医療保険は、がんに当然対応しています。ただし、保障の手厚さには差があります。がんに強い医療保険と、おすすめする保障プランをご案内します。

がんの治療費の全部か大部分を、保険から出る給付金でカバーするなら、診断一時金を核にして、保障プランを検討しましょう。

その理由や、保障プランを検討する上での注意点、診断一時金が充実しているおすすめのがん保険などを、
以下、順序立てて説明します。

医療技術の進歩で、がんの治療は多様化しつつあります。それに柔軟に対応できるのは診断一時金です。

かつては、がんのような重い病気になると、たいていは入院して治療を受けました。それに合わせて、医療保険やがん保険も、入院保障がメインになっていました。

しかし、医療技術の進歩により、がん治療に変化が起こっています。

通院患者数が増大し、入院期間が短縮化している

厚生労働省『患者調査』を見ると、2つの大きな変化を確認できます。

通院患者数の増大

顕著な傾向のもうひとつが、通院患者数の増大です。

以下は、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から作成した、がんの入院患者数と通院患者数の推移のグラフです。

がんの入院患者数と通院患者数の推移のグラフ

この調査は3年ごとに実施されます。
平成17年の調査では、入院患者数が通院患者数を上回っていますした。それが、平成20年の調査では、通院患者数が逆転し、その後入院患者数との差を広げています。

入院期間の短縮化

変化の1つめが、入院期間の短縮化です。

グラフは、厚生労働省『患者調査』の過去5回分の調査結果をもとに、がんとすべての病気・ケガについて、入院日数の移り変わりをまとめたものです。

がん患者の、入院期間の推移のグラフ

すべての病気・ケガの入院期間は、調査のたびに短くなっています。ただし、減少のペースはゆっくりしています。

一方、がんの入院期間は、平成23〜26年の間はペースダウンしましたが、全体としては急速に減っています。

入院するかどうかや、治療の進め方などに左右されない保険

がんは、日本人の死因のトップを占める病気です。がん治療は、今後も進化し続けるでしょう。

通院患者数の増大とか、入院期間の短縮化という傾向は続くでしょうし、何か新しい変化が表れるかもしれません。
また、これまでになかった新しい治療法や治療薬なども、順次登場するでしょう。

となると・・・

治療費用の準備手段である保険に、がん治療の変化に対応できる柔軟性が求められます。

そんなニーズに応えられるのが、がんの診断一時金です。

がんの診断一時金は、2つの大きなメリットで、がん治療を長期にわたってしっかりバックアップします。

がんは国民病とも呼ばれる病気だけに、がん治療のための保障はいろいろあります。

そんな中で、診断一時金(診断給付金)には、他にかえがたい2つの大きなメリットがあります。

診断一時金の2つの大きなメリット

診断一時金と、がん保険によくある他の給付金との違いを、下表にまとめました。

名称 請求の条件 請求できる時期
診断一時金 がんの診断が確定すること。 治療開始前や治療中でも可能。
入院給付金 がんの治療のために入院すること。 退院後に請求。
手術給付金 /
放射線治療給付金
がんのために治療を受けること。 治療後に請求。
入院一時金 がんのために入院すること。 入院開始後に請求。
通院給付金 がんのために通院すること。 通院後に請求。

診断一時金は、診断の確定が条件なので、入院か通院かとか、治療方法などに影響されません。将来、全く新しい治療法が登場しても、それに備えることができます。

また、請求書と病院の診断書を準備出来たら、治療開始前であっても、保険会社に支払いを請求できます。
それだけ、お金を早く受取ることができるので、いろんな用途に使いことができます

類似品に注意が必要!

保険には、“一時金”という言葉が頻繁に登場します。
ここでおすすめしているのは“診断”一時金です。それ以外の一時金と混同しないでください。

紛らわしいものを、いくつかご案内します。

治療一時金、入院一時金などと混同しない

たとえば、メットライフ生命『ガードエックス』の主契約は、治療一時金です。一時金が出る条件は、以下のいずれかです。

  • 所定の手術・放射線治療・抗がん剤治療のいずれかを受けた。
  • 最も進行した病期と診断され、入院または通院した。

がんと診断されただけでは、一時金は出ません。その後、入院か通院をすることも条件に入っています。

一時金の受け取りの可否に、治療の進め方が影響します。そして、請求して受け取ることのできるタイミングは、遅くなります。

特に、将来新しい治療法が登場したときに、それが手術・放射線治療・抗がん剤治療のいずれにも当てはまらなければ、一時金が出ない危険があります

「三大疾病〜」「特定疾病〜」「七大生活習慣病〜」はOK

がんだけではなく、他の重病もいっしょにカバーする、一時金の保険や特約があります。
たいていは、名称の中に、「三大疾病〜」「特定疾病〜」「七大生活習慣病〜」というような言葉が含まれています。

これらの保険や特約も、がんの診断一時金として役に立ちます。よって、検討対象に入ります。

なお、これらの保険・特約では、がん以外の病気(脳卒中、急性心不全など)でも一時金は出るものの、がんのような診断一時金(診断給付金)ではありません。

病気ごとに、一時金を請求できる条件が決められています。
そして、がん以外の病気は、入院したり手術を受けないと、一時金を請求できません。

がんの診断一時金について、最も悩ましいのは、一時金の金額をいくらに設定するか・・・です。

診断一時金の有用性はあきらかです。できれば、がん治療の全額を、診断一時金でまかないたいです。

しかし、がんは、もともと治療費用を予測しにくい病気です。というのは、症状による治療費用の幅が大きく、再発・転移があるからです。

そのうえ、保険加入の時点(=がんの発病前)に一時金の金額を決めなければなりません。
がん治療にかかる総額を、正確に見込むことは困難です。

がんの治療費用として300万円以上を確保したい

がんの治療費の総額を調べるのは難しいです。
信頼できそうな、大規模な調査結果を探しましたが、なかなか見つかりませんでした。

やや古いデータですが、日本医療政策機構『がん患者意識調査2010』の結果を、ご紹介します。

この調査結果をもとに、治療費用(総額)ごとのグラフを、以下のように作りました。

がんの治療費総額の割合

平均は約115万円です。そして、全体のうちの62.7%が、100万円以内に収まっています。
100万円準備出来たら、半分以上のケースでは、治療費用をまかなえてしまいます。

治療費全額を診断一時金でカバーすることを目指すなら

100万円では心もとないです。
上のグラフを見る限りでは、300万円で全体の約91%、400万円で95%以上をカバーできます。

ということは・・・

がんの治療費を準備するなら、300万円以上が目標になりそうです。

診断一時金の金額を100万円以上に指定する

300万円以上を保険の診断一時金で準備するとなると、一時金の金額を300万円に設定しそうになります。

しかし、がん保険や医療保険の診断一時金を検討するときは、一時金の金額は100万円を目安にしましょう。

なぜかというと、ほとんどの診断一時金は、2年に1回(商品によっては年に1回)を限度に、複数回受け取ることができるからです。

がん治療が年単位で継続した場合、下図のように、300万円を4年がかりで受け取ることができます。

診断給付金を4年のうちに300万円受け取るイメージ

4年という期間をどう判断するかですが、以下のような専門家の見解があります。

がんの再発は治療後3年以内(胃がんの場合は治療後1~2年以内)に起こることが多く、5年以上たってから再発することは少ないことがわかっています。

(by 日本臨床外科学会)

これを読むと、4年という期間は、まずまず妥当なようです。

2年という間隔に不安を覚えるなら、1回あたりの金額を増額するか、年に1回一時金をもらえる保険商品を選ぶことになります。

診断一時金(診断給付金)を軸とした保険商品の選び方は、3通りあります。ご自分のニーズにあった方法を選んでください。

がんの診断一時金(診断給付金)には注目が集まっていて、いろんな保険商品で提供されています。
何を基準にどれを選ぶか、迷ってしまうほどです。

そこで、大きく3タイプに分けて、商品の実名を交えて、ご案内します。

がん保険の診断一時金で、がんの治療費用をまかなう

がんの保険のほとんどの商品に、がんの診断一時金(診断給付金)は用意されています。

しかし、がんの診断一時金(診断給付金)メインで保障プランを作ろうとすると、選択肢は意外と狭くなります。

おすすめするのは、主契約(がん保険の中心となる必須の保障)が診断一時金(診断給付金)になっている商品です。

  • FWD富士生命『新がんベスト・ゴールドα』
  • 東京海上日動あんしん生命『がん診断保険R』

この他のがん保険は、主契約に診断一時金(診断給付金)以外の保障が組み込まれていて、できるだけ診断一時金だけで乗り切るという方針には合いません。

FWD富士生命『新がんベスト・ゴールドα』

AIG富士生命が、2017年にFWD富士生命として、生まれ変わりました。
『新がんベスト・ゴールドα』は、AIG富士生命時代からの、人気商品です。

以下のような特徴を持つ、とてもシンプルな商品です。

  • 主契約は、がん診断一時金(『悪性新生物診断給付金』)のみ。
  • 悪性新生物初回診断一時金特約を付加すると、初回の受け取り額を、最大300万円まで指定できる。
  • 特約は複数用意されているが、入院給付金(入院日数に応じて給付金が出る保障)はない。

東京海上日動ひまわり生命『がん診断保険R』

東京海上日動は、2つのがん保険を販売しています。『がん治療支援保険NEO』と『がん診断保険R』です。
このうち、後者が、診断一時金(診断給付金)を主契約としています。

以下のような特徴を持っています。

  • 診断一時金(診断給付金)の他に、健康還付給付金という独特の仕組みを備えている。
  • 悪性新生物初回診断特約を付加すると、初回の受け取り額を、最大300万円まで指定できる。

東京海上日動ひまわり生命の商品のうち、末尾に「R」が付くものは、健康還付給付金が組み込まれています。

この商品に加入して70歳まで継続すると、それまでに払い込んだ保険料の合計額が、健康還付給付金としてもどってきます。
ただし、70歳までに診断一時金(診断給付金)を受け取っていたら、その金額分は健康還付給付金から差し引かれます。

健康還付給付金の仕組み図

70歳までの保険料が掛け捨てにならないのは魅力です。ただし、1回あたりの保険料は、かなり高くなります

この仕組みには魅力がありますが・・・

健康還付給付金のメリット、デメリットを理解していないと、損をする危険があります。

特定疾病保障保険の診断一時金を活用する

特定疾病保障保険というのは、保険会社が定める特定の病気にかかると、所定の保険金(一時金)が出る保険です。
また、亡くなるか、高度障害状態になっても、保険金(一時金)が出ます。

特定疾病とは、たいていはがん急性心筋梗塞脳卒中の3つを指します。保険会社によっては、さらに多くの病気を含みます。

がんの保障としては、がん保険の診断一時金(診断給付金)と同等です。

特定疾病保障保険を選ぶメリット・デメリット

この保険商品には、がん保険に比べて、以下のような特徴があります。

  • 保険金額(一時金の金額)を、大きくできる商品が多い。
  • がん以外の病気(三大疾病、七大生活習慣病など)も保障の対象になる。
  • 保険金は1回のみという商品が多数ある(1回の支払いで、保障は消滅する)。
  • 終身の死亡保険の機能も含むので、保険料は高額になりやすい。また、すでに他の死亡保険に加入していると、保障が重複してしまう。

保険金の支払が1回のみの商品だと、保険金の金額を300万円以上に指定しておきたいです

なお、保険会社によっては、定期保障タイプ(保障期間が限定される)と終身保障タイプ(生涯の保障)を用意しています。
がん重視で選ぶなら、終身保障タイプが候補になります。

主な特定疾病保障保険

がん保険や医療保険に比べると地味な存在ですが、多くの保険会社が、特定疾病保障保険を販売しています。

朝日生命『スマイルセブン』
  • がんの他、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高血圧性疾患、慢性腎不全、肝硬変を対象。
  • 死亡や高度障害状態でも、保険金が出る。
  • 一時金の金額は、30〜500万円の範囲で設定できる。
  • 2年に1回を限度に、回数無制限で受け取ることができる。
  • 終身保障のみ。
オリックス生命『特定疾病保障保険With(ウィズ)』
  • がんの他、急性心筋梗塞、脳卒中を対象。
  • 死亡や高度障害状態でも、保険金が出る。
  • 一時金の金額は、100〜2,000万円の範囲で設定できる。
  • 1回保険金を受け取ったら、保障は消滅する。
  • 終身保障、定期保障を選べる。
ソニー生命『リビング・ベネフィット』
  • がんの他、急性心筋梗塞、脳卒中を対象(障害状態、介護状態を追加可能)。
  • 死亡や高度障害状態でも、保険金が出る。
  • 一時金の金額は、200〜5,000万円の範囲で設定できる。
  • 1回保険金を受け取ったら、保障は消滅する。
  • 終身保障、定期保障を選べる。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『特定疾病保障保険』
  • がんの他、急性心筋梗塞、脳卒中を対象。
  • 死亡や高度障害状態でも、保険金が出る。
  • 1回保険金を受け取ったら、保障は消滅する。
  • 終身保障、定期保障を選べる。
三井住友海上あいおい生命『&LIFE 特定疾病保障終身保険』
  • がんの他、急性心筋梗塞、脳卒中を対象。
  • 死亡や高度障害状態でも、保険金が出る。
  • 1回保険金を受け取ったら、保障は消滅する。
  • 他に、「特定疾病保障定期保険」もある。
メディケア生命『メディフィットPlus』
  • がんの他、心疾患、脳血管疾患、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎、糖尿病、高血圧性疾患を対象(三大疾病限定の契約も可能)。
  • 死亡や高度障害状態でも、保険金が出る。
  • 一時金の金額は、30〜100万円の範囲で設定できる。
  • 1年に1回を限度に、回数無制限で受け取ることができる。
  • 終身保障のみ。

特定疾病保障保険なら、ひとつの保険で、重大な病気や死亡などに備えられます。しかも、まとまった金額がドーンと出るのでわかりやすい仕組みです。

しかし、この保険ならではの難しさもあります。

がんのことだけを考えるなら、保険金は300〜500万円あたりが目安になります。
しかし、死亡のときは?急性心筋梗塞のときは?脳卒中のときは?と考え始めると、適切な保険金額を判断することが難しいです

また、すでにいくつかの保険に加入している人が、これから特定疾病保障保険に加入すると、保障が重複する危険が高いです。

そんなことを考えると、保険の専門家に相談しながら、判断したい保険商品です。

がん診断一時金のある医療保険

医療保険は、がんだけでなく、あらゆる病気・ケガによる入院費用に備える保険です。

がん保険に比べると、がんのための機能は薄いです。とは言え、がんは日本人にとって最も重要な病気の一つなので、医療保険でもそれなりにがん対策できます。

特に、がんの診断一時金(診断給付金)は、ほとんどの医療保険が特約として用意しています
そして、診断一時金としての機能は、がん保険や特定疾病保障保険と同等です。

診断一時金と他の保障を組み合わせて考える

医療保険の主契約(必須であるメインの保障)には、入院給付金、手術給付金、放射線治療給付金などが組み込まれています。

よって、診断一時金だけでがんに備えるというより、主契約とか他の特約と組み合わせて、がんに備えることになります。
たとえば、がんと診断されたときに、診断一時金を受け取って、その後の入院費用は、入院給付金(入院日数分給付金が出る保障)でカバーする、というような発想になりやすいです。

まだ数は多くありませんが、がんの通院費用を幅広く保障する特約がチラホラと登場しています。
この特約を付加するなら、診断一時金の金額をさらに低くできそうです。

検討対象に加えたい医療保険

医療保険でがんに備えるなら、まず、がんの診断一時金(診断給付金)の充実した商品をチェックしたいです。
そのうえで、がんの通院特約が充実している商品にも注目です。

こちらのがんに強い医療保険で、おすすめ商品を実名入りで御案内しています。

保険によるがん対策は、選択肢が多すぎて、こんがらがります。保険の専門家を活用して、適切な判断を!

がんは、日本人にとって重大な病気だけに、保険での対策のやり方は複数通りあります。

ベストな対策は、現在加入している保険の状況や、保険のための予算、老後の生活資金の見通しなどによって、変動します。
判断ミスを犯さないために、保険の専門家を上手に活用しましょう。

また、候補の商品を上でご案内しましたが、まちがいのない判断をするためには、ご自分の条件設定で見積もりをして、専門家の助言を聞きながら結論を出していただきたいです。

がん保険にせよ、特定疾病保障保険にせよ、医療保険にせよ、一生かけ続ける可能性があります。小さな判断ミスでも、長い年月のうちに、大事になるかもしれません。

後悔のない選択をするために、保険や家計の専門家の活用をお勧めします。専門家に一つ一つ確認しながら、まちがいの無い選択をしましょう。

しかし、どうすればそんな専門家に相談できるのでしょうか!?

意外と簡単に、しかも無料で、家計の専門家に相談する方法があります。
詳しいことは

を、ご覧ください。

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
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