心疾患の通院にかかる費用
心疾患は、三大疾病の中で、通院患者の割合が特に高い病気です。
心疾患は、日本人の死因第2位という重たい病気ですが、通院で治療取り組む患者の割合が高いことも、特徴の一つです。
心疾患は、通院で治療に取り組む患者が多い
三大疾病の入院患者数を、厚生労働省の『患者調査』(平成26年)をもとに、調べました。
病名 | 患者数 | 通院患者数 | 通院率 |
---|---|---|---|
脳血管疾患 | 253,400人 | 94,000人 | 37.0% |
悪性新生物(がん) | 300,800人 | 171,400人 | 57.0% |
心疾患 | 193,900人 | 133,900人 | 69.1% |
ご覧のように、心疾患の治療に通院で取り組む患者の割合は7割近くに達しています。
退院した患者の90%以上が、通院を続ける
日本人がかかりやすい重病だけに、効果のある薬がいろいろと開発されています。入院が必要になるほど、症状が重くなければ、投薬を中心とした、通院治療で対応できるようになっています。

また、退院した患者のほとんどが、通院に転じていることも、通院患者の割合を高めています。
厚生労働省『患者調査』(平成26年)より、三大疾病の退院後の行き先をまとめたグラフです。
どの病気も、退院イコール全快、というわけにはいかないようです。
心疾患は、退院した患者の90%以上が、引き続き通院しています。退院後のリハビリや、再発の予防、体質改善など、やるべきことはいろいろとあるようです。
心疾患は、一生付き合っていく病気
通院の場合、短い期間に、まとまった治療費が発生する可能性は低いです。
しかし、心疾患の原因は、高血圧、糖尿病、喫煙・飲酒、過労・睡眠不足、高脂血症、肥満、加齢などさまざまです。予防はもちろんのこと、治療や再発防止のためにも、日々の生活の中に、治療が入り込んできます。
資金の準備を検討するときには、一生付き合うことになり病気、という前提で考えたいです。
心疾患は、命にかかわる重病です。ただし、通院で治療できる限りでは、治療費は、そこまで大きくならないようです。
入院の費用についての情報は、比較的容易に手に入ります。しかし、通院にかかる費用の総額がわかる、公的なデータは見つかりません。
通院は、患者が通うのを止めたり、途中で病院を変えたり・・・などがあるので、費用の総額を調べることは難しいのでしょう。
また、心疾患に関しては、糖尿病、高血圧、高脂血症などとかかわりが深いだけに、どの病気のための通院なのか、区別しにくいこともあるでしょう。
そこで、厚生労働省『医療給付実態調査』(平成26年)をもとに、主な病気の、通院1回あたりの医療費と自己負担額(3割負担の場合)をランキングしました。
金額が青色になっているのが、三大疾病です。金額が赤になっているのが、三大疾病を除く七大生活習慣病です。
順位 | 病名 | 通院1件 の医療費 |
自己負担額 (3割) |
---|---|---|---|
1位 | 腎不全等 | 199,389 | 59,817 |
2位 | がん | 45,090 | 13,527 |
3位 | 肝疾患 | 15,542 | 4,663 |
4位 | 糖尿病 | 19,517 | 5,855 |
5位 | 虚血性心疾患 | 17,253 | 5,176 |
6位 | 脳血管疾患 | 16,406 | 4,922 |
7位 | 高血圧性疾患 | 11,572 | 3,472 |
全病気・ケガの平均 | 13,585 | 4,076 |
腎不全等は、あらゆる病気・ケガによる通院の中でも、1位と2位です。それ以外は、七大生活習慣病の中から、目についたものを抜き出しました。
心疾患の自己負担額(3割負担)は、全体平均より高いものの、がんなどに比べると、高くはありません。
仮に、月に1~2回の通院なら、1ヶ月あたり5,000~13,000円くらいの出費になります。
通院がどのくらいの期間続くのか、ということは気になります。とは言え、通院で治療できる症状であるなら、過大な負担というほどではなさそうです。
心疾患に合った医療保険の保障内容を、次のページでご案内します。
前のページでご案内したように、心疾患で入院すると、入院期間は短いものの、1日あたりの医療費は高額になります。ただし、高額療養費制度を活用すれば、自己負担額を低くおさえることができます。
一方、この病気には、通院患者が多い、という特徴もあります。心疾患の通院費用は、あらゆる病気・ケガによる通院の平均よりは高いですが、高額と言うほどではありません(あくまでも、三大疾病や七大生活習慣病にしては・・・という意味で)。
このような特徴を持つ心疾患ですが、治療費を医療保険などで準備するとして、どのような保障を、どのくらい準備すれば安心できるでしょうか。
詳しくは、次のページでご案内します。