保険で、がんの治療に備えるときに、押さえたいポイントを整理しました。また、目的別に、保険の入り方をご説明します。

日本人の2人に1人ががんにかかり、3.5人に1人ががんで亡くなっています。
医療費の準備を検討するときに、もっとも優先度を上げて検討したい病気です。

このページでは、保険によるがんへの対策について、以下のことを、ご説明・ご案内しています。

がんは、日本人の2人に1人がかかり、3.5人に1人が亡くなる病気です。もっとも警戒したい病気です。

国立がん研究センターがん対策情報センターによると、日本人ががんにかかる確率は、

  • 男性 63%
  • 女性 47%

となっています。平均をとると、2人に1人がかかる、と言って良さそうです。

同じ調査によると、日本人がんで亡くなる確率は、

  • 男性 25%
  • 女性 16%

です。平均をとると、5人に1人が、がんで亡くなる計算になります。

なお、国立がん研究センターがん対策情報センターによる、がんで死亡する確率は、将来予測のような数字です。

次に、1年間で亡くなった人のうち、がんで亡くなった人の割合を調べると、図のようになります(厚生労働省『人口動態調査』2015年)。

2015年の日本人の死因別割合円グラフ

がんで亡くなった人の割合は、28.9%です。3.5人に1人くらいの比率です。

ただし、がんのために入院し、がんの手術自体は成功したけれど、回復途中で肺炎にかかって亡くなる、というようなケースは少なくないようです。そういうのも含めたら、3人に1人くらいになるかもしれません。

がんは、かかることを想定して、対策を練っておきたい病気ですね。

保険を選ぶときに、意識していただきたい、がん治療の3つの特徴があります。

がんの治療やお金のかかり方には、かなりはっきりとした特徴があります。保険で対策するときに、そうした特徴を押さえておきましょう。

がんの治療は、10年以上前から、通院の方が多くなっている

グラフは、厚生労働省『患者調査』の過去4回分の調査結果をもとに、がん患者の、通院患者数と入院患者数の移り変わりを表しています。

がん患者の、通院患者数と入院患者数の移り変わりのグラフ

平成17年の調査までは、入院患者数の方が多かったのが、平成20年には逆転し、その後はどんどん差が開いています。

医療技術の進歩のおかげで、通院で治療するケースが確実に増えています。

入院1回あたりの入院期間は短い

がんは、再発・転移の恐れがあります。しかし、入院1回あたりで、病院にいる日数は、短い病気です。そのうえ、年々短くなりつつあります。

グラフは、厚生労働省『患者調査』の過去5回分の調査結果をもとに、入院全体と、がんによる入院の、入院日数の移り変わりを表しています。

がん患者の、入院期間の推移のグラフ

もともと、がんの入院期間は、全体平均より短かくて、しかも全体平均より速いペースで、短くなっています。

がんの治療法は、日々進化している

がんの治療法は、少し前までは、ほとんどが手術でした。現在も、手術は有力な治療方法ですが、それ以外の治療法も、いろいろと登場し、普及しています。

がんの三大療法(三大治療)という言葉があります。手術、放射線治療、抗がん剤治療です。この他に、免疫療法、温熱療法、ホルモン剤治療などが、健康保険の適用を受けています。

三大療法それぞれも、分化しています。
手術でも、昔ながらの外科手術に加えて、身体の負担を軽くする、胸腔鏡手術、腹腔鏡手術、内視鏡手術などが広がっています。
また、抗がん剤治療においては、新薬が次々と誕生しています。

以上のことを踏まえると、保険に求められる条件は、次のようになります。

ここまでに説明したことを踏まえると、がんのために、保険に求めたい条件は、以下のようになります。

  • 入院だけでなく、通院の治療にも、できるだけ対応してほしい。
  • 治療法の進化に、できるだけ柔軟に対応してほしい。
  • 入院1回あたりの保障は、フツーの厚さがあれば良い。

入院・通院にかかわらず保障されて、治療法の進化に柔軟に対応できるのは、がんの診断一時金です。

上の条件を充たすために、最適なのは、がんの一時診断給付金です。

診断が確定したらお金が出るので、入院・通院の違いや、治療法に左右されない。

がんの診断一時金の、最大のメリットは、支払い条件が、がんの診断確定となっていることです。保険の支払い条件としては、もっともユルくなっています。

医師が、がんの診断書を作成してくれたら、まとまったお金が保険から出ます。どのくらい進行しているか、入院するか、どんな治療を受けるか、みたいなことの影響を受けません。

一時金の金額を、ある程度大きくしておけば(200万円以上とか)、それだけで、入院費用も、通院費用も、抗がん剤の費用も、まとめて面倒見れます。

がんの診断一時金は、ほとんどの生命保険会社で、提供されている

がんの診断一時金は、がんの診断が確定したら、まとまった金額の一時金が出る保障です。がん保険、医療保険のほとんどで、提供されています。

ただし、特約の形は、商品によって異なります。

  • がんだけを対象とした一時金特約。
  • 三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)を対象とした一時金特約。
  • 七大生活習慣病(三大疾病に加えて高血圧症、糖尿病、肝疾患、腎不全)を対象とした一時金特約。

一時金の対象となる病気の範囲が、それぞれ違っています。
どれにするか、迷うかもしれませんが、どれを選んでも、がんの保障については、同じです。
ちなみに、今現在で、最も目にする機会が多いのは、三大疾病の一時金特約です。

また、特定疾病保障保険などの名称で、単体の保険商品としても、販売されています。

がんの診断一時金には、2つの弱点があります。その対策も考えて、保険を選びましょう。

便利ながんの診断一時金ですが、弱点が2つあります。

  • 一時金の金額は固定なので、実際にかかる費用とズレが出やすい。
  • 一時金の金額を大きくすると、保険料も高額になりやすい。

一時金と、実際にかかる治療費とのズレ

がんの診断一時金は、だいたい、以下のような保障内容になっています(保険会社によって、異なります)。

  • 一時金の額は、加入するときに決めた金額。
  • 一時金は、複数回出るのが主流だけど、制限(通算回数や、支払い間隔など)がある。
  • 一時金が複数回出る場合、初回はがんの診断確定、2回目からは何らかの治療開始(入院、手術など)が、条件になる。

こういう仕組みなので、保険から出る一時金と、実際にかかる治療費との間に、差が出やすいです。

保険から出るお金が、余るのはよいですが、不足するのは困ります。
だからと言って、不足することを恐れて、一時金の金額を大きくすると、保険料の負担が重くなります。

がん診断一時金は、日本人がかかりやすい病気が対象で、かつ一時金が出る条件がユルいので、お金が出る確率の高い保険です。そういう保険は、保険料が高くなりやすいです。

がん診断一時金と、入院給付金を組み合わせる

弱点の解決策として、がんの診断一時金と、入院給付金を組み合わせる方法が、現実的です。

通院と入院では、入院の方が、まとまった出費になりやすいです。入院が思いがけず長引いたときに、一時金では不足する危険が高まります。

入院給付金は、入院した日数分のお金が出る保障です。これを一時金と組み合わせれば、一時金が不足する危険は、かなり軽減されます。

がんの診断一時金も、入院給付金も、ほどんどの保険会社が取り扱っています。実際の組み合わせ方と、そのメリット、デメリットは、下で説明します。

保険でがんに備えるとき、4つの方法があります。ご自身の状況・考え方に合わせて、選んでください。

保険でがんに備えるには、次の4つの方法があります。

  • がんの診断一時金のみで備える。
  • がん診断一時金と入院給付金のある、がん保険に加入する。
  • 医療保険に加入し、がん診断一時金(または、三大疾病一時金)の特約を付ける。
  • がん診断一時金の保険商品と、医療保険に、別々に加入する。

ちなみに、医療保険には、もともと入院給付金が組み込まれています。

これら4つの方法について、それぞれのメリット、デメリットを説明します。ご自身の現状を踏まえて、最適なものを選んでください。

がんの診断一時金のみで備える

がんの診断が確定したら、まとまった金額が保険から出ます。

メリット 早いタイミングでまとまった金額が手に入るので、お金をいろんな用途に使える。
デメリット 一時金の金額は、加入時に決めるので、過不足が発生しやすい。

デメリットを軽減するには、一時金を、不安を感じないくらい大きな金額にしておきたいです。とは言え、金額をいくらにすれば、安心できるのでしょうか。

安心するには、一時金400万円以上欲しい

あいにくと、一人あたりのがん治療費総額がわかるような、統計データは存在しません。
再発や転移が多い病気なので、調査が難しいのでしょう。

参考にできるのは、規模の大きなアンケート調査ですが、2010年の古いものしか見つけられませんでした。日本医療政策機構『がん患者意識調査2010』です。

アンケートの調査結果をもとに、治療費用(総額)ごとのグラフを、以下のように作りました。

がんの治療費総額の割合

平均は約115万円です。そして、全体のうちの62.7%が、100万円以内に収まっています。

ただし、平均の金額を準備できても、安心しきれません。上のグラフを見る限りでは、400万円はほしいです。400万円あれば、全体の95%以上をカバーできます。

一時金200万円以上でも、かなり頼りになる

一時金を400万円に設定すると、保険料の負担が大きくなりすぎるかもしれません。その場合、半分の200万円でも、何とかなるかもしれません。

最近のがん診断一時金は、一時金を複数回受け取ることができます。
再発・転移による再入院が1回起こるとしたら、合計で2回受け取ることができます。
400万円を2回に分けると、1回あたり200万円以上になります。

がんの治療費が膨らみやすい原因の一つは、再発・転移です。だとしたら、複数回受け取ることを前提としても、そんなに無理はありません。

一部のがん保険か、特定疾病保障保険が、選択肢になる

がんの診断一時金のみで、がんに備えるとしたら、検討対象になる保険商品は、以下のいずれかです。

保険のタイプ 特徴
がん保険 保障を診断一時金だけにできる仕組みの、がん保険。
特定疾病保障保険 三大疾病または七大生活習慣病で一時金が出る、保険商品。

がん保険の方が、対象の病気が少ないので、保険料は安くなります。

この条件に当てはまるがん保険は

  • FWD富士生命『新がんベスト・ゴールドα』
  • 東京海上日動あんしん生命『がん診断保険R』
  • メットライフ生命『ガードエックス』

なお、一時金の設定可能な金額は、商品によって異なります。上の中には、200万円とか400万円に、設定できないものもあります。

続いて、上の条件に当てはまる特定疾病保障保険は

  • 朝日生命『スマイルセブン』
  • オリックス生命『特定疾病保障保険With(ウィズ)』
  • ソニー生命『特定疾病保険』
  • 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『特定疾病保障保険』
  • 三井住友あいおい生命『&LIFE 特定疾病保障終身保険』
  • メディケア生命『メディフィットPlus』

いずれにも、がんの診断一時金は含まれていますが、それ以外の病気も保障範囲に含まれています。
含まれる病気数は2~7と、商品によって大きく異なっています。とれを選ぶかは、がん対策以外を含めて判断する必要があります。

なお、特定疾病保障保険は、定期タイプと終身タイプがありますが、一生涯の保障なら終身タイプです。

がん診断一時金と、入院給付金を組み合わせる

がん診断一時金が、50万円とか100万円とかでも、それだけで治療費をまかなえるかもしれません。
ただ、金額が不足する不安は残ります。

そういうときは、診断一時金よりも、保険料の安い他の保障と組み合わせましょう。

組み合わせる保障の候補は、いくつか考えられますが、入院給付金をお勧めします。
入院するときは、まとまった出費になりやすいので、無難な選択です。

それ以外にも、手術給付金、放射線治療給付金、抗がん剤治療給付金、ホルモン剤治療給付金などが考えられますが、治療法を狭く限定することは、お勧めできません。使えない危険が大きくなります。

ところで、がん診断一時金と、入院給付金の組み合わせ方は、3パターンあります。

がん診断一時金と入院給付金のある、がん保険に加入

がん保険のほとんどは、がん診断一時金と入院給付金を、提供しています。
よって、販売されているほとんどのがん保険で、実現できます。

あくまでも、診断一時金をメインに考えて、足りなくなりそうな分を入院給付金で補うように、保障プランを作りましょう。

医療保険に、がん診断一時金の特約を付加

最近の医療保険は、機能がとても充実しています。ほとんどの医療保険に、がん診断一時金と入院給付金が備わっています。
というか、入院給付金は、医療保険の主契約です。

よって、医療保険だけでも、がんへの対策は可能です。

ただし、医療保険の入院給付金は、すべての病気・ケガによる入院を保障するので、がん保険の入院給付金より、保険料は高くなります。

がんに対策したいのか、幅広い医療保障が欲しいのかを決めたうえで、検討しましょう。

がん診断一時金と、医療保険に、別々に加入

こちらは、すでに医療保険に加入していて、新しくがんの保障に入りたい、という人に適した方法です。

入院給付金はもうあるので、現在加入している医療保険はそのまま継続します。そして、がんの診断一時金の保険に、新しく加入します。

検討対象の商品は、上で名前をあげた、がん診断一時金だけのがん保険か、特定疾病保障保険です。

保険によるがん対策は、選択肢が多すぎて、こんがらがります。保険の専門家を活用して、適切な判断を!

がんは、日本人にとって重大な病気だけに、このページに登場した保険のタイプだけで、がん保険、医療保険、特定疾病保障保険の3種類です。

保険料を見積もりして比較するにしても、選択肢が多すぎて、こんがらがりそうです。一般の消費者が、自分に最適なプランを見つけ出すのは、難しいかもしれません。

がんは一生の病気ですから、保険にいったん加入すると、十数年、あるいは数十年継続するかもしれません。加入のときに判断を誤ると、取り返しがつかなくなります。

そこで、保険や家計の専門家の活用をお勧めします。専門家に一つ一つ確認しながら、まちがいの無い選択をしましょう。

しかし、どうすればそんな専門家に相談できるのでしょうか!?

意外と簡単に、しかも無料で、家計の専門家に相談する方法があります。
詳しいことは

を、ご覧ください。

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
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