医療保険は、がんに当然対応しています。ただし、保障の手厚さには差があります。がんに強い医療保険と、おすすめする保障プランをご案内します。

がんは、日本人の二人に一人がかかる大病です。医療保険は、当然のごとく、がんに対応しています。

ただし、主契約の保障(=標準で組み込まれている保障)だけでは不十分です。特約を付加することで、安心できる保障になります。

現在市販されている医療保険のほとんどが、がんのための特約を用意しています。
ただし、一見同じように見えて、細かく比較すると、保障の優劣があります。

以下、順序立てて説明します。

ほとんど医療保険は、がんにも対応していますが、主契約の保障(=必須の保障)だけでは不十分です。

がんは、日本人の二人に一人がかかり、死因の第一位を長年にわたって占めている、国民病と言える病気です。

それだけに、市販されている医療保険のほとんどは、がんに対応しています。
とは言え、医療保険の主契約の保障(=必須の保障)だけでは、がんへの必要十分な対策にはなりません。

医療保険は、入院保障をメインとする保険

医療保険の主契約だけで、がん対策として不十分な原因は、医療保険が入院保障をメインとしているからです。

入院すると、短期間にまとまった出費になります。そのために、医療保険は、入院保障に軸足を置いています。

一昔前は、がんがある程度進行すると、高い確率で入院しました。だから、医療保険の入院給付金で、かなりの程度カバーできました。
しかし、ここ15年くらいで状況は変わっています。

がんは、入院患者より、通院患者の方が多い

以下は、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から作成した、がんの入院患者数と通院患者数の推移のグラフです。

がんの入院患者数と通院患者数の推移のグラフ

この調査は3年ごとに実施されます。
平成17年の調査では、入院患者数が通院患者数を上回っていますした。それが、平成20年の調査では、通院患者数が逆転し、その後入院患者数との差を広げています。

医療技術の進歩によって、通院で出来る治療の範囲が広がってきたために、医療保険の主契約だけでは、がん治療に対応しきれなくなっています。

そうした現状を、保険会社もわかっているようで、ほとんどの医療保険には、主契約の保障をパワーアップするために、がんのための特約が用意されています。

がんに関連する保障や特約はいろいろあります。その中で、特に重視したいものが2つあります。

がんに対する消費者の意識は高いようで、医療保険のがんに関連する保障や特約は、多種多様です。商品によっては、迷うほどの数の特約が用意されています。

それらの中には、重視したいものと、それほど重要ではないものがあります。

がんへの対策として、重視したい保障・特約

がんに関連した保障の中で重視したいのは、通院費用に使える保障です。具体的には、以下の2つに注目してください。

  • 診断一時金の特約
  • 通院給付金の特約

診断一時金の給付金額を大きくすれば、全費用をまかなえる

がんの診断が確定したら、まとまった金額の一時金が出る特約です。

入院の有無、治療方法、症状の軽重などに関係なく給付金が出ます。しかも、診断確定が支払条件なので、素早く保険会社に請求すれば、早いタイミングでお金が手元に届きます

一時金の金額を大きく設定して(100万円以上)、一時金が複数回出るタイプの商品を選べば、それだけで、治療費用のすべてをカバーできる可能性大です。

ただし、一時金の金額を大きくすると、保険料もけっこう高くなります

がん専用の通院給付金特約

保険会社は、通院費用を保障するのに消極的です。
理由はいくつか考えられます。必要な通院と不必要な通院の区別が難しいとか、保険料が高くなるわりに、ありがたみは少なかったりとか・・・

しかし、がんの通院に限っては、保険会社も対応を強化しており、年々充実している印象です。

がんの三大治療(手術、放射線治療、抗がん剤治療)のうち、放射線治療と抗がん剤治療は、通院で実施されることが増えているそうです。
そして、医療技術の発展にともなって、そういう治療はさらに増えそうです。

将来にわたって、がんの通院治療費の全部または大半をまかなえる、通院特約が理想です。

しかし、現状で、理想的と言えそうな通院特約は、残念ながらわずかです

そこまで重視しなくてもよいがんの特約

実は、医療保険の、がん関連の特約(商品によっては、主契約に組み込まれている保障)には、そんなに重要ではないものもあります。
たとえば・・・

  • がんの入院を、日数無制限で保障する特約
  • 放射線治療給付金
  • 抗がん剤治療給付金
  • ホルモン療法、温熱療法など、個別の治療法に対応した特約

1回あたりのがんの入院は、平均より短い

ほぼすべての医療保険の主契約に、入院給付金が組み込まれています。1日あたりの給付金額が決まっていて、入院日数分の給付金を、もらうことができます。

ただし、入院1回あたりの保障される日数には上限がもうけられています。最も多いのは60日までという制限です。

これに対して、ほとんどの医療保険では、がんによる入院のときに、日数無制限で保障する特約が、提供されています。商品によっては、主契約にこの機能をあらかじめ組み込んでいます。

しかし、がんの入院1回あたりの在院期間は19.9日で、全体の平均(31.9日)より、かなり短いです
これなら、60日までという医療保険の標準的な入院保障で、十分に対処できそうです。少なくとも、日数無制限の入院保障に、さほどのありがたみはありません。

参考までに、いくつかのがんの平均入院期間を、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から引用します。

平均在院日数
すべての入院 31.9日
がん全体 19.9日
胃がん 19.3日
大腸がん 18.0日
肺がん 20.9日
乳がん 12.5日

個々の治療法に対応した給付金に頼るのは危険

ほとんどの医療保険の主契約に、手術給付金(手術を受けたら、一時金が出る)が組み込まれています。

最近は、手術給付金に加えて、放射線治療給付金を主契約に組み込む商品が増えてきました。

放射線治療は、たとえ通院で実施されても、ある期間は毎日のように通院することになります。費用も、入院と同じくらいにかかります。
だから、手術と同じように、保険から一時金が出ると助かります。

しかし、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法・・・というように、治療法ごとに個別に保障を準備する、という考え方はおすすめできません。

そんな考え方をとってしまうと、新しい治療法が登場するたびに、保険を見直さなければなりません。キリが無くなってしまいます。

医療保険を安心して長く続けらるなら・・・

入院給付金、通院給付金、診断一時金など、治療法に縛られない保障を、優先的に確保しましょう。

もっとも、個別の治療法ごとの給付金は無意味、ということではありません。あればあったで、役には立ちます。

がんに強い医療保険をご案内します。ただし、完璧な商品はありません。それぞれ強み、弱みがあります。

上でご説明した判断基準を元に、安心して加入できそうな医療保険をご案内します。

いずれの商品でも、がん関連の特約を付加することになります。具体的な特約名をあげて説明します。

オリックス生命『新CURE(キュア)』

『新CURE(キュア)』の特徴の一つは、がんの入院を日数無制限で保障する機能が、主契約に組み込まれていることです。
と言っても、他社でも特約で同じ機能が提供されているので、強みと言うほどではありません。

付加を検討したい特約は、以下の2つです。

  • 重度三疾病一時金特約またはがん一時金特約
  • がん通院特約

重度三疾病一時金特約とがん一時金特約は

がんに関しては、どちらを選んでも同じです。
初めてがんと診断されたとき、再度がんと診断されて入院を開始したときに、1年に1回を限度に、50万円か100万円の一時金が出ます

1年に1回を限度というのは、安心感と使い勝手の良さで、他社に勝っています。

ちなみに、2年に1回を限度というのが、多数派です。

なお、重度三疾病一時金特約を選ぶと、急性心筋梗塞、脳卒中で入院を開始したときにも、一時金が出ます。

がん通院特約は

上の2つの一時金特約のいずれかと一緒に付加しなければなりません。
よって、一時金特約だけでは不安なときに、検討することになります。

がんで入院したときに、退院後1年間のがんのための通院費用を保障します。
それとは別に、通院で約款所定の4つの治療(手術、放射線照射、温熱療法、抗がん剤治療)を受けても、給付金が出ます

通院のみの治療でも給付金が出るのは、他社より優れています
ただし、治療法が4つに限られているので、将来新しい治療法が登場したときに、対応できないリスクがあります

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『新・健康のお守り』

この商品の主契約は、一見普通に見えますが、給付金の金額や保障日数などを、他社より幅広くきめ細かく設定できます
たとえば、入院給付金の日額を、3,000円~20,000円の範囲で設定できます。

その反面、選択の幅が広すぎて、迷ってしまう危険があります
がんに直接かかわる特約にしても、7つも用意されていて、どれを選ぶかとまどってしまいます。

その中から、付加を検討したい特約は、以下の2つです。

  • 医療用三大疾病入院一時金特約または医療用がん診断給付特約
  • 医療用がん外来治療給付特約

医療用三大疾病入院一時金特約と医療用がん診断給付特約は

がんに関しては、どちらを選んでも同じです。初めてがんと診断されたとき、再度がんと診断されて入院を開始したときに、2年に1回を限度に、あらかじめ決められた一時金(5万円~200万円)が出ます

他社と比べて一時金の金額設定の幅が広いです(5万円~200万円)
そのため、他の特約と組み合わせる使い方でも、この特約だけで治療費の大半をまかなう使い方も、選ぶことができます。

なお、医療用三大疾病入院一時金特約を選ぶと、急性心筋梗塞、脳卒中で入院を開始したときにも、一時金が出ます。

医療用がん外来治療給付特約は

上の医療用がん診断給付特約と一緒に付加しなければなりません。
よって、一時金だけでは不安なときに、検討することになります。

がんの診断確定から1年間の、がん治療を直接の目的とする通院費用が、保障されます
1年を経過して、約款所定の4つの治療(手術療法、放射線療法、化学療法、疼痛緩和療法)を継続する必要があるときは、保障は延長されます。

がんの診断確定から1年間については、最大で120日までという日数制限はありますが、治療法による制限はありません。つまり、診断確定から1年間にかんしては、今後新しい治療法が登場しても、柔軟に対応できます

ネオファースト生命『ネオdeいりょう』

ネオファースト生命は新しい会社ですが、国内大手、第一生命の100%系列会社です。

『ネオdeいりょう』のもっとも目につく特徴は、非喫煙で健康状態良好な人は、保険料が割り引かれる点です(健康保険料率)。
この料率を適用されたら、トップクラスの安さになります。

『ネオdeいりょう』の特約のうち、要検討なのは以下の2つです。

  • がん診断特約
  • 通院特約

がん診断特約は

初めてがんと診断されたとき、再度がんと診断されて入院を開始したときに、2年に1回を限度に、50万円または100万円の一時金が出ます

がんの一時金としては平均的な内容ですが、健康体料率の適用を受けられたら、割安な保険料が魅力になります

通院特約は

がん専用の特約ではありません。入院することを条件に、退院後180日以内の通院費用が、保障されます。
ただし、がんの入院に限って、退院後5年以内の、がん治療のための通院費用が保障されます(治療法による制限はない)

5年間という長期間の保障はうれしいものの、通院のみによるがん治療では、給付金は全く出ません

三井住友海上あいおい生命『&LIFE 新医療保険Aプレミア』

『&LIFE 新医療保険Aプレミア』の特徴は、多機能であることです。2つの特則と10の特約が用意されていて、それらを組み合わせることで、他社より手厚い保障を実現できます。

逆に、シンブルな保障で保険料を安くしたい、というニーズは苦手です。

『&LIFE 新医療保険Aプレミア』は、充実した手厚い保障を望む人に、向いている医療保険の一つです

用意されている特約のうち、要検討なのは以下の2つです。

  • ガン診断給付特約
  • ガン治療通院給付特約

ガン診断給付特約は

初めてがんと診断されたとき、再度がんと診断されて入院を開始したときに、1年に1回を限度に、100万円の一時金が出ます
1年に1回出るので、他社より手厚いです。

ガン治療通院給付特約は

がんと診断されてから5年間以内の、がん治療を目的とする通院が、保障の対象になります。

給付金の支払条件に、治療法による事細かな制限がないので、安心して長く続けられます

ガン治療通院給付特約は、がんの通院特約として優れた保障内容で、おすすめです。

現状では、がんの診断一時金を柱にして、入院給付金と通院特約でそれを補強する、という考え方が、実際的です。

がんに限らず、病気の治療は、入院治療か通院治療かのどちらかです。ということは、入院保障と通院保障を組み合わせれば、十分に対策できそうです。

しかし、現実には、入院保障(=入院給付金)は頼りにできますが、通院保障(=通院特約)はまだまだ頼りないです

例外は、三井住友海上あいおい生命『&LIFE 新医療保険Aプレミア』のガン治療通院給付特約です。がんの通院特約として優秀です。
とは言え、この特約だけを理由に、『&LIFE 新医療保険Aプレミア』を選べるとは限りません。がん保険ではなく医療保険なので、他にも判断のポイントはいくつもあります。

医療保険でがん対策したいけれど、『&LIFE 新医療保険Aプレミア』を選べないなら、入院か通院かにとらわれない診断一時金の軸に、検討するのが現実的です

診断一時金を中心に、対策を考える

診断一時金だって万能ではありません。
加入するときに一時金の金額を決めるので、実際に必要な金額と一時金の金額とが、ズレてしまう危険が大きいです
また、一時金の金額を高くするほど、保険料も高額になりがちです

それでも、入院・通院や治療方法などに影響されないで、診断確定後という早いタイミングでお金が出るという使い勝手の良さは、魅力的です。

このような診断一時金の強み・弱みを踏まえつつ、必要なら入院給付金や通院特約で補強するという方針で、検討を進めましょう。

300~400万円確保できれば、診断一時金だけで乗り切れる

少し古いデータですが、市民医療協議会『がん患者意識調査』(2010年)によると、一生分のがんの対策費用として300~400万円くらいを準備できれば、ほとんどの場合に乗り切れます。

ということは、診断一時金(または診断給付金)の特約で、一時金を300~400万円くらいに設定すれば、他の保障無しでもいけそうです。

しかし、300~400万円に設定できる診断一時金特約(診断給付金特約)はめったにありません。また、あっても、保険料がとても高額になってしまいます

診断一時金の受取額100万円が、分かれ目

そもそも、診断一時金は複数回出るので、仮に50万円に設定しても、6~8回受け取れば、合計で300~400万円になります。

ただし、上で実際の商品の例をご覧いただきましたが、一時金が出るのは2年に1回というのが主流です。となると、6~8回受け取るには発病から10~14年がかりになります。がんの再発・転移が、そんなにのんびり進行してくれるとは限りません。

そう考えると・・・

診断一時金100万円に設定して、3~4回に分けて(発病から4~6年間で)受け取るのが、現実的です。

というわけで、診断一時金を柱とした対策は、以下の2パターンに分かれそうです。

  • 診断一時金で、治療費の全額がほとんどをカバーするなら、診断一時金の設定は100万円以上にしたい。
  • 一時金が100万円未満のときは、通院特約や預貯金などで補うことを想定しておきたい。

すでに医療保険(医療特約を含む)に入っている人が、がんへの保障を強化するなら、がん保険も検討対象に加えましょう。

これまでの説明は、まだ医療保険にもがん保険にも加入していない方々を前提としていました。

ここでは、すでに医療保険に加入している人とか、死亡保険などに医療特約を付加している人が、これからがんの保障を充実させるときに、取りうる方法を説明します。

最新のがん保険もチェックする

すでに医療保険(医療特約を含む)に加入している人が、がんへの保障を強化する場合、3つの方法があります。

  • 現在の医療保険はそのままにして、別にがん保険に加入する
  • 現在の医療保険を止めて、がんに強い医療保険に入り直す。
  • 現在の医療保険に、がん関連の特約を付加する。

上の3つのうち、2番目の方法は、悪手です。別の医療保険に入り直すと、不満がない部分の保険料まで、現在の年齢や健康状態をもとに再計算されて、高くなります。損にしかなりません。

3番目の方法は、現在加入している医療保険に、がん関連の特約がある場合に限って、使うことができます。
追加する特約の保険料が増えるだけなので、ムダがありません。

ただし、古い医療保険だと、がんの特約の中身が貧相で、物足りない危険があります。また、健康状態の審査とか告知とか、手続きは新規加入するときに近い手間になります。

だったら、保障内容や保険料をチェックする意味で、最新のがん保険も検討対象にして、見積もりを比較することをおすすめします
がん保険は、進化が急速な保険ジャンルです。新しいものもチェックしておきたいです。

医療保険と組み合わせやすいがん保険を選ぶ

医療保険と組み合わせるのに、どんながん保険でもうまくかみ合うわけではありません。
どちらも医療関連の保険なので、不用意に組み合わせると、保障の重複が起こって、保険料のムダが生じます

特に注意したいのは、入院給付金(入院日数に応じてお金が出る)や手術給付金(手術を受けると、一時金が出る)が、主契約になっているがん保険です。

この2つの給付金は、ほぼすべての医療保険の主契約に組み込まれています。同じように、この2つが主契約に入っているがん保険と組み合わせると、保障の重複が起こり、保険料のムダになります。

保険によるがん対策は、選択肢が多すぎて、こんがらがります。保険の専門家を活用して、適切な判断を!

医療保険の保障内容は、一見同じように思えても、細かな違いがあります。そして、その違いが、将来に大きな影響を及ぼす危険があります。
せっかく長年にわたって保険料を払ってきたのに、いざ病気になったら、給付金の支払条件に合わなくて、お金をもらえないという事態は、避けたいです。

判断ミスを犯さないために、保険の専門家を上手に活用しましょう。

また、候補の商品を上でご案内しましたが、まちがいのない判断をするためには、ご自分の条件設定で見積もりをして、専門家の助言を聞きながら結論を出していただきたいです。

医療保険にしろ、がん保険にしろ、一生かけ続ける可能性があります。小さなムダでも、長い年月のうちに、積もり積もります。

そこで、保険や家計の専門家の活用をお勧めします。専門家に一つ一つ確認しながら、まちがいの無い選択をしましょう。

しかし、どうすればそんな専門家に相談できるのでしょうか!?

意外と簡単に、しかも無料で、家計の専門家に相談する方法があります。
詳しいことは

を、ご覧ください。

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
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