入院給付金日額と1入院あたりの保障日数をどうするかが、入院保障の最大のポイントです。

医療保険は、入院保障がメインの保険です。そして、医療保険から出る入院給付金は、以下のように計算されます。

入院給付金日額 × 入院日数 = 入院給付金

医療保険に加入するにあたって、いろんなことを指定しなければなりませんが、入院保障に関して、特に重要なのが、以下の2点です。

  • 入院給付金日額
  • 1入院あたりの保障日数

入院給付金日額は、5,000円か10,000円が主流

入院給付金日額は、こちらで指定できます。ただし、指定できる金額に幅があります。各社の商品を見渡すと、3,000~15,000円くらいの幅があります。

ほとんどの医療保険では、5,000円10,000円の、いずれかを推奨しています。

1入院あたりの保障日数は、60日までか120日までが主流

残念ながら、医療保険の入院保障は、日数無制限ではありません。入院1回あたりの日数制限と通算での日数制限の、2つの制限が設けられています。

このうち、通算での日数制限は、気にする必要ありません。保険会社による差があまりなくて、しかも十分な日数が確保されています。

加入するときに気にする必要があるのは、入院1回あたりの日数制限です。

ほとんどの医療保険では、60日までか120日までかの、いずれかを推奨しています。

入院給付金日額の金額は、所得の大きさと、医療保険への期待の大きさで決まります。

高額療養費制度を活用すると(健康保険に入っている人はだれでも利用できます)、自己負担額を低く抑えることができます。

この制度では、所得によって、自己負担額に大きな差が出ます。ということは、所得によって、医療保険の入院給付金日額の決め方が違ってきます。

日額5,000円でも、それなりに役に立ってくれる

厚生労働省『医療給付実態調査』(平成27年)によると、日本全国での入院の1日あたりの医療費は33,340円で、入院日数は30.4日でした。

例として、この医療費と入院日数で入院したときの、高額療養費制度の自己負担額を、所得(標準報酬月額)別に試算しました。
70歳以下の場合の金額です。

標準報酬月額 自己負担総額 1日あたり
83万円以上 254,315円 8,366円
53万~79万円 171,955円 5,656円
28万~50万円 87,565円 2,880円
26万円以下 57,600円 1,895円

標準報酬月額50万円以下なら、入院給付金日額5,000円で、自己負担分をカバーできます。

ところで、入院して手術を受けると、入院給付金とは別に、手術給付金(手術1回あたりに出る給付金)が医療保険から出ます(標準の保障です)。
入院給付金日額5,000円の保険契約なら、手術給付金は50,000~100,000円になります。

手術を受ける入院なら、標準報酬月額53~79万円の人でも、入院給付金日額5,000円で、自己負担分をカバーできそうです。

こうして見ると、標準月額報酬83万円以上の層を除くと、入院給付金日額5,000円でも、役に立ってくれそうです。

ただし、入院にかかる費用は、これだけではありません。

医療費用以外を加算すると、日額5,000円では苦しい

入院すると、治療費用以外にもお金がかかります。たとえば、以下のようなものがあります。

  • 先進医療の費用
    先進医療は健康保険の対象外です。高額療養費制度が適用されません。
  • 差額ベッド代
    差額ベッドを利用すると、別途費用がかかり、健康保険や高額療養費制度の対象外になります。平均は1日あたり6,000円前後ですが、病院によっては高額になります。
  • 食費
    病院食の費用は、健康保険や高額療養費制度の対象外になります。ただし、1食あたり360円を超えることはありません。
  • 雑費
    日用品、衣料、新聞・雑誌、テレビ等、入院生活の雑費です。1日1,500円が目安です(裁判所の基準)。
  • 交通費
    患者や家族等の交通費。

このうち、誰にでもかかるのが食費と雑費です。1食360円に、1日の雑費1,500円とすると、1日あたり2,580円の費用が発生します。この金額を、上の表の1日あたりの自己負担額に足すと、下のようになります。

標準報酬月額 1日あたり
83万円以上 10,946円
53万~79万円 8,236円
28万~50万円 5,460円
26万円以下 4,475円

入院給付金日額5,000円では、まったく足りないか、足りるとしてもギリギリです。

入院にかかる費用のすべてを医療保険でカバーするなら、入院給付金日額10,000円か、もっと高くする必要があります。

ただし、食費は、入院しようとしまいと発生する費用です。雑費の中にも、同じような費用があります。そういう費用まで、医療保険でカバーする必要はない、という考え方もできます。

1入院あたり60日までの保障でも、90%以上の入院をカバーできます。

次に、1入院あたり60日までの入院保障で、どのくらいの入院に対応できるのか、調べました。

厚生労働省『患者調査』(平成26年)から、入院期間ごとの患者数の割合を、グラフに表しました。

入院期間ごとの患者数の割合グラフ

このグラフから、以下のことが言えそうです。

60日までの保障で、ほとんどをカバーできる

このグラフによると、80%以上が1ヵ月以内に退院しています。
全体の平均は30.98日ですが、80%以上は平均以下に収まっていることになります。

そして、全体の92.4%が60日以内にとどまっています。
つまり、医療保険の入院保障を、1入院あたり60日までとしても、ほとんどのケースをカバーできます。

120日までの保障なら98%をカバー

60日までの入院保障でカバーしきれないのは7.6%です。

割合としては小さいですが、無視できるほど小さくはありません。
そして、このような超長期化する入院こそ、医療保険で準備したい、という考え方もできます(短期の入院なら、預貯金で対処できるので)。

そういう方には、120日までの入院保障をお勧めします。上のグラフによると、全体の98%までをカバーできます。

入院給付金日額と、1入院あたりの保障日数の決め方について、ポイントをまとめましょう。

あらためてポイントを確認しましょう。

入院給付金日額は、世帯の所得で判断

入院給付金日額5,000円と10,000円の安心度を、世帯の所得別に整理しました。

◎(安心できる)、〇(ほぼ安心できる)、△(ケース・バイ・ケース)、×(不足が予想される)の4段階で判定しています。

標準月額報酬26万円以下の世帯

日額5,000円 日額10,000円
医療費用
食費・雑費
差額ベッド ×
退院後の通院 ×

日額5,000円の保障で、ほぼ安心できそうです。食費・雑費まで含めると、少額の持ち出しが発生するかもしれません。

標準月額報酬50万円以下の世帯

日額5,000円 日額10,000円
医療費用
食費・雑費
差額ベッド ×
退院後の通院 ×

日額5,000円で、入院費用をカバーできるかどうか、微妙です。
多少の自腹を覚悟できているなら、日額5,000円でも、頼りになります。

標準月額報酬79万円以下の世帯

日額5,000円 日額10,000円
医療費用
食費・雑費 ×
差額ベッド ×
退院後の通院 ×

期間の短い入院であれば、日額5,000円であっても、手術給付金を含めると、医療費用全額をまかなえるかもしれません。

標準月額報酬83万円以上の世帯

日額5,000円 日額10,000円
医療費用 ×
食費・雑費 ×
差額ベッド × ×
退院後の通院 × ×

食費・雑費を含めて医療保険でまかなうとすると、日額10,000円でも心もとないです。
医療保険によっては、日額15,000円というように、10,000円を超える金額を指定できます。

1入院あたりの保障日数は、お勧めは120日だけど・・・

1入院あたりの保障日数を60日から120日に延ばすと、保険料は上がります。ただし、入院給付金日額を5,000円から10,000円に増やすことに比べたら、保険料の上がり方は緩やかです。

60日までの保障でも手薄とは感じません。とは言え、120日までの保障にしておけば、それだけ安心感は大きくなります。

医療保険のご検討にあたって、60日の保障と120日の保障とで、ぜひ保険料を比較なさってください。

ただし、日額10,000円にするのであれば、60日までの保障でも十分かもしれません。医療保険から出る給付金が多くなるので、結果的に足りてしまうかもしれません。

生命保険のことは、家計の専門家に相談しましょう。

医療保険を検討するときの考え方を、上でご説明しました。
あとは、見積もりをして、保険料の金額などを見ながら検討を進めましょう。

しかし、適切に判断するには、高額療養費制度を含めた健康保険の仕組み、医療費用の実態など、専門的な知識が必要になります。
また、できるだけ多くの商品の見積もりを手に入れて、少しでも有利な医療保険を選びたいです。

そこで、家計や将来の生活資金のことを相談できて、なおかつ主要な医療保険の見積もりを作成してくれる、保険の専門家の活用をお勧めします。

しかし、 どうすれば、そんな専門家を見つけることができるのでしょうか!?

意外と簡単に、しかも無料で、家計の専門家に相談する方法があります。
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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

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