生命保険は、人の生命・身体に関する将来の不安に、お金の面で備えるものです。

保険は、大きく生命保険と損害保険に分けられます。

ざっくりと説明すると、生命保険は、人の生命・身体にかかわる保険です。一方の損害保険は、財産・所有物にかかわる保険です。

将来に対して、夢や期待があるかわりに、不安もあります。

保険は、そうした不安に備える手段の一つです。ただし、保険でできるのは、金銭的な対策に限られます。

将来への不安は人それぞれですが、ほとんどの人に共通する、3つの金銭面での不安がある、と考えられています。

  • 一家の稼ぎ頭が亡くなったときの、遺族の生活についての不安。
  • 病気・ケガになったときの。治療費や治療中の生活費についての不安。
  • 仕事を引退した後の、老後生活への不安。

保険は、こうした不安への、有力な対策の一つです。

必要な金額やタイミングがわからない不安への対策として、保険は預貯金などより頼れます。

将来の経済的な不安への対策として、すぐ思いつくのが預貯金でしょう。いつか来るかも知れない不幸な出来事に備えて、少しずつお金を貯める方法です。

ただし、実現するとは限らない不安や、起こる時期がわからない不安への対策として、預貯金にはわりと重大な弱点があります。

もし不安が的中したときに、お金が必要なだけ貯まっているとは限りません。ほとんど貯まっていない時点で、不安が現実になったら、パニックになってしまいます。

つまり、預貯金が有効なのは、必要な金額やタイミングがある程度絞りこめる不安に対してです。

上にあげたような、死亡・病気・ケガへの対策を、預貯金だけでおこなうことには、リスクがあります。

この種の不安に強いのが保険です。

同じ不安を持つ者同士がお金を出し合い、助け合うのが保険です。

100人に1人の割合でかかる、重い病気があったとします。そして、その病気にかかると、300万円の治療費がかかるとします。

一人一人が、その病気のために、300万円を貯めてキープしておくのは、リスクがあるし非効率です。

まず、ゼロから300万円を貯めるには、期間を要します。貯め終わるまで、病気が待ってくれるとは限りません。

また、かかる確率が1%の病気のために、300万円をずっと維持するのは、もったいないかもしれません。

そこで、この病気に不安を感じている100人が、それぞれ3万円ずつを出し合うとします。合計300万円になります。

集まった300万円は、1%の不運に的中した人の治療費になります。これが保険の基本形です。

この例の場合、病気にかからなかった99%の人は、3万円を出しただけで、もどるお金はありません。3万円を掛け捨てたことになります。

しかし、病気からは逃れられました。また、一人で300万円を準備することに比べたら、負担した3万円を除いた、残りの297万円を他の用途に活用できます。

一方、病気にかかった人は、1%のハズレにあたったのは残念ですが、3万円の出費で300万円の治療費が手に入ります。

このように、起こるかどうか、あるいはいつ起こるかわからない不安への対策として、保険は有意義な仕組みです。

大きな金額を貯めるか、保険に入るか

生命保険には、目的ごとに、いくつかの種類があります。

上で、将来への3つの不安を説明しました。それぞれの不安に対応して、それぞれ何種類かの生命保険があります。

死亡に備える保険

人が亡くなると、どんな立場であれ、後始末の費用が発生します。葬儀とか、お墓とか、遺品整理とか。人によっては、相続税も気になるかも知れません。

もし亡くなったのが一家の大黒柱で、幼い子どもが遺されたら、その養育費の心配です。また、遺された配偶者も、幼い子どもを置いて、本格的に働くのは、難しいかもしれません。

というように、扶養家族がある人は、万が一のときに備えて、遺族の生活費・養育費も確保しておきたいです。

そうした不安に対策できるのが、死亡保険です。

保険に入った人が亡くなったら、あらかじめ決めた金額の保険金が、指定された受取人に支払われます。

死亡保険には、いくつかの種類があります。

定期保険

  • 保険期間(保障される期間)が区切られています。
  • 保険金を受け取るか、保険期間が経過したら、保険は消滅します。
  • 原則として、掛け捨て(保険金を受け取る以外では、お金は戻らない)保険です。ただし、保険期間が長期になると、解約したらお金がもどることがあります。
定期保険のイメージ図

終身保険

  • 一生涯にわたる保障があります。
  • 保険料払込み期間が区切られるタイプと、一生涯払い込むタイプとがあります。
  • ある程度以上続けた後に解約すると、お金が戻ります(増えてもどるとは限らない)

いつかは必ず保険金を受け取ることができるので、掛け捨て保険ではありません。

ただし、同じ保険金額を用意するのに、保険料は定期保険よりかなり高くなります。

終身保険のイメージ図

※図は、保険料払込み期間が区切られるタイプです。

養老保険

  • 保険期間は決められています。その期間中に亡くなると、死亡保険金が出て、消滅します。
  • 無事に保険期間を満了すると、死亡保険金と同額の、満期保険金が出ます。

亡くなっても、生きて満期(=保険期間満了)を迎えても、保険金を受け取ることができます。

掛け捨て保険ではありませんが、保険料が高くなりやすいので、保険金額を大きくしたい人には向きません。

養老保険のイメージ図

組み合わせ型の保険

厳密には保険の種類とは言えませんが、複数の保険を組み合わせたパッケージ型の保険商品が、数多く販売されています。

代表的なものが、定期保険特約付き終身保険です。

定期保険特約付き終身保険のイメージ図

主契約(=メインの保険)は、終身保険です。これに、特約として、定期保険をくっつけた保険商品です。希望すれば、医療保険なども、特約として付けられます。

定期保険特約付き終身保険は、一昔前に生保市場を席巻しました。数は少なくなりましたが、現在でもいくつかの保険会社が販売しています。

これが進化して、主契約と特約の境界が無くなったのが、アカウント型保険です。一時期流行りましたが、境界が無くなったことによる不透明さが疎まれ、商品数は減りました。

最近良く見かけるのが、組み立て型の保険商品です。

組み立て型保険のイメージ図

複数の保険を組み合わせるところは、定期特約付き終身保険と同じです。

ただし、主契約、特約という区別を無くすことで、組み合わせの柔軟性を高めています。

病気・ケガの治療に関する保険

病気やケガの苦痛への不安もさることながら、治療費や治療中の生活費に関する不安もあります。

保険で対策できるのは、後者の不安です。

医療に関する保険と言うと、まず医療保険が頭に浮かぶと思います。しかし、長寿国日本だけに、医療関係の保険にも、いくつか種類があります。

多くの生命保険会社が取り扱っている医療関係の保険には、以下があります。

保険の種類 概要
医療保険 入院費用の保障をメインとした保険。
女性専用保険 女性のニーズに特化した医療保険
引受基準緩和型医療保険 既往症や持病のある人向けの医療保険
がん保険 がんの治療費準備に専門化した保険
特定疾病保障保険 三大疾病などの重病で、まとまった一時金が出る保険
就業不能保険 治療中の生活費の確保を目的とした保険

このうち、就業不能保険は、収入がある現役世代向けの保険なので、保険期間(保障を受けられる期間)は、60歳までというように、区切られています。

保険期間で分類すると、定期保険タイプです。

定期型医療保険のイメージ図

その他の医療系の保険には、終身保険タイプと、定期保険タイプの両方があります。

終身型医療保険のイメージ図

ただし、生命保険会社によっては、終身保険タイプのみを販売しています。病気・ケガをする危険性は、高齢になるほど高くなりますから。

生活資金を確保するための保険

子どもの学費、老後の生活費など、生活のための資金を準備するための保険もあります。貯蓄型保険、積立型保険などと呼ばれることがあります。

子どもの学費や老後の生活資金は、必要になる時期も、資金の大きさも、ある程度決まっています。だから、保険でなくとも、他の金融機関が販売する投資性商品や預貯金などでも、準備は可能です。

他の金融機関の金融商品とくらべたときの、貯蓄型保険の特徴は、利回りとか運用方法が約束されているのではなく、受け取る時期と金額が約束されている点です。

保険会社の運用成績が悪くても、約束された金額より減ることはありません。ただし、変額型とか外貨建ての商品のように、運用成績や市況に連動する商品は別です。

また、個人年金保険だと、保険期間が数十年に及ぶことがあります。他の金融商品では、あまり見かけません。

学資保険

子どもの学費を準備するための保険です。子どもの進学のタイミングに合わせて、一時金が出ます。

どのタイミングでお金が出るかは、商品やプランによって異なります。ただし、そのほとんどは、大学の学費をターゲットにしています。

学資保険のイメージ図

子どもが病気・ケガのときの、治療費が出るものもあります。

個人年金保険

加入するときに決めた年齢に達すると、あらかじめ決めた金額の年金が、決められた期間(10年とか、一生とか)出ます。

個人年金保険のイメージ図

最近は、保険料の払込満了と年金開始との間に、数年の待機期間を設けている商品が目につきます。

保険をわかりにくくしているいくつかの仕組みを、噛み砕いて説明します。

保険の長い歴史の中で、不具合を解消するために、いろんな仕組みが生み出されてきました。

しかし、意味のある仕組みであっても、保険に慣れていない人にとっては、意味不明であったり、まぎらわしく映るかもしれません。

そんなポイントのいくつかを、噛み砕いて説明します。

保険料の更新、更新型の保険

保険期間が決まっている商品の中には、自動更新されるものがあります。

たとえば、10年更新型の保険商品の場合、原則として保険期間は10年です。

ただし、10年たった時点で、こちらが拒否の意思表示をしなければ更新されて、これまでと同じ保障内容でさらに10年間継続します。

仮に、更新の時点で健康状態が悪くても、それに関係なく更新できます。そこは安心できる点です。

ただし、保険料は、更新のときの年齢で再計算されるので、ほとんどの商品で、大きく値上がりします。

保険の自動更新のイメージ図

また、無制限に更新できるわけではありません。それぞれの商品ごとに、更新の限度(80歳までとか)が決められています。

保険期間と保険料払込期間

保障を受けられる期間を、保険期間とか保障期間とか契約期間などと呼びます。

保険料払込期間は、言葉通りの意味です。

定期型(「10年間」「60歳まで」のように、保険期間が区切られている)保険の場合、保険期間と保険料払込期間は一致しています。わかりやすいです。

一方、終身型(保障が一生涯続く)保険の場合、保険料払込期間には、2つのパターンがあります。

一つは、保険期間と同様に、保険料払込期間も一生涯になるパターンです。

終身払込のイメージ図

仕組みとしては分かりやすいです。ただし、仕事を引退した後も、保険料払込が続くのは、負担になるかもしれません。

そこで、保険期間は一生涯、保険料払込期間は有期というパターンも普及しています。

有期払込のイメージ図

この方が、1回に払い込む保険料は高くなります。

保険期間と保険料払込期間を混同しないように、ご注意ください。

一時払と全期前納

一時払も全期前納も、払わなければならない保険料を、1回にまとめて払い込みます。

ここまでなら、加入者が意識しなければならない違いは、両者にはなさそうです。

しかし、そうはいきません。どちらの払い方かによって、税金の取扱と、解約したときのお金の戻り方が違ってきます。

一時払

一時払ができる商品には、通常、商品名に〈一時払〉と明記されています。

一時払には、以下のような特徴があります。

  • 生命保険料控除は、保険料を払い込んだ年のみ。
  • 解約したときに、残り期間分相当のお金が戻ってくるわけではない。
  • 保険料の割引率が最も高い払込方法。

全期前納

全期前納とは、もともと月払いとか年払いの商品の保険料を、一括して払い込むことです。

保険会社からすると、今後受け取る予定のお金を、いったん預かっていることになります。保険料として使うのは、毎年1年分だけです。

保険会社にとっては、保険料を請求するコストを削減できます。その分、一時払いほどではありませんが、保険料を割引します。

全期前納のイメージ図

全期前納には、以下のような特徴があります。

  • 生命保険料控除は、その1年分の保険料について、毎年適用される。
  • 解約したら、まだ使っていない前納保険料は、戻ってくる。
  • 保険料の割引率は、一時払いに次いで高い。

配当金

保険料は、死亡率とか運用利回りとか保険会社の経営コストとかの、今後の見通し(=予定利率)をもとに算出されます。

予定利率のイメージ図

当然、見通しと実際の結果には差が出ます。何十年も続く保険だと、正確な見通しはそれだけ難しくなります。

もし、見通しより実際の結果が悪くても、投資型の商品でない限り、当初約束した通りの保障を受けられます。

逆に、見通しよりうまく行って、お金に余りが生じたら、配当金として、加入者に配分されます。

もっとも、保険商品には、配当が出ないものもあります。

ほとんどの保険会社は、商品の正式名称に、《有配当》《無配当》のどちらかの言葉を挿入しています。

近年は、低金利・マイナス金利が長引き、保険会社の資産運用は奮いません。現在販売されている商品に設定されている予定利率(見込まれる利回り)は、最低レベルです。それでも、配当は無いに等しいです。

しかし、これから10年、20年と過ぎるうちに金利が上昇すれば、現行商品の予定利率を簡単に上回って、運用成果を期待できそうです。長い目で見ると、《有配当》は有望です。

ただし、《無配当》は、将来の配当を期待できないかわりに、料金設定は《有配当》より安くなっています。

将来への期待を優先するか、現在の安さを優先するか、それぞれの方々の判断になります。

保険期間が長いときは、《有配当》の方が安心でしょうか?

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