老後の生活資金の準備について、ご案内します

このページでは、以下のことを、ご説明・ご案内しています。

老後の収入と支出について、できるだけ正確な見通しを立てましょう。それによって、方針が決まってきます。

最近、テレビ、新聞、雑誌などで、老後破産とか下流老人という言葉を目にすることが多くなりました。

"破産"とか"下流"という言葉遣いは、大げさかもしれませんが、老後生活資産の準備が、かつてよりやりにくくなっているのは、事実でしょう。

原因と思われるものは、いくつかあります。誰でも思いつきそうなことばかりです。

  • 長寿化で、準備すべき生活費や医療費などが増加している。
  • 公的年金が減額され、支給開始時期が遅くなる。
  • 健康保険の保険料負担が大きくなる。
  • サラリーマンでは、給料の上がり方が、昔より鈍くなった。
  • 自営業者は、長引くデフレで、売り上げが伸びにくい。
  • 長引く低金利で、安定した資産運用ができない。

そして、老後の生活資金の準備について、不安を感じている人が増えているようです。

見通しを立てることが、不安解消の第一歩

老後生活の収支をよく分かっていないまま、何となく不安を感じている人が多いのではないでしょうか?

ご自身の老後の収支について、見通しを持たないまま不安がっていては、いつまでたっても不安は解消されません。

まずは、ご自身の老後の収支の見通しを立てたいです。その結果、予想以上に不足する金額が大きくても、手を打つことができます。

効果を期待できそうな手を打てれば、不安は和らぐはずです。もちろん、気持ちの問題だけでなく、老後に向けて前進できます。

老後のために準備したい3種類の資金

老後の生活資金にはいろいろとありますが、大きく3つに分けることができます。

  • 生活資金(日常の生活費)
  • 高額な医療費
  • 葬式代、死後の整理資金、相続対策

医療費のうち、健康保険料や一般的な通院(数ヵ月ごとの検診など)にかかる費用は、日常の生活費に含まれます。

一方、大きな病気やケガの入院費用は、緊急のまとまった出費になるので、日常の生活費とは別に準備したいです。
こうした医療費の準備については、病気・ケガのときに必要となるお金で、ご説明しています。

また、葬式代、死後の整理資金、相続対策については、死んだときに必要になる金額で、ご説明しています。

このページでは、老後の生活資金(日常の生活費)について、引き続きご説明します。

老後の収入の基礎となる年金額と退職金を確認しましょう。支出は出来る範囲で見積もりましょう。

老後の生活資金の準備を始める前に、目標の金額をハッキリとさせましょう。その方法をご案内します。

年金や退職金などの、およその金額を調べる

まず老後に社会保障(公的年金など)からもらえる予定の金額を、知っておきたいです。また、サラリーマンの人は、退職金など勤務先の福利厚生のことを、把握しておきたいです。

公的年金の受取額や退職金の金額は、簡単に知ることができます。

公的年金の受け取り期間と年金額

公的年金の、受取見込み額の確認方法には、次のようなものがあります。

窓口に行くとき、予約は不要です。ただし、混雑していることがあるようです。持参物、窓口の場所・連絡先、混雑状況は、日本年金機構のホームページで調べられます。

勤務先の退職金制度を確認

勤務先によっては、退職金(退職一時金)制度や企業年金(退職年金)制度があります。あったとして、制度の内容は勤務先によって異なります。担当部署に確認しましょう。

ちなみに、定年退職金の金額に関して、以下の調査結果が公表されています。

中小企業(大学卒) 11,389,000円
中小企業(高卒) 10,829,000円
大企業(大学卒) 23,577,000円
大企業(高卒) 21,549,000円

中小企業の金額は東京都産業労働局労働相談情報センター『中小企業の賃金・退職金事情(平成28年版)』から、大企業の金額は日本経済団体連合会『2014年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果』から引用しました。

老後の支出は、できる範囲で見積もる

支出は、生活環境やライフスタイルによって、大きく異なります。また、こちらの意識の持ち方によって、変えることができます。

一般論として、現役のときに比べて、退職後の生活費は下がります。子どもが経済的に独立したり、住宅ローンが終われば、それだけで支出は目に見えて減ります。

40代以上の方であれば、大ざっぱに老後の支出を予測できるかもしれません。一方、20代、30代だと、試算するにも、仮定が多すぎて、当てになる金額が出ないかもしれません。

以下で、信頼できそうな2種類の統計数値をご案内するので、参考にしてください。

老後の生活費用はどのくらいかかるのか。公的機関による実態調査と意識調査の結果が参考になります。

総務省の『家計調査報告』と、生命保険文化センターの『生活保障に関する調査』の2つが参考になります。

統計データに見る、老後生活費の実態

総務省『家計調査報告』(平成28年)から、夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)と単身世帯(60歳以上)の、月々の生活費の合計額です。

夫婦 267,546円
単身 156,404円

なお、生活費の内訳や分析は老後生活費の相場を、ご覧ください。

最低限必要な生活費と、ゆとりある生活費

生命保険文化センター『生活保障に関する調査』(平成28年度)は意識調査です。

夫婦二人の世帯の、最低限必要な生活費と、ゆとりある老後のために必要と考えられる生活費を引用します。

最低限必要な日常生活費 22.0万円
ゆとりある老後生活費 34.9万円

最低限の生活費と、ゆとりある老後生活費との間に、ちょうど総務省の統計の生活費が収まります。
きれいに整合しているので、そういう意味でも、信頼できそうな数値です。

総務省の統計をもとに、平均な世帯の生活費の不足額=準備したい金額を試算しました。

上で、総務省『家計調査報告』(平成28年報)から、老後の生活費をご案内しました。
この統計には、老後の収入や不足額の統計も収録されています。

仕事をしていない世帯の、1ヵ月の収支と不足額は以下の通りです。

生活費 収入 不足額
夫婦 267,546円 212,835円 54,711円
単身 156,404円 120,093円 36,311円

収入の90%以上は社会保障(公的年金、生活保護など)です。

残念ながら、平均的な世帯では、不足額が発生しています。この不足の分を、何らかの方法で準備しなければなりません。

自分で準備したい老後生活資金

上の不足額を穴埋めするために、どのくらいの金額を準備しておく必要があるのでしょうか。

だいたいの金額をイメージしていただくために、平均寿命までの不足額の合計を計算してみます。ちなみに、2015年の男女の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳でした。

夫婦2人世帯が準備したい金額

夫65歳、妻60歳の夫婦が、それぞれ平均寿命で亡くなったときの、不足額の合計です。上でご紹介した総務省『家計調査報告』のデータにもとづく概算です。

夫が亡くなるまでの不足額 10,366,640円
妻が単身生活している間の不足額 4,906,342円
合計 15,272,983円

おおざっぱな計算ですが、金額の大きさをイメージする助けにはなると思います。

単身者が準備したい金額

65歳以降の不足額の合計です。男女とも、それぞれの平均寿命で亡くなる想定です。女性の方が、平均寿命が6年くらい長いために、不足額が大きくなっています。

男性の不足額 6,880,208円
女性の不足額 9,607,891円

おおざっぱな計算ですが、金額の大きさをイメージする助けにはなると思います。

自営業者は、公的年金が少ないので、より多くの自助努力が必要です。

上の、総務省『家計調査報告』に基づく金額は、国民年金に加入している自営業者(個人事業主、家族経営の会社の社長・役員、契約社員、フリーランス、ノマドワーカーなど、厚生年金・共済年金に加入しないすべての人)には、参考にならないかもしれません。

というのは、 国民年金の年金額は、サラリーマンの厚生年金や共済年金に比べて、大幅に少ないからです。

国民年金の年金額

国民年金の年金額は毎年変わります。ここ2年の月あたりの年金額(満額)は下のようになっています。

2017年度 64,941円
2016年度 65,008円

収入が国民年金だけのときの、月あたりの不足額

上の数字をもとに、収入が国民年金だけのときの、1ヶ月あたりの不足額を計算しました。年金額は月64,941円で計算しています。

生活費 収入 不足額
夫婦 267,546円 129,882円 137,664円
単身 156,404円 64,941円 91,463円

国民年金だけでは、生活費の半分もまかなえません。 国民年金は"補助"と考えて、自助努力による資金確保を考える必要があります。

老後の生活資金を準備するための、具体策をご案内します。

現在の60代、70代の人が、老後の準備を始めた時期は、日本の経済成長期でした。
金利が高かったので、銀行預金や個人年金保険などで、お金は確実に増えました。

元本割れのない貯蓄方法で、十分にお金を増やせたわけですから、今と比較すると、老後生活資金の準備はけっこう単純でした。

元本割れのない貯蓄方法だけでは、通用しない

超低金利の今日では、元本保証のある金融商品でお金を増やすことは、そう簡単ではありません。

定期預金の金利は無いに等しい

たとえば、大手銀行の自動積立定期預金(毎月決まった額を積み立てる定期預金)の金利は、2017年5月時点で0.01%です。

もしこの金利のままで、30歳の人が65歳まで毎月3万円積み立てるとします。

毎月の積立額 30,000円
積立期間 35年
金利 半年複利0.01%
65歳の積立額 10,816,110円
(うち利息16,110円)

1千万円少々というのは、それなりに心強い金額ではありますが、利息はたったの1万6千円です。これでは、資産運用にはなりません。

個人年金保険は、定期預金よりマシだけど・・・

次に、個人年金保険の例をご覧いただきます。

三井住友海上あいおい生命の『&LIFE 個人年金保険』という商品です。

30男性が、65歳まで保険料を払い込んで、65歳から10年間にわたって、毎年120万円を受け取るプランです。

毎月の積立額 28,188円
積立期間 35年
保険料総計 11,838,960円
年金受取額 年に120万円(10年間)
合計1,200万円

個人年金保険には、"金利"という考え方がないので、定期預金とそのまま比較することはできません。

とは言え、16万円くらいは増えるので、定期預金よりは、マシに見えます。おトクという印象は受けませんが・・・

なお、わかりやすい例として、個人年金保険で説明しましたが、保険による老後資金の準備方法としては、終身保険を使うのが有利です。
その方法については、終身保険の選び方で詳しく説明しています。

複数の手段を組み合わせて、多角的に対策

老後の生活は必ず訪れますから、できるだけ安全確実に準備したいです。しかし、現実的には、安全性の高い金融商品だけで、必要な金額を準備することは、難しいようです。

ということで、多少リスクのある金融商品を資産運用に組み込むとか、お金を貯める以外の方法を実行するとか、多角的に検討する必要があります。
たとえば、次のようなことが考えられます。

保険を使った準備は、遅くとも40代には始める

保険や預貯金で老後生活資金を準備するときは、金利が低いので、時間をかけないと、大きな金額を準備できません。少しでも早く始めることが、何より大事です。

上の積立定期預金や個人年金保険の例では、利回りは低くても、30歳からのスタートなので、1,000万円以上を貯められました。

老後生活の固定費を下げる

出ていくお金を減らすことを考えます。毎月固定でかかる費用を下げられれば、効果的です。
と言っても、日常的な節約の工夫は、実際に老後になってからやることです。

事前にできる対策として、影響が大きいのは、 住宅をいつどこに確保するか、ということです。
住宅ローンや賃料の有無は、老後の収支に大きく影響します。また、地域による物価の違いや、交通の便(自家用車の要否)なども無視できません。

なお、老後生活費の内訳や分析は老後生活費の相場を、ご覧ください。

老後の新たな収入源を準備

老後になっても、年金や預貯金以外の収入があれば、心強いです。

資格や技能を身に付けたからといって、簡単に老後の安定収入につながるわけではありません。

とは言え、このところ、長く働ける社会を目指して、政府が動き始めています。そうした流れに乗れるように、準備をしておきたいです。

リスクの低い外貨建金融商品や投資信託

外貨建金融商品や投資信託などは、始めやすい投資ですし、リスクの低いものはあります。
とは言え、 リスクがある以上、元本を失っても、ダメージにならない限度にとどめるのが鉄則です。

家計の専門家に相談すると、老後に向けて準備したい金額が簡単にわかります。

金額についてのイメージを持っていただくために、統計データに基づく一般的な数字をご覧いただきました。
ご自分の検討をされるときは、それぞれの立場や条件を踏まえて、具体的な見通しを立ててください。

とは言っても、老後生活資金の算定には、いろいろな専門的知識が必要になります。一般の消費者に、手際よく、正確に算定するのは難しいです。
もし、準備すべき金額の算定を誤ったら、取り返しがつきません。

老後生活資金の算定には、家計の専門家の活用をお勧めします。

家計の専門家にとって、老後生活資金の見積もりは、もっとも基本的な仕事の一つです。
また、彼らは専用のコンピュータソフトを持っています。相談すれば、アッという間に、あなたの数字をはじき出してくれるはずです。

しかし、 どうすれば家計の専門家に相談できるのでしょうか!?

意外と簡単に、しかも無料で、家計の専門家に相談する方法があります。
詳しいことは

を、ご覧ください。


 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

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