終身保険を選ぶポイントは、保険料の安さと、返戻率の高さです。

終身保険は、生命保険としては、シンプルな仕組みです。
各社の終身保険を比較検討するとき、以下の2点を押さえておけば、失敗することはないでしょう。

  • 保険料の安さ。
  • 解約したときの、返戻率の高さ。

返戻率とは、保険会社に払い込んだ保険料の合計と、解約したときに保険会社からもどってくる解約返戻金との割合です。ピッタリ同じ金額なら100%です。
返戻率が100%を超えると、それだけお得ということになります。

もっとも、それは解約したときのことです。解約しないで、保険金として受け取るなら、単純に保険料が安い方がおトクです。

返戻率の高い終身保険は、保険料も安くなる傾向が高いです。しかし、返戻率の高い商品と、保険料の安い商品は、完全には一致しません。

つまり、終身保険に加入する目的によって、上の2点のどちらを重視するかが決まります。

  • あくまでも死亡保険として加入する ⇒ 保険料の安さを重視
  • 保険を使った貯蓄として加入する ⇒ 返戻率の高さを重視
  • 保障か貯蓄かは、状況によって判断 ⇒ どちらかというと返戻率重視

終身保険でお金が貯められる仕組みを、解説します。また、この方法のデメリットも説明します。

終身保険は、保険会社からすると、いつかはかならず保険金を支払う保険です。そのために、掛け捨てタイプの保険と違って、保険会社の中で、そのための準備金が積み立てられています。

この仕組みを活用することで、終身保険で貯蓄をすることが可能になります。時期を見計らって終身保険を解約して、積み立てられたお金を、解約返戻金として、受け取ります。

ただし、払い込んだ保険料よりも、多くの解約返戻金をもらうには、貯蓄性の高い終身保険を選ぶ必要があります。

低解約返戻金型終身保険と呼ばれるタイプの終身保険は、貯蓄性がパワーアップされています。

低解約返戻金型終身保険の貯蓄性

低解約返戻金型終身保険の解約返戻金の仕組みを、オリックス生命の終身保険『ライズ』を例に、説明します。

35歳男性が、死亡保険金300万円の終身保険に加入したとします。保険料は、35~60歳の間、毎月6,984円、累計で209万5,200円払い込みます。

60歳になる前に解約すると、返戻率は100%より低くなります。つまり、損になります。

60歳の、保険料の払い込みが終了した直後に解約すると、約231万円が、解約返戻金としてもどってきます。
返戻率(図では払戻率)は110.4%、つまり払い込んだ保険料より10.4%ほど増えてもどってきます。

60歳以降、解約しないで放置しておくと、解約返戻金の金額は、図のようにジワジワと増加します。保険料の払い込みは終わっているので、返戻率もジワジワと上がることになります。
このように、返戻率は、銀行預金などの金利と違って、わりと簡単に変化します。

なお、低解約返戻金型終身保険は、一般的な終身保険と比べて、本来の死亡保障の機能について、弱くなっているところはありません。

定期預金と比べると、かなりの好利回り

上の例で、60歳で解約したとき、返戻率は110.4%でした。これを、銀行預金などで使われる年利に変換してみましょう。

年利にすると約0.74%になります。
2017年5月現在で、定期預金の金利は0.01%ですから、終身保険の方が、圧倒的に好利回りです。

上に書いた通り、返戻率は、解約の時期によって変化します。
60歳より前に解約すると、マイナスになって損です。逆に、解約の時期を60歳より後に延ばすと、延ばすほど返戻率は高くなります(年利も高くなります)。

デメリットは、お金が長期間塩漬けになること

終身保険による貯蓄の、最大のデメリットは、保険料払込期間が終わるまでに(上の例では60歳までに)解約すると損になることです。

近い将来、もっと有利な貯蓄方法や商品が登場しても、終身保険を下手に解約すると損になるので、臨機応変に貯蓄方法を変更できません。

終身保険の利回りは、加入した時点で固定されます。世の中が好景気になって、金利が上昇しても、すでに加入した保険の利回りは変更されません。

低金利時代は、かれこれ20年続いており、未だ脱出の兆しはありません。だからと言って、永遠に続くとも考えにくいです。
仮に金利が上昇を始めたら、損をしている気分になりそうです。

もっとも、終身保険による貯蓄は、約束された金額が必ず戻ってきます。払った保険料が増えてもどってくるなら、損をすることはありません。

終身保険による貯蓄のメリット、デメリットを踏まえて、上手に活用したいです。

2017年、終身保険の保険料は、カオス(混沌)な状況になっています。必ず見積もりをして確認しましょう。

2016年以降、保険料の変動が頻繁になっています。それにより、保険料についての従来の常識が、通用しにくくなっています。

2016年以降、保険料の変動が活発化

最大の要因は、日本銀行のマイナス金利政策。これによって、生命保険会社は、資産運用でお金を増やすことが、これまで以上に難しくなり、保険料改定や販売停止が相次いでいます。保険料改定は、2017年の3~4月に、多くの会社が実施しました。

保険会社が置かれている状況に変化はありませんから、この状況はまだ継続しそうです。

一方、日本人の寿命が延びていることから、2018年春に死亡保険が値下げされる見通しもあるようです。

保険料の対するこれまでの常識が当てはまらない

生命保険会社は、伝統的な生保と、カタカナ生保・損保系生保に分けることができます。

伝統的な生保というのは、日本生命、明治安田生命、第一生命、住友生命などで、営業職員(セールスレディ)による販売体制を採っています。
このやり方にもメリットはありますが、コストがかかるため、保険料はどうしても高くなります。

伝統的な生保とカタカナ生保・損保系生保で、保険料を比べると、これまでは、伝統的生保の方が必ずと言っていいほど、高くなりました。

ところが、2017年3~4月の保険料改定を経て、終身保険の保険料は、状況が変わってきました。
以下は、死亡保険金1,000万円、30歳男性、保険料払込60歳まで、の見積もり条件での、保険料の比較です。

保険会社 月々の保険料
メットライフ生命 31,065円
日本生命 30,410円
住友生命 27,890円
東京海上日動あんしん生命 27,440円
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命 23,550円

青い文字が伝統的生保、赤い文字がカタカナ生保・損保系生保です。

日本生命と損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の保険料を見比べると、それなりの差があります。

しかし、メットライフ生命と日本生命、住友生命と東京海上日動あんしん生命を比べると、同等レベルの金額です。

カタカナ生保・損保系生保の中で、保険料の格差拡大

もともと、他の生命保険の種類と比べて、終身保険のジャンルは、伝統的生保とカタカナ生保・損保系生保の保険料の差は、小さめでした。

しかし、ここにいたって、その差は消えつつあるようです。

見方を変えると、カタカナ生保・損保系生保の中で、保険料の格差が広がりつつあるようです。

これまで以上に、比較して選ぶことが大切になりますね。

候補に加えたい終身保険を、保険料の安さと貯蓄性の高さの、2つの切り口で選びました。

死亡保障をメインにしつつ、どうせなら少しでも返戻率の高い終身保険を選びたい、ということなら、次のような選び方をおすすめします。

  • まず、自分の年齢・性別・死亡保障額で、保険料を見積もる。そして、保険料の安さを基準に、上位4つくらいを選ぶ。
  • 選んだ終身保険の、保障内容や返戻率を調べて、加入する商品を最終的に選ぶ。

はじめに終身保険の見積もりを集めること、候補の終身保険の保障内容や返戻率を調べることは、素人の手に余りそうなので、保険のプロによるサービスを利用すると良いでしょう。最近は、情報収集やアドバイスまでなら、無料のサービスがあります。

とは言え、ここで、有力な候補となりそうな終身保険を、いくつかご紹介します。ぜひ、見積もりを集める対象に含めてください。

保険料の安さで、おすすめの終身保険

保険料の高低は、年齢・性別・保険料の払い込み方などによって、変動します。ご加入の検討に際しては、ご自分の条件で見積もりをしてください。
ただし、ある条件でハッキリと割安な保険が、別の条件では残念なくらいに割高になる、ということは滅多にありません。

ここでは、死亡保障額500万円、保険料払込は60歳までの毎月払い、という条件で試算しました。

社名・商品名 30歳男性 40歳男性 50歳男性
ソニー生命
バリアブルライフ
8,390円 13,845円 30,885円
オリックス生命
ライズ
9,240円 15,040円 32,975円
マニュライフ生命
こだわり終身v2非喫煙
9,170円 15,145円 33,685円
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
一生のお守り
9,640円 15,575円 33,235円

有名な終身保険を一通り試算した中での、上位5つです。
マニュライフ生命『こだわり終身v2』は、非喫煙という条件が付きます。

もっとも保険料の安いソニー生命『バリアブルライフ』は、終身型の変額保険で、他とは種類が異なります。最低限知っておきたいことは、以下の4つです。

  • 保険料は一定の金額。
  • 死亡保険金は、所定の金額より増えることはあっても、減ることはない。
  • 解約返戻金は変動する。
  • 加入するときに、運用のコースを選ぶ。それによって、死亡保険金の増え方、解約返戻金の増減が決まる。

つまり、返戻率はそのときになってみないとわかりません。しかし、保険料の安さの優位は、変わることなく継続します。

返戻率の高さで、おすすめできる終身保険

2016年2月に日本銀行がマイナス金利を採用して以来、貯蓄性の保険商品の数が減っています。返戻率の高い、低解約返戻金型終身保険も例外ではありません。

販売を継続している商品でも、2~3年前と比べると、返戻率を公表する終身保険は減っています。アピールできるほどの利回りが出ないからでしょうか?

というわけで、現時点で返戻率を期待できる終身保険は、以下の通りです(2017年5月)。と言っても、試算条件を変えると、返戻率は変動します。参考数値とお考えください。

社名・商品名 返戻率 試算条件
オリックス生命
ライズ
約115.9% 30歳男性。保険料払込60歳まで。
ソニー生命
バリアブル
約98.2% 35歳男性。保険料払込60歳まで。
運用実績3.5%のとき。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
一生のお守り
約107.4% 30歳男性。保険料払込60歳まで。
マニュライフ生命
こだわり終身v2
約112.8% 30歳男性。保険料払込65歳まで。
非喫煙保険料。
マニュライフ生命
こだわり終身v2
約108.3% 30歳男性。保険料払込65歳まで。
標準保険料。

マニュライフ生命『こだわり終身v2』は、他と違って65歳で解約したときの返戻率です。65歳で計算した方が、60歳より数字は大きくなります。もし、他と同じく60歳で計算しなおしたら、返戻率は少し下がるはずです。

ソニー生命『バリアブル』の返戻率は、上でご説明したとおり、運用実績によって変動します。上の表では、現在の利率3.5%のまま60歳を迎え、解約したときの返戻率です。起こりうる可能性の一つに過ぎません。とは言え、やや残念な数字ではあります。

終身保険に入るときに、気をつけたいこと

終身保険は、もっともシンプルな生命保険の一つです。難しく考えることはありませんが、保障だけでなく、返戻率にもこだわるならば、以下のことには注意が必要です。

保険料の払込は、回数が少なく、期間が短いほど有利

終身保険の名前の通り、保障は一生涯続きます。
ただし、保険料の支払い方には、いくつかの方法があって、どれを選ぶかで返戻率(つまり利回り)が変わります。

簡単にまとめると、以下の2つのルールがあります。

  • 支払う回数が少ないほど、返戻率は有利。
      つまり、一時払 ˃ 年払 ˃ 月払
  • 支払う期間が短いほど、返戻率は有利。
      つまり、○○年払 ˃ 60歳まで ˃ 終身払

ということは、月払いの終身払込(生涯にわたって、毎月保険料を払い)は、返戻率の面ではもっとも不利になります。

ただし、これから先解約するつもりがなければ、そもそも返戻率を気にする必要はありません。終身払込でも差し支えありません。

有配当か無配当か

配当とは、生命保険会社の運用が予定よりうまくいったときに、加入者に配られるお金。

無配当は、配当をもらえませんが、そのぶん保険料は安くなることが多いです。

現在の日本は低金利なので、配当はないか、あってもわずか。だったら、無配当にして保険料を安くする方が賢い選び方のようにも思えます。
しかし、10年後、20年後にどうなっているかは分かりません。
つまり、どっちがトクかは、わかりません。

保険料の節約という立場から考えると、トクはできなくても、損をしなければ良し(返戻率が100%を超えれば良し)と割り切って、 無配当を選んではどうでしょうか。

低解約返戻金型の方が、返戻率は高い

低解約返戻金型と普通のタイプで、解約返戻金の増え方を比較したのが図です。

低解約返戻金型終身保険と普通の終身保険の違い

低解約返戻金型は、保険料を支払っている期間中に解約すると、解約返戻金は普通のタイプより少なくなります。
そのぶん、保険料も普通のタイプより安くなります。

保険料支払い期間が終わった後は、解約返戻金の金額がどちらのタイプでもほぼ同じになります。
ということは、保険料の安い低解約返戻金型の方が、返戻率が高くなります。

保障としてはどちらも同等です。

保険料を払い込んでいる期間中に解約すると、低解約返戻金型の方が不利になります。
ただし、普通のタイプであろうと、この期間に解約すると赤字(払い込んだ保険料の合計を、解約返戻金が下回る)になってしまいます。
どちらのタイプを選ぼうが、保険料払込期間中の解約は避けたいです。であれば、低解約返戻金型の方がおトクと言えそうです。

特約は、原則として付けない

特約を付けると、以下のようなデメリットがあります。

  • 特約のほとんどは掛け捨てなので、付けると返戻率が悪化します。
  • 終身保険を解約すると、特約も消滅します。よって、特約が大事だから終身保険を解約できなくなったり、解約後に特約と同じ保険に入り直すことになるかも。

終身保険に限らず、必要な保障は、ひとつひとつ別々の保険商品に加入しましょう。セット商品、抱き合わせ商品に加入すると、後々面倒なことになるかもしれません。

生命保険のことは、保険のプロに相談しましょう。

このサイトでは、見積もり例や統計データなどを活用し、具体的にイメージしていただけるように努めています。それでも、どうしても一般論にとどまってしまいます。
ご自分の検討をされるときは、ご自身の立場や条件で、具体的な見通しを立ててください。

と言っても、保険の素人が、自分で調べながら、一つ一つ見積書・設計書を集めるのは大変です。また、うまく比較できないかもしれません。
保険のプロの活用をオススメします。

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統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

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