安全・堅実な資産運用のために、オススメできるのは3つのタイプの保険商品です。

生命保険には、貯蓄に使える保険が何種類かあります。ただし、低金利時代なので、そのどれもが使い物になるわけではありません。
現在、安全かつ堅実な資産運用として、検討していただきたいのは、次の3つの生命保険です。

  • 低解約返戻金型終身保険
  • 学資保険
  • 個人年金保険

低解約返戻金型終身保険は、終身保険の一種です。終身保険は死亡保険ですが、構造上お金が貯まりやすい仕組みです。そこを強化したのが、低解約返戻金型終身保険です。

学資保険は、適齢期の子どもがいなければ加入できませんが、もしいれば、学資にこだわらず、貯金として活用できます。

個人年金保険は、一般的には老後の生活資金のための保険です。しかし、加入年齢や年金開始年齢を自由に選べる商品であれば、貯金として使うことができます。

なお、教育費用の準備については、教育資金を準備するで、詳しく説明しています。
また、老後生活資金の準備については、老後生活資金を準備するで、詳しく説明しています。

このページでは、目的を限定しないで、生命保険の貯蓄全般について、ご案内します。

低解約返戻金型終身保険の、お金が貯まる仕組みと、利回りをご案内します。

終身保険は、一生涯の死亡保障が本来の目的です。ただし、解約返戻金(解約したときにもどってくるお金)が貯まりやすいので、貯蓄商品として利用されることもあります。

特に貯蓄性にすぐれているのが、低解約返戻金型終身保険(無配当)と呼ばれるタイプです。お金が貯まりにくそうな名称ですが、利回りは、一般的な終身保険を大きく上回ります。

終身保険の解約返戻金

図のように、加入してからけっこう長い期間(=保険料払込期間)は赤字が続きます。この期間中に解約すると、損になります。

しかし、保険料払込期間が経過すると、払い込んだ保険料の総額より、解約返戻金の方が多くなります。

利回りがどのくらいになるのか、オリックス生命の終身保険『RISE(ライズ)』の例をあげます。30歳男性が、死亡保険金500万円の保障に、60歳まで保険料を払い込む条件で加入したときの、利回りです。

払い込む保険料の累計 3,931,200円
保険料払込満了直後(60歳)の解約返戻金 4,355,900円
返戻率 約110.8%
年利回り 0.65%

保険の利回りは、保険会社のパンフレットやウェブ等では、返戻率(返還率、戻り率)で表されます。
戻ってくる金額が、保険料の累計の何%かを表す、単純な数字です。数字が大きいほど高利回りです。

この数字では、保険同士の比較はできても、他の金融商品とは比べられないので、年利回りに変換しています。

低解約返戻金型終身保険を、貯金に使うこともできる

低解約返戻金型終身保険の貯蓄機能を、もっと若い年代の貯蓄としても使うことができます。

低解約返戻金型終身保険を貯蓄として活用する。

図の例だと、保険料払込期間が終わる15年後以降に解約すると、払い込んだ保険料より増えてもどってきます。

保険料払込終了直後だと、返戻率は101.3%で、魅力は乏しいです。
しかし、解約時期を遅らせるほど、返戻率は徐々に上がります。また、そのまま放置しておけば、終身の死亡保険として使えます(図の例だと、亡くなったら300万円の保険金が出ます)。

ケース・バイ・ケースで、柔軟に対応できるのが、低解約返戻金型終身保険の強みです。

学資保険の、お金が貯まる仕組みと、利回りをご案内します。

学資保険は、名前の通り、教育資金を準備するための保険です。

保険会社は、学資保険の利回りを、がんばって高くする傾向があります。というのは、学資保険が、生命保険との初めての接点になる可能性が高いからです。

ソニー生命の『学資保険』で、利回りの例を見てみましょう。子どもが0歳のときに加入し、18歳から毎年40万円を、5年にわたって受け取るプランの、利回りです。

払い込む保険料の累計 1,812,672円
受け取る学資金の累計 2,000,000円
返戻率 約110.3%
年利回り 0.85%

返戻率は、上の終身保険よりわずかに低いですが、年利回りでは勝っています。

返戻率は、保険料累計と学資金の累計による、単純な割り算です。保険料を払い込む期間とか、学資金を受け取る期間を考慮していません。よって、信頼できるのは利回りです。

特約をいろいろ付けると、利回りは低下する

学資保険の中には、子ども用の医療保険特約や、育英年金(親が亡くなったときの保障)のような、"保障"を付けられる商品があります。

こうした保障にも、それぞれ意味はあります。しかし、これらを付けるかは、慎重に検討してください。

医療保障とか死亡保障とか育英年金などの"保障"は、掛け捨てです。つまり、付ければ付けるほど、利回りは悪化します。低金利のこのご時勢にそんなことをやってしまうと、貯金どころか赤字になってしまいます。

個人年金保険の、お金が貯まる仕組みと、利回りをご案内します。

住友生命の『たのしみワンダフル』で、利回りの例を見てみましょう。30歳男性が、60歳まで保険料を払い込み、その後10回年金を受け取る条件で加入したときの、利回りです。

払い込む保険料の累計 5,400,000円
年金受取額の累計(10回分) 5,741,000円
返戻率 約106.3%
年利回り 0.27%

返戻率は、上の低解約返戻金型終身保険や学資保険より、やや落ちる程度です。しかし、年利回りを比べると、かなり見劣りします。

返戻率は、保険料累計と学資金の累計の関係を、単純に%で表した数字です。保険料を払う期間や年金を受け取る期間は考慮されていません。

おまけに、住友生命『たのしみワンダフル』には、保険料払込終了から、年金受取開始までの間に、下図のような5年の据え置き期間が設定されています。

据え置き期間のある個人年金保険の仕組み図

そうしたことが重なって、実際の利回りは低くなっています。

個人年金保険を学資に使うこともできる

個人年金保険は老後の生活資金準備、というイメージが強いですが、もっと若い年代の貯蓄としても使うことができます。

たとえば、学資保険のかわりに、教育資金の準備に使うことができます。

個人年金保険を教育資金の準備として活用する。

こういう個人年金保険の使い方をする場合、下で説明する個人年金保険控除を受けることができません。ご注意ください。

銀行の積立定期預金と比べると、貯蓄型の生命保険なかなかの好金利。

毎月お金を積み立てる安全かつ堅実な貯蓄と言えば、銀行の積立定期預金(円建て)が思い浮かびます。とは言いながら、低金利が長く続いているためか、積立定期預金を販売している銀行は少なくなっています。

わたしが知っている積立定期預金と、上の3種類の保険の金利を比べてみます(2017年6月現在)。

積み立てる期間 年利回り
終身保険 30年 0.65%
学資保険 18年 0.85%
個人年金保険 30年 0.27%
ソニー銀行(積み立て定期預金) ~3年 0.15%
東京スター銀行(スターワン積立円定期) 1~15年 0.025%
三菱東京UFJ銀行(自動つみたて定期預金) 制限なし 0.01%
ゆうちょ銀行(自動積立定期貯金) ~6年 0.01%

上表は、一部の金融機関をピックアップしているだけです。これだけを見て断言するのは危険です。
とは言え、3タイプの保険の中で最も利回りが低い個人年金保険でも、並みの積立定期型預金よりは、ずっと優秀です。

貯蓄型生命保険の強みは、税制の優遇が多いこと。節税効果を含めると、利回りはさらに高くなります。

ご存知のように、生命保険には生命保険料控除、個人年金保険には個人年金保険料控除という、税法上の優遇があります。そのおかげで、税金を含めて計算すると、利回りは、上でお示しした数字より良くなります。

節税のおかげで、返戻率、年利回りともに明らかにアップ

上でご案内した住友生命の個人年金保険『たのしみワンダフル』のプランをもとに、節税の効果を具体的に確認しましょう。

このプランでは、30歳男性が、月に15,000円、つまり年に18万円の保険料を払い込みます。
仮に、この男性の所得税率を10%(課税される所得330万円以下)とします。

そうすると、個人年金保険料控除を受けると、年に4,000円トクすることになります。毎年4,000円トクしたときの、個人年金保険の利回りは・・・

節税前 節税後
自己負担する金額の累計 5,400,000円 5,280,000円
返戻率 約106.3% 108.7%
年利回り 約0.27% 0.54%

年に4,000円の節約で、返戻率、年利回りともに明らかに上昇します。

このような税法上の優遇措置は、銀行などほかの金融機関の商品にはありません。安全性の高い貯蓄手段の中で、生命保険商品の魅力を高めています。

生命保険を使った貯蓄の検討には、保険と家計の専門家を、有効活用しましょう。

生命保険による貯蓄方法は、バラエティに富んでいるうえに、利回りの比較は簡単ではありません。

返戻率のチェックが、かなりやっかい

貯蓄型の生命保険の利回りは、返戻率(返還率、戻り率)という、独特の表し方をします。

生命保険でのお金の貯まり方は、特殊です。

生命保険の貯蓄の増え方

図の赤線のように、カーブを描くように貯まっていきます。そのために、返戻率という表し方を使っています。

問題は、返戻率がけっこういい加減な数値であることと、他の金融機関の商品と比べるときに、そのままでは役に立たないことです。

返戻率がどういい加減かというと、単一の商品であっても、返戻率は一定ではありません。保障プランが変わると(年齢、性別、保険料払込期間、お金の受け取り方法など)、それにつられて返戻率も変わってしまいます。

よって、特定の商品を検討していても、保障ブランを変えるたびに、返戻率をチェックしなければなりません。

さらに、他の金融機関の商品と比較するときは、返戻率が変わるたびに、それを金利に変換しなければなりません。

保険と家計の専門家を有効活用

返戻率の計算方法は、一般の消費者にも、簡単に理解できます。しかし、慣れていないので、見落としがあったり、誤解したまま判断を下す危険があります。

また、貯蓄の検討では、税金の知識、生活設計の知識、他の金融機関の知識など、幅広い知識が必要になります。

いったん生命保険に加入すると、十数年、何十年と続けることになります。加入の時点で、判断を誤ってしまうと、ダメージは大きいです。

そこで、保険と家計の専門家の活用をお勧めします。

といっても、 どうすれば、そういう専門家に相談できるのでしょうか!?

意外と簡単に、しかも無料で、保険・家計の専門家に相談する方法があります。
詳しいことは

を、ご覧ください。

生命保険で貯金することのメリット・デメリットを踏まえて、バランス良く活用しましょう。

生命保険による貯金は、安全で堅実な資産運用の中では、有力な選択肢の一つです。

しかし、生命保険だけで資産運用することは、お勧めできません。生命保険による貯蓄には、デメリットもあるからです。

貯蓄型生命保険は、長期間お金を塩漬けすることになる

いったん加入すると、保険料を支払う期間が終わるまで続けないと、お金を殖やすどころか、損をしてしまう点です。

生命保険のお金の増え方には特徴があります。上と同じ図をもう一度見ていただきます。

生命保険の貯蓄の増え方

図のように、加入してからけっこう長い期間は赤字が続きます。この期間中に解約すると、損になります。

生命保険の金利は、固定金利です。加入した時点での金利が、何十年も固定されます。
現在は、低金利の時代です。他の金融商品より金利が良いといっても、全体がとても低い水準です。

その低い金利のまま、数十年かけ続けることになります。将来景気が良くなって、世の中全体の金利が上昇したら、損をした気分になるかもしれません。

世の中の金利がどうなろうと、払い込んだ保険料が増えてもどってくるので、損をするわけではありません。
でも、世間の動向に合わせて、自由に動かせるお金も、ある程度は確保しておきたいです。

配当が付くか付かないかも要チェック

配当とは、貯金の利子のようなものです。
もし、保険会社の資産運用が、当初予定よりうまくいけば、配当金として、加入者に分配されます。わたしたちのところに戻ってくる金額に、配当の分が加算されます。

世の中全体の金利が上昇したら、配当金としてその恩恵を受けることはできます。
ただし、配当金を出すかどうかは、保険会社が判断するので、約束されたものではありません。

生命保険商品には、有配当無配当の、2つのタイプがあります。
保険料は、無配当の方が安くなります。ただし、将来にわたって、配当金をもらうことはできません。

現在は低金利時代なので、配当はほとんどありません。だったら、保険料が安い無配当の方がおトクに感じられます。

しかし、10年後、20年後のことはわかりません。契約期間が長い保険商品に加入するときは、有配当の方がトクになるかもしれません。

変額保険や外貨建て保険は、リスクに注意

生命保険の貯蓄商品の中には、より高い利回りを目指す、変額保険とか外貨建ての保険があります。

どんな金融商品でも、利回りの良いものには、リスクがあります。保険商品なので、極端にリスクの高いものはありませんが、元本割れする危険はあります。

投資信託などを購入するときと、同じくらいの注意深さで、検討しましょう。

メリット・デメリットを踏まえて、バランス良く

世の中全体が低金利です。こういう時代は、安全性重視の貯蓄手段と、リスクはあっても高利回りを期待できる手段を組み合わせて、バランスよく資産運用したいです。

理想的な役割配分としては・・・

  • 生活費、教育費など、必要性が高くて、出費の時期が決まっている資金は、安全確実な手段で準備する。
  • 生活をより豊かにするための、プラスアルファの資金は、高利回りを期待できる手段をまじえる。

というところでしょうか。

保険の専門家に相談する

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
  • 保険商品知識中心の保険外交員、保険ショップ店員とは一味違います。
  • そんなFPが、相談だけなら無料で、コンサルティング(保険に加入する義務なし)。
  • 自宅など、指定の場所に駆けつけてくれます。