ソニー生命『学資保険』
ソニー生命『学資保険』を、3つの角度から、徹底分析しました。
学資保険に期待するものは、人によって異なるかもしれません。
とは言え、学資保険の性能を評価するポイントとしては、次の4点は、ほとんどの人に当てはまると思います。
- 返戻率
- 保護者に何かあったときの保障
- 学資金・満期金が出るタイミング
以下で、ソニー生命の学資保険を、この3つの切り口でご案内し、評価します。

ソニー生命『学資保険』は、返戻率の高さに定評があります。ただし、見積もり条件によって返戻率は変動します。
返戻率とは、貯蓄型保険の利回りを表す言葉です。保険業界特有の考え方です。
計算方法は簡単です。払い込んだ保険料の総額を100%として、受け取る学資金の総額を%で表したのが返戻率です。
受け取る金額のほうが、保険料総額より大きいとき、返戻率は100%より大きくなります。もちろん、数字が大きいほど高利回りです。
ただし、返戻率には、重大な注意点が2つあります。
- 単一の商品でも、見積もり条件を変えると、返戻率は変動する。
- 返戻率を、銀行など他の金融機関の商品と、利回りを比較できない。
単一商品でも、見積もり条件や保障プランの内容を変えると、そのたびに返戻率が変動します。
「○○生命の学資保険の返戻率は△△△%です」というような言い方はできません。
もっとも、利回りの良い学資保険は、どんな見積もり条件でも、それなりに良い返戻率になります。だから、ある見積もり条件で返戻率が良好であれば、利回りの良い商品と判断できます。
ただし、利回りの差が小さいときは、見積もり条件や保障プランによって、優劣が入れ替わります。実際に見積もりをしないと、どちらが優れているか決められません。
ソニー生命『学資保険』の返戻率
競合他社の学資保険と、返戻率を比べました。
商品によって提供されているプランが異なります。不公平にならないように、見積もり条件を変えながら、返戻率を比較しました。
かんぽ生命、日本生命との比較
次の見積もり条件で、返戻率を比較します。
- 子ども0歳
- 契約者:父親30歳
- 学資金:18歳〜22歳にかけて年1回、合計5回で300万円
- 保険料払込:18歳まで
保険料総額 | 返戻率 | |
---|---|---|
かんぽ生命 | 3,162,240円 | 約94.9% |
ソニー生命 | 2,888,784円 | 約103.8% |
日本生命 | 2,883,600円 | 約104.0% |
かんぽ生命は、返戻率100%以下です。つまり、払う金額よりもどる金額の方が少ないです。これは論外です。
ソニー生命と日本生命では、ソニー生命の保険料総額が5,000円ほど高い分、返戻率では負けました。
とは言え、18年分の保険料で5,000円ほどの差ですから、ほぼ同じと言えそうです。
日本生命、明治安田生命との比較
上の見積もり条件のうち、保険料払込のみ10歳に変更しました。
保険料総額 | 返戻率 | |
---|---|---|
ソニー生命 | 2,797,200円 | 約107.2% |
日本生命 | 2,798,400円 | 約107.2% |
明治安田生命 | 2,834,760円 | 約105.8% |
ソニー生命と日本生命の返戻率は同じになりました。厳密には、ソニー生命の方が高いですが、わずかな差です。
この2社に比べると、明治安田生命の返戻率は、一段低いです。
日本生命、フコク生命との比較
上の見積もり条件のうち、保険料払込10歳のままで、学資金の総額を210万円に落としました。
なお、フコク生命のみ、商品の仕様上、保険料払込は10歳ではなく11歳までとなります。通常、保険料払込期間が長くなると、返戻率は下がります。よって、フコク生命にとってはやや不利になります。
保険料総額 | 返戻率 | |
---|---|---|
ソニー生命 | 1,864,800円 | 約107.2% |
日本生命 | 1,984,080円 | 約105.8% |
フコク生命 | 2,004,552円 | 約104.7% |
3社で、ハッキリ差がつきました。
ソニー生命の返戻率は、受取総額が300万円でも210万円でも同じです。それに対し、日本生命は、返戻率が下がりました。
フコク生命は、上に書いたとおり不利な条件下ですが、3番目になりました。
以上、3パターンの見積もり条件で返戻率を比較しましたが
ソニー生命『学資保険』の返戻率は、どの見積もり条件下でも良好でした。
定期預金などと比べても、競争力は高い
上の見積もり条件のうち、保険料払込期間を18年間とし、学資金を18歳のときに全額一括で受け取るときの利回りは、下のようになります。
- 保険料総額 2,941,920円
- 受取総額 300万円
- 返戻率 約101.9%
- 年利回り 約0.22%
銀行の積立定期預金などで使われる年利回りに換算すると、約0.22%です。
メガバンク(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)やゆうちょ銀行の積立定期預金金利は、年0.01%です(2019年7月)。
これに比べると、ソニー生命『学資保険』は、はるかに優秀です。
ちなみに、ソニー銀行の積立定期預金金利は、年0.15%です(1年、2年とも)。これと比べても、学資保険は勝っています。
しかも、学資保険は、所得税の生命保険料控除の対象になります。
確定申告の手続きをすれば、学資保険の保険料は、限度額(所得によって決まります)を超えない限り、税金がかかりません。その分、実質的な利回りでは、他の金融商品より有利です。
銀行の預貯金や金融投資などでは、利益の約2割が税金として天引きされてしまいます。
保険期間中に保護者が亡くなったとき、以後の保険料の払込は免除されます。
ソニー生命の『学資保険』は、貯蓄性が最優先です。親または子が亡くなったり病気になっても、お金はでません。
そういう機能を学資保険に付けると、返戻率が下がってしまいます。
ただし、契約者(=保険料を払う人)が以下の状態になったときは、以後の保険料の払込が免除されます。
- 死亡。
- 所定の高度障害状態になる。
- 所定の不慮の事故により、事故日から180日以内に所定の身体障害の状態になる。
もちろん、保険料が免除になっても、保障内容はそのまま継続され、学資金を100%受け取ることができます。
今では、ほとんどの学資保険が、これと同じような保険料払込免除の機能を持っています。

加入者の希望に合わせて、いろいろんプランを選ぶことができます。メインのプランは5つです。
ソニー生命『学資保険』には、3つのタイプ(I型、II型、III型)があり、保険期間(=契約期間)は4通り(17歳満期、18歳満期、20歳満期、22歳満期)設定できます。
これらの組み合わせて、プランの骨格が出来上がります。
現実的な5つのプラン
型と満期の時期の組み合わせは、全部で12通りです。これだけあると迷いそうですが、実用性を考えると、以下の5つのプランに集約されそうです。
○の年齢のときに、学資金が支給されます。
プラン | 12歳 | 15歳 | 17or 18歳 |
20or 22歳 |
---|---|---|---|---|
I型(17・18歳満期) | ○ | ○ | ○ | |
I型(20・22歳満期) | ○ | ○ | ○ | |
II型(17・18歳満期) | ○ | |||
II型(20・22歳満期) | ○ | |||
III型 | ○○○○○ |
III型は、18〜22歳にかけて、毎年学資金が出ます。よって、22歳満期のみです。
以下で補足説明します。
返戻率を期待できるのはII型、III型
I型は、中学、高校、大学と、上の学校に進むタイミングで学資金が出ます。II型やIII型より、手厚くて行き届いています。
しかし、返戻率では、3タイプ中最もふるいません。
超低金利のもとで、返戻率を上げるには、まとまったお金をできるだけ長い期間運用しなければなりません。
I型のように、早い時期から小出しで学資金が出ていくと、返戻率は低くなります。
返戻率がすべてではありませんが、貯蓄としての旨味が乏しいです。
17歳満期か18歳満期かは、誕生月と契約日で決まる
17歳満期か18歳満期かを決めるのは、子ども誕生月と学資保険の契約日(加入した月日)です。
せっかくの学資保険なので、満期で受け取った学資金から、大学の入学金と前期授業料を支払いたいです。
そのためには、大学の納入期限までに満期学資金がを受け取らなければなりません。1〜2月に大学入試を受けたら、入学金と前期授業料の納入期限は2〜3月です。
ところが、満期学資金が出るのは、子どもが18歳になった直後の契約日です。
そのため、早生まれ(1〜3月)の人で、契約日が4月以降だと、満期学資金が出るのは入学式の後になってしまいます。遅すぎます。
そこで、早生まれの子どものために、17歳満期が用意されています。
ただし、最近増えている推薦入試やAO入試は、試験のタイミングが早まるので注意が必要です。
これらの入試では、試験が秋ころに実施されて、合格したら、11〜12月頃に入学金などを納入しなければなりません。
早生まれではなくても、間に合わなくなります。
推薦入試やAO入試まで想定に入れるなら・・・
早生まれだけでなく、11・12月生まれの人も、17歳満期を選んでおきたいです。
20歳満期・22歳満期は、返戻率は良いが、実用性は微妙
一般的に、学資金が出るタイミングが後になるほど、返戻率は高くなります。
よって、22歳満期がもっとも高返戻率を期待できます。
ただし、最後の学資金(=満期学資金)が出るのは、満22歳の契約日なので、学費の納入に間に合わないかもしれません。
そうなったとしても、大学院進学や就職準備などに使えるので、ムダということではありませんが、学費の準備としては半端です。
それだったら、20歳満期の方が、学費の準備としては確実です。
ちなみに、大学4年間で最も納入する金額が大きいのは1年次です。学費以外の出費も発生しやすいです。
20・22歳満期だと、受取総額は大きくても18歳での受取額が少ないと、一時的に学費が不足する危険があります。
ソニー生命『学資保険』のお勧めプランは、II型の17・18歳満期か、20歳満期です。
いろんなプランを選べるのが、ソニー生命『学資保険』の魅力です。
とは言え、特別な理由がない限り、II型の17・18歳満期か、20歳満期をお勧めします(下図)。

返戻率の高さと、学資保険としての実用性のバランスが良いです。
I型は実用性に優れるが、返戻率は弱い
I型は実用性に優れます。
II型とIII型は、大学の学費にしか対応していません。I型なら、大学の学費に加えて、中学進学(12歳)と高校進学(15歳)のときにも学資金が出ます。
しかし、返戻率を期待できません。
以下の条件設定で、3つの型の返戻率を比較しました。
- 子ども0歳
- 契約者:父親30歳
- 保険期間:18歳満期(III型は22歳満期)
- 保険料払込:10歳まで
保険料総額 | 受取総額 | 返戻率 | |
---|---|---|---|
I型 | 2,831,760円 | 288万円 | 約101.7% |
II型 | 2,862,000円 | 300万円 | 約104.8% |
III型 | 2,797,200円 | 300万円 | 約107.2% |
I型を、銀行の年利回りに換算すると約0.14%です。
ちなみにII型は約0.35%、III型は約0.45%です。
I型の約0.14%でも、大手銀行の定期預金金利(2019年7月現在で0.01%)に比べると優秀です。
しかし、ネット銀行の定期預金なら、これと同レベルか、もっと高金利な商品も、チラホラと見当たります。
ネット銀行の定期預金は、コツコツと毎月積み立てるのに向かないので、金利に差がなくても、I型を選ぶメリットはあります。
とは言え、学資保険に加入したら、満期まで加入したときの金利が固定されます。それを考えると、I型くらいの金利では、旨味に乏しいかもしれません。
III型は、返戻率は高いが、機能の面では微妙
上の返戻率比較での、III型の返戻率は約0.45%で、もっとも高くなりました。
返戻率の良さは魅力ですが、学資保険としての使い勝手は微妙です。
満期学資金は学費に間に合わないかも
III型の満期学資金(最後の学資金)が出るのは、子どもが22歳になった年の契約日です。学費の納入期限に間に合わないかもしれません。
ちなみに、大学の学費は、通常は年2回、前期分と後期分に分けて納入します。
後期分の納入期限に間に合うかが焦点です。納入期限は秋頃ですが、日程は大学によります。
いくら利回りが良くても、学費に使えない危険性は気になります。
18歳のときに、金額が足りないかも
もう一つ気になることがあります。III型は18〜22歳に5回に渡ってお金が出ますが、5回とも学資金は同額です。
しかし、大学に納入する費用は、毎年同じではありません。入学金が加算されるので、1年次がもっとも多いです。
下のグラフは、文部科学省の統計をもとに、大学のコースごとの学費を、学年別に表しています。

コースによって金額に差はあっても、1年次がもっとも高額です。
また、入学の前後は、学費以外にも、生活が変わることにより出費が、大なり小なり発生します。
5回とも同額のIII型は、そうした実態に合っていません。18歳の学資金では、不足するリスクが高いです。
これなら、18(17)歳のときに全額をもらえるII型のほうが、使い勝手は良さそうです。
また、他社の学資保険には、III型と同じタイプながら、1年次の学資金だけが高額なものもあります。
保険のプロに相談するなら、中立性が高く、商品を比較できるところを選びましよう。
わかりにくい保険だからこそ、中立な立場で助言してくれるプロに相談したいです。
保険ショップか独立系FP
保険を販売する人たちを、中立性と商品知識の2つの角度から分類したのが下の図です。
お勧めしたいのは、赤い文字の「保険ショップ」または「独立系FP」です。ここでの「保険ショップ」は、全国チェーンかそれに近い規模のものを指します。
保険ショップ |
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独立系FP |
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担当の人が公正な人柄で、勉強熱心であっても、こちらに勧めてくるのは自分が販売できる商品です。結局はかたよってしまいます。
また、販売できない商品については、保障プラン設計や見積作成の機会がないので、商品知識が深まりません。
できるだけ多くの保険会社の商品を取り扱えるプロに相談するのが無難です。
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