学資保険とこども保険の違いを説明します。両者は近い存在ですが、重要な違いがあります。

子どものための生命保険に、学資保険こども保険があります。

この2つの名称の使い分けは、各保険会社の判断でおこなわれています。業界共通のルールがあるわけではありません。

とは言え、ある程度は、暗黙のルールが出来上がっています。

学資保険は貯蓄型の保険

子どもの教育費用の準備を目的とした、貯蓄型の保険商品です。

商品名に《学資》の文字が入っている商品は、だいたいこれに当てはまります。

また、商品説明や見積もりシミュレーションに、返戻率(返還率、払戻率、戻り率)という言葉が登場したら、学資保険である可能性が高いです。

ちなみに、貯蓄型保険では、利回りを返戻率(返還率、払戻率、戻り率)で表します。

そして、学資金として受け取る金額が、払い込んだ保険料より多くなることが、アピールされています。

以下は、日本生命『ニッセイ学資保険』の例です。

学資保険の返戻率

返戻率の計算は簡単です。払い込む保険総額を100%として、受け取る金額の総額を%で表します。増えてもどるときは、返戻率は100%を超えます。

貯蓄の保険なら、返戻率が100%を超えるのは当たり前と思えるかもしれません。しかし、超低金利の時代なので、そうとは限りません。

商品や保障プランによって、返戻率が100%を下回ることは、けっこうあります。返戻率を必ずチェックしてください。

ちなみに、このタイプの保険は、特約(死亡保障、ケガや病気の保障)の少ない商品がほとんどです。

特約の大半は掛け捨てです。掛け捨ての特約を付加すると、返戻率が悪くなります。機能が増えても、本来の性能が劣化しては、元も子もありません。

どうしても医療保障などが欲しいなら、学資保険とは別に、子どもが加入できる医療保険を、ご検討ください。

こども保険

こども保険は、文字通り、子どものためになる保障を一つにまとめた、パッケージ型の保険です。

子どものためになる保障といっても、どういう保障が組み込まれているかは、保険会社によって異なります。

比較的よく目にする保障に、以下があります。

  • 学資を貯める(学資保険と同じ)。
  • 親が亡くなったときに、子どもの養育費として年金(育英年金)が出る。
  • 子どもが入院したときに治療費が出る。
  • 子どもが亡くなったときに死亡給付金が出る。

見方によっては

学資保険に、死亡保険や医療保険などを追加したものが、こども保険と言えます。

学資保険とこども保険の違い

ただし、こども保険が、学資保険のかわりになるわけではありません。

というのは、こども保険の返戻率は、通常は100%未満(保険料総額>受取総額)になるからです。

死亡保険や医療保険は、掛け捨て保険です。たとえば、死亡保険の保険料は、保険期間中に亡くならないと、戻りません。払いっ放しになります。

掛け捨ての部分が大きくなるほど、返戻率は下がります。

超低金利が長く続いており、ただでさえ利回りが低い上に、掛け捨て部分を抱え込んだら、返戻率は簡単に100%を下回ります。

もちろん、返戻率が100%未満になることをわかった上で、こども保険を選ぶのなら、問題ありません。

心配なのは

よくわからないまま、貯蓄しているつもりで、ごとも保険に入ってしまうことです。

こども保険をお勧めできない3つの理由があります。

こども保険は、子育て世帯が気になるであろう保障がひとまとめになっており、パッと見は便利そうです。

しかし、お勧めできません。その理由を、以下で説明します。

目的の異なる保障を、一つの保険商品でカバーすることにはリスクがある

こども保険に限らず、複数の保障機能をひとまとめにしたパッケージ型の保険商品は数多いです。

そもそも、こうしたパッケージ型商品は、お勧めできません。なぜなら・・・

  • 将来、保険に対するニーズや考え方が変わっても、それに合わせて変更できないことがある。
  • 組み込まれている保障に、質の低いもの・割高なものが混ざっているかもしれない。

以下で補足説明します。

途中変更したいとき、柔軟性が低い

パッケージ型商品は、たいていは主たる部分と付加的な部分からできています。そして、主たる部分が消滅すると、付加的な部分も自動的に消滅します。

たとえば、こども保険が満期(=保険期間の終了)を迎えた後、子ども用の医療保険だけを継続したくてもできません。いっしょに消滅します。

あるいは、保険期間中に、子ども用の医療保険だけ残して、他の部分を解約することもできません。

生命保険は、長く続けるものが多いです。子どもの保険なら、たいてい20年前後続けることになります。その間に、保険に対するニーズや考え方が変わるかもしれません。

パッケージ型保険は、加入するときには便利です。1回の加入手続きで、複数の保険が手に入ります。

しかし、この種の保険商品には、いろいろと細かなルールがあって、途中変更したいときとかは、案外と融通が利きません。

「できるだろう」と思って保険会社に問い合わせたら、できないことがちょくちょくあります。

学資は単体の学資保険で、入院費用は単体の医療保険で対策しておけば、途中変更に柔軟に対応できます。

生命保険は、将来変更することを想定して、目的ごとに独立した商品に加入したいです。

組み込まれている保障は玉石混淆

一つの商品に、複数の保障が組み込まれている場合、その中には、優れたものもあれば、そうではないものもあります。

中には、組み込まれている保障の、個々の保険料がわからなくて、安いのか高いのかを判断できないものもあります。

それぞれの保障ごとに、もっともこちらのニーズに合っていて、割安な商品を選ぶほうが、長い目で見ると良い買い物になります。

世帯主の死亡保障は、必ず単体の死亡保険で

ほとんどのこども保険では、親が亡くなったときに育英年金が出ます。

確かに、一家の稼ぎ手が亡くなることを想像すると、子どもの養育費が心配になります。

しかし、この不安には、こども保険ではなく、単体の死亡保険で対策するべきです。

というのは、一家の稼ぎ手が亡くなったときに必要になるのは、その子の養育費だけではありません。

遺族全員の生活費とか、他に子どもがいればその子の養育費とか、賃貸住宅なら家賃とか、いろいろあります。

対策にもれがあってはマズイので、単体の死亡保険で、必要十分な保険金を準備したいです。

詳しいことは、死んだときに必要になる金額をご覧ください。

こども保険の学資の積立は、たいてい利回りが悪い

貯蓄性を前面に出している学資保険は、商品説明の中で必ず「返戻率」(払戻率、返還率、戻り率)が示されています。

一方、こども保険は、貯蓄部分と掛け捨て部分が混在していることもあって、「返戻率」はほぼ記載されていません。どうせ良くない数字なので。

それだけなら理解できる面はあります。ところが、こども保険の場合、学資を積み立てる部分だけの返戻率も、悪いことが多いです。

おそらく

ほとんどのこども保険で、学資積立部分だけの返戻率は、100%を下回ります。

少なくとも、保険料払込期間を18歳までとか、それより遅くしたら、返戻率は100%を切ります。

だったら、学資の積立のためには、返戻率の良好な学資保険を選び、死亡保障のためには死亡保険を、入院費用のためには医療保険に、別々に入るほうが賢いです。

子どもの入院費用と学資とでは、リスクの大きさが全く違う

学費は、子どもがしかるべき年齢に達したら、金額に多少の幅はありますが、確実に必要になります。

学費の出費をリスクととらえるなら、発生するリスクは99%くらいあります。

一方、こども保険の医療特約は、入院や手術等の費用の保障ですが、対象年齢の子どもは、全世代の中で最も入院しにくいです。

グラフは、厚生労働省『患者調査』(平成29年)と総務省『人口統計』をもとに、年齢層別の入院する確率を表しています。

年齢層別の入院する確率

赤枠で囲んでいるのが、こども保険の対象年齢です。

0歳は出産に伴うトラブルのせいで、多くなっています。しかし、1〜19歳の入院する確率はとても低く、0.1%前後です。

また、運悪く入院することになっても、ほとんどの市区町村に子ども医療費助成制度があり、医療費用を支援してくれます。

助成の内容は市区町村によって差がありますが、15歳までの子どもが医療機関で治療を受けたら(入院・通院とも)、保険適用の自己負担分の全部または大半が免除されます。

この制度を利用すれば、15歳までの医療費を保険などで準備する必要は無さそうです。

子どもの医療保障を検討するなら、15歳以降で十分に間に合います。そのとき検討する保険は、こども保険ではなく(15歳ではほとんど加入できない)、医療保険などです。

市販されている学資保険とこども保険を調べました。

ここまで、学資保険とこども保険を、異なる保険として説明してきました。

両方を区別する判定基準をあらためてまとめると・・・

  • 死亡保障や医療保障が自動セットされていたら「こども保険」
  • 商品説明で返戻率が示されていたら「学資保険」

たいていはこの基準で識別できます。とは言え、紛らわしいものもあります。

そこで、2019年現在販売されている主な商品を整理しました。

現在市販されている「こども保険」

死亡保障や医療保障が自動セットされている商品です。

なお、死亡保障や医療保障があっても、それが特約であれば、下の「学資保険」に分類しています。

保険会社/商品名 備考
朝日生命『えくぼ』 契約者(親)の死亡保障が自動セット
FWD富士生命『こども保険』 契約者(親)の死亡保障が自動セット
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『こども保険』 契約者(親)と子の死亡保障が自動セット
東京海上日動あんしん生命『こども保険』 契約者(親)と子の死亡保障が自動セット
日本生命『ニッセイこどもの保険 げ・ん・き』 契約者(親)の死亡保障が自動セット
三井住友海上あいおい生命『&LIFE こども保険』 子の死亡保障が自動セット

上で説明したように、これらの商品はお勧めできません。

学資の積立の他に、世帯主が亡くなったときの死亡保障や、子どもが入院したときの保障に関心をお持ちでしたら、それぞれの専用の保険を、ご検討ください。

  • 教育費用の準備
      ⇒ 学資保険
  • 世帯主が亡くなったときの死亡保障
      ⇒ 収入保障保険、定期保険など
  • 子どもが入院したときの保障
      ⇒ 医療保険、傷害保険など

現在市販されている「学資保険」

教育資金の積立を最優先にした保険商品です。

見た目の特徴は、商品説明や見積もりシミュレーションで、返戻率(返還率、払戻率、戻り率)が提示されています。

なお、死亡保障や医療保障が特約として提供されていて、付けるかを選べるものは、こちらに含めています。

保険会社/商品名 備考
朝日生命『ゆ・め』 返戻率100%以下になることが多い。
アフラックの夢みるこどもの学資保険 返戻率100%以下になることが多い。
かんぽ生命『学資保険』
住友生命『スミセイのこどもすくすく保険』
住友生命『たのしみキャンバス』 個人年金保険の仕組みを流用。
ソニー生命『学資保険』
第一生命『こども応援団・Mickey』 返戻率低め(?)。
太陽生命『わくわくポッケ』 返戻率低め(?)。
日本生命『ニッセイ学資保険』
明治安田生命『つみたて学資』

ところで、細かくなりますが、ご注意いただきたい点があります。

上の学資保険の中には、「子どもが亡くなったときに死亡給付金が出る」と説明されているものがいくつかあります。

学資保険のような貯蓄型保険に加入して途中で亡くなると、お金が戻ります。ただし、戻る金額は、通常はそれまでに払い込んだ保険料より少ないです。

ところが、「子どもが亡くなったときに死亡給付金が出る」学資保険では、途中で子どもが亡くなったときに、それまでに払い込んだ保険料と同額が返還されます(ただし、すでに学資金や祝金を受け取っていたら、その金額は差し引かれます)。

つまり、普通の貯蓄型保険より、少しばかり多い金額が返還されます。

このタイプの保険商品は、厳密には「こども保険」になりそうですが、返戻率への影響が小さいので、「学資保険」に含めています。

学資保険の検討では、保険の専門家を、うまく活用しましょう。

多くの生命保険会社は、学資保険やこども保険を、重視しています。

というのは、生命保険会社にとって、学資保険やこども保険は、新しい夫婦世帯との出会いのきっかけになる商品だからです。

自社の学資保険・こども保険を気に入ってもらえたら、それをきっかけにして、他の保険商品も検討してもらえるかもしれません。

ですので、他の貯蓄型保険より、学資保険の利回りを高く設定しているところも複数あります。

そんなわけで、上でご案内したように、学資保険の選択肢はけっこう多くて、目移りしてしまいます。

また、まぎらわしいことに、貯蓄型保険の利回りを表すのに、「返戻率」という生命保険業界特有の数値が使われています。

長ければ20年くらい続ける保険なので、誤解のないように専門家のアドバイスを聞きなから、ベストの商品を選びたいです。

詳しいことは

を、ご覧ください。

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