入院日数、医療費など、医療の現実は年々変化しています。保障が時代遅れになりにくい医療保険の入り方、お勧めの保険商品をご案内します。

入院日数は年々短くなっていますが、その一方、入院治療の医療費は、増加傾向にあります。このように、医療現場の実態は、絶えず変動しています。

よく考えないで医療保険に加入すると、時間の経過とともに、時代遅れになってしまいます。

だからと言って、新しい商品に加入し直そうにも、年齢とともに保険料は高くなりますし、体調が悪ければ加入を断られてしまいます。

医療保険には、安心して長く続けられる入り方があります。そうするためのポイントや、現時点で候補になる保険商品を、ご案内します。

年々、入院日数は短くなっています。それにともなって、医療保険から出る保険金も減少します。

厚生労働省の統計データによると、日本人の入院日数は、年々短くなっています。

短期化する日本人の入院日数

厚生労働省『医療給付実態調査』から、過去5年間の、入院日数の推移を抜き出しました。

年度 入院日数
平成23年 32.50日
平成24年 31.90日
平成25年 31.59日
平成26年 30.98日
平成24年 30.40日

この表をグラフにすると、以下のようになります。

過去5年間の入院日数の推移のグラフ

さすがに、減り方は少しずつです。しかし、年々着実に減少しています。

入院日数が減少する理由

入院日数が短くなっている理由として、よく指摘されるのが、以下の3点です。

  • 医療技術の進歩。
  • 病院・診療所の診療報酬は、入院が長引くほど、低くなる。
  • 入院が180日を超えると、患者の自己負担が15%増える。

一番上の、医療技術の進歩は、単純に喜ばしいです。しかし、下の2つは微妙なところです。

健康保険など公的医療保険制度を使った治療では、病院に入る報酬が、国によって細かく決められています。その仕組みを診療報酬制度と呼びます。
そして、病院に支払われる報酬を"診療報酬"と呼びます。

国は、社会保障費を減らしたいので、政策的に、入院日数を短縮化しようとしています。そのために、上のような仕組みをとっています。

医療保険から出る給付金額も、減少する

医療保険から出る給付金のメインは、入院給付金です。
入院給付金は、入院1日あたりの給付金額が決まっていて、入院日数分が保険から出ます。

ということで、同じ病状で入院しても、医療保険から出る給付金額は、減少する傾向にあります。

給付金額が減っても、入院日数が短くなることで、医療費も減っているなら、心配することはありません。
入院にかかる費用も、減少しているのでしょうか?

入院日数が年々減っているのとは裏腹に、入院費用は、増加傾向にあります。

入院日数は年々減っていますが、入院にかかる医療費は、逆に増加傾向にあるようです。

入院費用は増加傾向

厚生労働省『医療給付実態調査』から、過去5年間の、入院1人当たりの医療費を調べました。
金額は、自己負担額ではなく、実費です。

年度 入院日数
平成23年 97万4千円
平成24年 99万5千円
平成25年 100万5千円
平成26年 101万1千円
平成27年 101万3千円

この表をグラフにすると、以下のようになります。

過去5年間の1人当たり医療費の推移のグラフ

金額の上げ幅は、年々緩やかになっています。とは言え、この5年間金額は毎年増加しています。
5年間では3万9,390円、率にして4%も値上がりしています。世間の物価上昇率より大きいです。

入院期間が短くなったからといって、病院の売上が減らないように、国は診療報酬制度を調節しています。
そのため、入院にかかる医療費は、減るどころか、微増しています。

七大生活習慣病は、値上がりが少ない

日本人がかかりやすく、死因につながりやすい7つの病気は、七大生活習慣病などと呼ばれます。
これらの病気の、1入院あたりの医療費の変化を調べました。

病名 5年間での
増加額
がん 29,437円
糖尿病 -31,368円
高血圧性疾患 -27,672円
虚血性心疾患 4,964円
脳血管疾患 98,348円
肝疾患 -3,234円
腎不全等 -16,032円

これらの病気は、特に医療技術の進歩が著しいのか、脳血管疾患を除くと、医療費の上り幅は平均以下か、逆に下がっています。

脳血管疾患は、入院が長期化しやすいこともあって、10万円近く跳ね上がっています。
その次に増えているのはがんですが、全体平均より1万円ほど低いです。

上の表を見ると、七大生活習慣病のうち、増えているのは三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)です。残りの4つは、むしろ金額が減っています。

ということは、七大生活習慣病のような特別な病気が値上がりしているのではなく、病気・ケガ全般が値上がりしているようです。

入院費用は全般的に値上がりしていますが、わたしたちの自己負担が、ただちに増えるとは限りません。

入院費用は、年々高くなっていますが、金額の上がり方は緩やかです。このペースなら、ただちに、わたしたちの負担額が上昇するわけではありません。

高額療養費制度には、上限額がある

健康保険の高額療養費制度を活用する場合、月あたりの自己負担には、上限額があります。医療費が値上がりしても、自己負担が増えるとは限りません。

たとえば、一般的な所得の高齢者は、月あたり56,700円が、自己負担の限度額です。医療費が高くなっても、自己負担がこれより増えることはありません。

現役世代だと、低所得者は高齢者と同じく上限額が決まっています。それ以外の方は、かかった医療費によって、自己負担が変動します。

それでも、高額療養費の仕組みのおかげで、自己負担の増える金額は、値上がりした金額の1%未満にとどまります。たいていは、数百円程度の負担増ですみそうです。

医療費以外にかかる費用も減る

入院にかかる費用は、医療費だけではありません。

入院中の食費は、医療費とは別に日数分かかります。その他の雑費(日用品、新聞・雑誌、通信費など)もあります。

入院中の食費は、入院日数が短くなると、金額も小さくなります。一方、雑費はケース・バイ・ケースで減るかもしれません。

医療保険は長く続けます。加入にあたっては、入院期間の短期化と、費用の増大に対策したいです。

入院日数の短縮化や、入院費用の増加は、ゆっくりとしたペースで進んでいます。現在加入している医療保険が、数年間のうちに時代遅れになる、という心配は無用です。

しかし、医療保険は、一生涯続ける可能性があります。十数年、数十年と続けるうちに、風化する恐れがあります。

古くなったら、新しい商品に入り直すという考え方はあります。けれども、年齢とともに保険料は高くなります。また、現状態に不安があると加入できなくなります。

いくつかのポイントを押さえれば、いったん加入した医療保険を、安心して長く続けることができます。その目の付け所を、ご案内します。

入院給付金日額を、できるだけ大きくする

医療保険のメインの保障は、入院給付金です。加入するときに決めた1日分の金額が、入院日数分出ます。

日額を多めに設定しておけば、入院日数が短くなっても、安心できます。

多くの医療保険では、入院給付金日額は、5,000~10,000円の範囲で指定できます。商品によっては、10,000円より大きい金額を設定できます。

ただし、入院給付金日額を2倍にすると、保険料も2倍くらいに増えます。無理のない範囲で、できるだけ大きくしましょう。

一時金を増やす

たいていの医療保険では、入院給付金の他に、手術給付金が主契約(自動で組み込まれる保障)になっています。

手術給付金は、手術1回につき、あらかじめ決められた金額をもらえます。
このような一時金は、金額があらかじめ決まっているので、入院日数に左右されません。

こうした一時金を、入院給付金と組み合わせると、いろんな事態に柔軟に対処できるようになります。

多くの医療保険で、手術給付金の他に、一時金が出る特約が用意されています。

よく目にするのが、がん、三大疾病、七大生活習慣病など、特定の病気のときに、一時金が出る特約です。

これらの特約も有用ではありますが、上で説明したように、入院費用が高くなっているのは、七大生活習慣病などの特定の病気に限られません。

よって、入院費用増加への対策には、入院一時金とか退院一時金のような、入院したら一時金が出る特約のような、幅広く使える特約が望ましいです。

入院日数が支払い条件になっている保障に注意

たとえば、メットライフ生命の医療保険『フレキシィS』の、心疾患一時金と脳血管疾患一時金の支払い条件には、「継続20日以上の入院をされたとき」という文言が入っています。

あるいは、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の医療保険『新・健康のお守り』の退院給付金は、「20日以上の入院をし、退院」することが支払い条件になっています。

20日という条件は、現時点ではほど良い設定かも知れません。しかし、10年後、20年後には、長すぎる(=条件として厳しすぎる)可能性があります。
このような、入院日数が支払い条件になっている保障は、極力避けましょう。

ちなみに、ここで紹介した『フレキシィS』と『新・健康のお守り』の支払い条件は、いずれも特約のものです。該当する特約を付加しなければ、問題ありません。

検討にあたって、候補に加えてほしい医療保険を、いくつかご案内します。

保険の分野の中でも、医療保険は特に商品開発が活発です。他社の評判の良い保障は、どんどんと取り入れるので、各社の商品の間で、決定的な差は付きにくいです。

ここでは、上でご説明した観点から、検討に加えていただきたい商品を、いくつかご案内します。

ただし、その前に、あらかじめ候補から外しておきたい商品をご覧いただきます。

国内大手損保の医療保険は、候補から外しておきたい

現在販売されている医療保険はたくさんあります。検討を効率的に進めるため、あきらかなデメリットがある商品は、初めから外しておきたいです。

となると、その筆頭は国内大手生保(日本生命、明治安田生命、第一生命、住友生命、三井生命など)の医療保険です。

その理由は、単純に保険料が高いからです。
国内大手生保は、自社の従業員である営業職員が販売を担当しています。そして、全国に販売拠点を設けています。
そうしたコストが保険料に反映されるため、どうしても割高になります。

そんなもののために高い保険料を払うのなら、割安な他社商品に加入して、入院給付金日額を少しでも大きくしたいです。

候補に加えていただきたい医療保険

候補に加えていただきたい商品を、以下にご案内します。

朝日生命
スマイルメディカルNEXT α
  • 手術給付金は最大20万円まで。
  • 入院一時金が最大20万円まで。
アフラック
ちゃんと応える医療保険EVER
  • 手術給付金は最大入院給付金日額の40倍まで。
  • 入院一時金が5万円。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
新・健康のお守り
  • 入院給付金日額は最大20,000円まで。
  • 手術給付金は最大入院給付金日額の40倍まで。
  • 入院一時金が最大入院給付金日額の200倍まで。
チューリッヒ生命
終身医療保険プレミアムDX
  • 入院給付金日額は最大15,000円まで。
  • 手術給付金は最大入院給付金日額の20万円まで。
  • 入院一時金が最大入院給付金日額の20万円まで。
ネオファースト生命
ネオdeいりょう
  • 入院一時金が入院給付金日額の10倍。
  • 治療保障特約により、入院一時金が最大30万円まで。
メディケア生命
メディフィットA
  • 手術給付金は最大入院給付金日額の40倍まで。
  • 入院一時金が5万円。

あまり商品数を絞り込めませんでした。

これらの医療保険は保険料の差が小さいので、年齢、性別、保障内容などによって、割安さの優劣は入れかわります。

ご自身の条件で見積もりをして、保障と保険料のバランスを見ながら、ご判断ください。

医療保険の検討・見直しは、保険の専門家を上手に活用しましょう。

安心して長く続けられる、医療保険の入り方をご説明しました。できるだけわかりやすく、具体的に説明しようと努めました。

しかし、どうしても、商品の細かい部分に目を向ける必要があります。専門的な商品知識を持たない一般消費者にとっては、煩雑かもしれません。

また、検討にあたって、医療の実際(入院日数、治療費、発病の確率など)を、ある程度は知っておきたいです。
健康保険や高額療養費制度など、公的な医療保険制度の知識も、欠かせません。

生保各社の商品を比較するには、商品知識もそれなりに必要になります。

医療保険は、長く続ける可能性が高いので、判断ミスは怖いです。そこで、保険の専門家の活用をお勧めします。その具体的な方法は、以下でご案内しています。

を、ご覧ください。

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
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