七大生活習慣病の通院に備える

七大生活習慣病の通院に備える

七大生活習慣病の治療は、一生続きます。そして、三大疾病などの原因となります。

糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患は、三大疾病と比べると、直接の死因になる危険性は低いです。しかし、調べてみると、七大生活習慣病のある病気が、別の病気の原因になることが多いです。

また、直接の死因にはならなくとも、ある程度進行すると、完治を望めなくなってしまうようです。

というわけで、あくまでも素人目線ですが、調べたところをまとめてみました。

糖尿病
  • 現在の医学では糖尿病を根治することは不可能。
  • 糖尿病の患者は、心筋梗塞や脳卒中になる危険性が大きい。
《参考》京都大学 糖尿病・内分泌・栄養内科
高血圧性疾患
  • 高血圧は、脳卒中、心疾患、腎不全、血管疾患、高齢者の認知症などに関連する。
  • 生活習慣の修正による高血圧の治療には限界がある。血圧を下げる薬による治療を受ける方がよい。
《参考》国立循環器病研究センター
肝疾患
  • 肝炎⇒肝硬変⇒肝がん、と進行しやすい。
  • B型肝炎は、ウィルスを完全に排除できる治療法は無い。
  • 肝硬変そのものを治療できる薬剤はほとんどない。
《参考》国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
腎疾患
  • いったん慢性腎不全になると、腎機能は回復不可能。
  • 急性腎不全などの特殊な場合を除き、透析治療は一生続く。
《参考》国立循環器病研究センター

こうして見ると、上の4つの病気は、完治を目指すというより、日常生活に支障が出ないレベルに症状をおさえながら、長く付き合っていく病気、と言えそうです。

三大疾病を除く七大生活習慣病の、通院費用を調べました。

七大生活習慣病のうち、三大疾病を除く4つの病気は、(三大疾病と比べて)入院より通院で治療に取り組む患者数が多くなっています。

一般的には、通院は、入院のように、短期間のうちにまとまった出費が生ずるわけではありません。とは言え、上で説明したように、七大生活習慣病は長く付き合う病気ばかりです。積もり積もって治療費は大きくなりそうです。

というわけで、それぞれの病気の、通院費用総額を知りたいところです。しかし、そのような(信頼できそうな)統計は見つけられませんでした。
通院は、患者が治療を中断したり、途中で病院を変えたりなどがあるので、もともと正確にはつかみにくいのかもしれません。

七大生活習慣病の通院費用

そこで、厚生労働省『医療給付実態調査』(平成26年)をもとに、主な病気の、通院1回あたりの医療費と自己負担額(3割負担の場合)をランキングしました。
金額が青色になっているのが、三大疾病です。金額が赤になっているのが、三大疾病を除く七大生活習慣病です。

順位 病名 通院1件
の医療費
自己負担額
(3割)
1位 腎不全等 199,389 59,817
2位 がん 45,090 13,527
3位 肝疾患 15,542 4,663
4位 糖尿病 19,517 5,855
5位 虚血性心疾患 17,253 5,176
6位 脳血管疾患 16,406 4,922
7位 高血圧性疾患 11,572 3,472
全病気・ケガの平均 13,585 4,076

とりあえず、腎不全等の費用の高さが目を引きます。あらゆる病気・ケガによる通院の中でも、ダントツの1位です。

肝疾患と糖尿病は、三大疾病と近い金額です。もっとも安いのは高血圧性疾患です。全病気・ケガの平均より低いです。

腎不全の末期の患者には、助成制度がある

腎不全の末期になると、人工透析治療が行われます。週3回、1回4時間というのが、標準的な治療サイクルだそうです。その1回ごとに、上の表の費用を支払っていたら、アッという間に自己破産してしまいそうです。

そこで、健康保険などの公的医療保険や地方自治体などが、腎不全の人工透析治療を助成する仕組みを設けています。

これらを利用すると、月あたりに自己負担する人口透析治療の費用は1万円以下におさまります。場合によっては、実質無料になります。

もっとも、週3回、1回4時間となると、もはや治療開始前と同じ生活をおくることは困難になります。治療費の自己負担は軽くなっても、新しい生活のために、費用が発生するかもしれません。

医療保険では、七大生活習慣病の通院治療の費用を、まかなえません・・・

医療保険は、もともと入院保障中心の保険です。標準で組み込まれている保障だけでは、通院費用を保障してくれません。

医療技術の進歩により、重病でも、通院で治療できるケースが増えてきました。これに対して、医療保険では、特約を設けて、希望者は保障を手厚く出来るようにしています。

しかし、現時点では、三大疾病を除く七大生活習慣病の通院治療について、十分にカバーできる医療保険は見当たりません。

主要な医療保険の、通院治療への対応力

主要な医療保険について、三大疾病を除く七大生活習慣病(糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患)の通院のときに、役に立つ保障・特約の有無を調べました。

保障・特約があるときは「○」、部分的に役に立ちそうなものは「△」、無いものには「-」としています。

医療保険 入院前後
の通院
通院のみ
アフラック
『医療保険EVER Prime』
FWD生命
『FWD医療』
オリックス生命
『CURE Next(キュア・ネクスト)』
SOMPOひまわり生命
『健康のお守り』
チューリッヒ生命
『終身医療保険プレミアムDX』
東京海上日動あんしん生命
『メディカルKit NEO』
三井住友海上あいおい生命
『&LIFE 新医療保険Aプレミア』
メディケア生命
『メディフィットA』
メットライフ生命
『マイ フレキシィ』

七大生活習慣病の、入院をともなわない通院治療に使えそうな保障は、東京海上日動あんしん生命『メディカルKit NEO』の特定治療支援特約です。
現時点(2016年3月)では、七大生活習慣病にもっとも配慮できている医療保険の一つと言えそうです。

ただし、保険金が出る条件は厳しくなっています。かなり症状が進んでいないと、保険金はもらえません。現実的には、入院が必要になるくらい悪くなってから、保険金を受け取る可能性が高くなりそうです。
そういう意味では、△に近い○、というところです。

表で△となっているのは、いずれも、退院後の限られた期間(3~6ヶ月くらい)だけ、通院を保障してくれる医療保険です。一生付き合いそうな病気の保障としては、手薄です。

七大生活習慣病の医療費の準備は、預貯金と医療保険の二本立てで、考えましょう。

上の表から、(三大疾病以外の)七大生活習慣病による、通院のみの治療では、医療保険には期待できない、と言えそうです。

そうなると、通院費用は、主として預貯金(高齢者なら年金)から支出することになりそうです。

前のページ七大生活習慣病の入院費用でご説明したとおり、これらの病気の入院費用は、医療保険の標準の保障でも何とかなりそうです。

よって、七大生活習慣病の治療費の準備は、以下のような形で進めるのが、良さそうです。

  • 七大生活習慣病の入院費用は、医療保険で準備する。医療保険に標準で組み込まれている保障で、おおむねカバーできる。
  • 七大生活習慣病による通院の費用は、主に預貯金(高齢者は年金を含む)でまかなう。

ところで、将来の医療費を、医療保険と預貯金の二本立てで準備するときのポイントは、医療費は、預貯金+医療保険で準備をご覧ください。

医療保険をかけながら、将来の医療費を貯金するなら、ムダな保険料を払うことはできません。医療保険の保障は、必要なものだけに絞り込みましょう。

医療保険をかけながら、並行して、将来の医療費を貯金するなら、保険料のムダは厳禁です。余計な保険料を払うぐらいなら、預貯金に回すべきでしょう。

当然のことながら、医療保険の保障内容のムダを無くさなければなりません。
そして、各社の医療保険を比較して、できるだけ割安な医療保険に加入したいです。

保険の専門家を上手に活用することをオススメします。そのための手軽で安心な方法は、
賢い生命保険の入り方
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