかかった実費を補償する医療保険、がん保険。
更新型なのが、思案のしどころ。

それぞれについて、以下で補足説明しています。

医療保険

医療保険は、入院の保障をメインにしています。
特約で通院保障を用意している商品はいくつかありますが、そこで保障されるのは、入院前後の数カ月間の通院に限られます。

医療保険は歴史があるので、どの保険会社の商品も、仕組みは似通っています。
以下の2つの給付金が、メイン(=主契約)になっています。

  • 入院給付金
  • 手術給付金

どちらの給付金も、保険会社による仕組みの違いが、少ないです。

最近は、5日以内とか10日以内とかの短期入院で入院給付金が手厚くなるとか、手術の重さによって手術給付金の金額が変動する、というような差別化が目につきます。

ただし、そのために最新の商品に入り直さなければならないような、決定的な違いはありません。

なお、各保険会社とも医療保険の特約を充実させており、がんや三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)にも、医療保険だけで対応できるようになっています。

医療保険については、医療保険の選び方で詳しく説明しています。

がん保険

一生のうちにがんにかかる確率は、男性62%、女性46%とされます(国立がん研究センターがん対策情報センター)。つまり、二人に一人はがんにかかります。

そして、厚生労働省『人口動態統計』によると、2016年に亡くなった人の28.5%が、がんが死因です。
ちなみに、1981年から現在に至るまで、がんが死因のトップを占めています。

そんな特別な病気なので、がん専用の保険が販売されています。

ところで、近年、医療保険のがんに対する機能が充実しつつあります。その影響で、保険各社は、がん保険の保障内容に独自の工夫を盛り込むようになっています。

結果として、他の保険種類とは比較にならないくらい、商品ごとに機能の違いが大きくなっています

がん保険については、がんに、保険で備える方法で詳しく説明しています。

女性専用保険

女性と男性では身体の仕組みに違いがあります。また、女性の方が長命なので(平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳)、医療費負担が大きくなる可能性は高いです。

下図は、厚生労働省『医療給付実態調査』(平成27年度)を元に作成した、年代別男女別の医療費です。

年代別男女別の医療費

70代までは男女の差をそんなに感じません。80歳以降は明らかに女性の方が出費が多くなっています。

ちなみに、グラフの金額は、自己負担分ではなく、医療費実費です。
合計すると、男性2,600万円に対し女性2,800万円で、200万円の差があります。

そこで、多くの保険会社は、女性専用の医療保険とかがん保険を販売しています。
または、医療保険やがん保険の中に、女性専用の特約(女性疾病特約など)を用意しています。

女性専用医療保険については、女性の医療保険の選び方で詳しく説明しています。

引受基準緩和型保険

通常の医療保険やがん保険は、健康状態に問題点があると加入できません。

しかし、健康状態に不安がある人の方が、保険に入りたいというニーズは高いはずです。
それに応えるために、多くの保険会社が、引受基準を緩和して、健康状態に不安がある人でも加入できる保険商品を販売しています。

健康状態に不安がある人を対象とする保険なので、保険料の設定は高くなります

特定疾病保障保険

特定疾病は、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)ほ指すことが多いですが、商品によって範囲は異なります。

それぞれの病気の所定の状態になったら、まとまった金額の保険金が出ます。
医療保険との違いは、次の2点です。

  • 対象となる病気の範囲が限られている。
  • 保険から出るのは、まとまった金額の一時金。

なお、特定疾病保障保険は、死亡保険の機能がある商品と無い商品に大別できます。

前者の場合、亡くなっても、所定の病気になっても、同じ金額の保険金が出て、保険はそこで消滅します。こちらが多数派です。

実損補償型の医療保険・がん保険

医療保険やがん保険の多くは、あらかじめ決められた金額の保険金・給付金が出ます。

たとえば、医療保険の入院給付金は、実際の入院日数に即して支払われますが、1日あたりの給付金額は、加入するときにあらかじめ決めた金額です。

これに対し、実際にかかった費用を支払ってくれるタイプの保険があります。これを実損補償型実損填補型などと呼びます。
現在販売されている実損補償型の医療保険・がん保険は、損保会社の保険商品です

医療保険やがん保険に入るとき、もらえる金額をいくらにするかで悩まされることが多いです。実損補償型なら、この悩みから解放されます。
単純に保険としての使い勝手の良さなら、実損補償型の方が優れています。

しかし、実損補償型には、決定的な弱点があります。それは更新型であることです。具体的には、以下の2点がひっかかります。

  • 更新のたびに保険料が高くなる。
  • 更新には限度がある(○○歳までとか)。

保険に入りたい期間が限られているなら、更新型は向いています。しかし、

一生続けるつもりの保険を更新型にすると、将来が心配です。


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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
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