七大生活習慣病の入院費用
七大生活習慣病は、日本人がかかりやすく、一生の付き合いになりやすい病気です。
医療保険では、三大疾病と並んで、七大生活習慣病という言葉がよく出てきます。これらの言葉が示す病気を下に整理しました。
七大生活習慣病 | 三大疾病 | がん(悪性新生物) |
心疾患 | ||
脳血管疾患 | ||
糖尿病 | ||
高血圧性疾患 | ||
肝疾患 | ||
腎疾患 |
表のように、三大疾病は七大生活習慣病に含まれます。
三大疾病については、三大疾病に医療保険で対策するで説明しています。
このページでは、七大生活習慣病のうち、三大疾病を除く4つの病気(糖尿病、高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患)を取り上げます。
七大生活習慣病は、日本人がかかりやすい病気の上位を占めています。
厚生労働省『患者調査』(平成26年度)から、患者数が多い上位15の病気を抜き出して、ランキングにしました。
青字が七大生活習慣病です。
順位 | 病名 | 患者数 |
---|---|---|
1位 | 高血圧性疾患 | 10,108,000人 |
2位 | 歯肉炎・歯周病 | 3,315,000人 |
3位 | 糖尿病 | 3,166,000人 |
4位 | 高脂血症 | 2,062,000人 |
5位 | う蝕(虫歯) | 1,846,000人 |
6位 | 心疾患 | 1,729,000人 |
7位 | 悪性新生物(がん) | 1,626,000人 |
8位 | 脳血管疾患 | 1,179,000人 |
9位 | 喘息 | 1,177,000人 |
10位 | 気分(感情)障害 | 1,116,000人 |
11位 | 統合失調症など | 773,000人 |
12位 | 骨折 | 580,000人 |
13位 | アルツハイマー病 | 534,000人 |
14位 | 慢性腎不全 | 296,000人 |
15位 | 肝疾患 | 251,000人 |
背景が薄いピンクなのが三大疾病、背景が薄い水色なのがそれ以外の七大生活習慣病です。
カゼとか虫歯(う蝕)なども含めたランキングで、15位以内におさまっていますから、七大生活習慣病が、日本人がかかりやすい病気であることは、まちがいないでしょう。
腎不全を除く3つの病気は、それ自体が死因になりやすい病気ではありません。
厚生労働省『人口動態統計』(平成26年)から、日本人の死因ランキングを円グラフにしました。
三大疾病は、それぞれが直接死因に結びつくような病気です。1位、2位、4位が三大疾病です。
一方、七大生活習慣病のうち、三大疾病を除く4つの病気の中で、グラフに登場しているのは腎不全だけです。残りの3つはグラフの「その他」の中に含まれます。
このように、腎不全を除く3つの病気は、それ自体が死因になりやすい病気ではありません(あくまでも、三大疾病と比べたら)。
七大生活習慣病の入院日数と1日あたりの医療費を調べました。
治療費の準備を検討するときは、とりあえず入院費用が気になります。というのは、短期間のうちにまとまった出費になりやすいのは、通院より入院だからです。
そこで、七大生活習慣病について、入院日数と1日あたりの治療費を調べました。
七大生活習慣病の入院日数
厚生労働省『患者調査』(平成26年)より、三大疾病を除く七大生活習慣病の入院率(患者のうちの入院患者の割合)と平均入院日数を抜き出します。
病名 | 入院率 | 平均入院日数 |
---|---|---|
糖尿病 | 8.6% | 35.5日 |
高血圧性疾患 | 0.9% | 60.5日 |
肝疾患 | 19.7% | 25.8日 |
慢性腎不全 | 18.3% | 62.9日 |
全病気・ケガの平均 | 15.4% | 31.9日 |
入院率は三大疾病より低いです。三大疾病の中で、もっとも入院率が低い心疾患でも30%くらいでした。それに対して、上の4つの病気は、いずれも20%以下にとどまっています。
もっとも、三大疾病より低いといって、楽観できるわけではありませんが・・・
4つの病気の中で、入院したときの費用が気になるのは、慢性腎不全です。入院率が高く、入院日数も長いです。
次いで、高血圧性疾患です。入院率は低いものの、入院日数は長いです。
糖尿病、高血圧、肝疾患、腎疾患による入院は、医療保険の標準的な保障で、カバーできそうです。
ほとんどの医療保険では、60日間の入院保障が標準で組み込まれています。加入者が希望すれば120日間まで延ばすこともできます。
上の4つの病気のうち、高血圧性疾患と慢性腎不全は、平均入院日数が60日を超えています。医療保険の標準的な入院保障では、不安を感じるかもしれません。
しかし、高額療養費制度(健康保険など公的医療保険の制度)を活用すれば、案外と何とかなってしまいます。
高額療養費制度を活用したときの自己負担の例
平均的な年収の現役世代の人が、高血圧性疾患で90日(平均の1.5倍の期間)入院したときの、自己負担額を試算しました。
厚生労働省『医療給付実態調査』(平成26年)によると、高血圧性疾患の1日あたりの医療費は21,068円です。この金額を元に、高額療養費制度を利用したときの、自己負担額を算出しました。
1ヶ月目の自己負担額 | 83,750 |
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2ヶ月目の自己負担額 | 83,750 |
3ヶ月目の自己負担額 | 83,750 |
合計 | 251,250 |
3ヶ月にもわたる長期の入院ですが、高額療養費制度を利用すると、医療費の自己負担分は251,250円ですみます。
もし、医療保険で、60日間の入院保障を、日額5,000円で付けていたとします。このときは、90日入院しても、入院給付金は60日分しか出ません。しかし、60日分でも30万円になります。
30万円なら、上の表の金額を充たすことができます。
上の試算では、医療費以外の費用(食費、差額ベッド代、日用品や雑誌購入の費用、交通費など)を加えていません。実際にかかる費用はもっと多くなります。
それでも、医療保険の60日間の入院保障で、入院費用のほとんどはカバーできそうです。