終身保険の保障内容の決め方
終身保険は、生命保険の中ではすっきりとしていますが、 保障と貯蓄性を両立させるようとすると、適切に決めなければならないことがいくつかあります。
原則として、特約は付けないで
特約は原則として付けないでください。入院特約などです。
特約を付加すると、付加しないときと比較して利回りは悪くなります。
また、将来解約して現金化したときには、特約も消滅してしまいます。本当に必要な特約であれば、高い年齢(=高い保険料)で加入しなおすことになります。
悩むのが
保険料免除特約です。
病気・事故などで保険料の支払いが困難な状態になったときに、保険料の支払いを免除してくれる(死亡保障はもとのまま)特約です。
付けると利回りは悪くなりますが(保険料が上がるので)、あってもいいかもしれません。
貯蓄性重視なら「終身払込」は避けましょう
保険料を払い込む期間は、「終身払込」ではなく、55歳まで、60歳まで、65歳までなどに限定してください。
保険料を支払う期間が短いほど、一回あたりに支払う保険料は高くなりますが、利回りは高くなります。
また、月払より年払い、年払いより一時払の方が利回りは高くなります。月払や年払いでも、加入するときに頭金(ある程度まとまった金額)を払い込めば、利回りはそれだけ上がります。
「低解約返戻金型」の方が高利回り
「低解約返戻金型」は、保険料払込期間中に解約したら、通常のタイプと比較して、解約返戻金(保険会社から支払われるお金)は"低"になります。
そのぶん、同じ保障金額で、保険料負担は安くなります。
ということは、保険料払込期間終了後の解約については利回りがアップします。
どうせ、「低解約返戻金型」ではない通常タイプでも、保険料払込期間中に解約したら赤字(支払った総額>解約返戻金)です。
貯蓄性を考えるなら、「低解約返戻金型」を選んで、60歳とか65歳とかの保険料払込期間終了まで支払い続けるつもりでいてください。
「無配当」か「有配当」か
「無配当」か「有配当」かは考えどころです。
「有配当」の方が保険料は高くなります。ここ最近の資産運用状況を考えると「無配当」でいいような気になります。
しかし、生命保険とは長い付き合いになります。将来景気がよくなれば、高い配当金を受け取れるかもしれません。
将来を確実に予測することはできません。
とはいえ、どちらにするか悩むなら、「無配当」が無難です。
得をしそこなうことはあっても、損をすることはないですから。
「積立利率変動型」とか「変額型」とか
「積立利率変動型」とは、最低保証される利回りがあって、資産運用が好調になると、より高い利回りで運用してくれます。それにあわせて保険金はアップします。
上の「有配当」とは働き方が異なりますが、世の中の景気がよくなって資産運用をやりやすくなったら、それを反映してくれます。
ただし、保険金には最低保証がありますが、解約返戻金には最低保証はありません。見込みより増えるか減るかは、そのときになってみないとわかりません。
よって、貯蓄目的で(いずれ解約してお金を受け取る目的で)、終身保険に加入するときに、リスクがあります。
「変額型」は、生命保険の皮をかぶった投資信託です。投資信託と考えると安定志向かもしれませんが、生命保険による安全で手堅い資産運用からは外れると思います。
短期払込の長期定期保険も要チェック
貯蓄と保障の両立を目指して終身保険を検討するなら、 短期払込の長期定期保険(長期平準定期保険ともいう)も要チェックです。
短期払込の長期定期保険とは
長期定期保険というのは、98歳満期、99歳満期、100歳満期などとなっている、保証期間の長い定期保険です。
長期定期保険はいろいろと出回っていますが、経営者専用の保険商品が少なくないので、要注意です。
短期払込というのは、保険料を満期まで支払い続けるのではなく、15年間とか、60歳までとか、支払う期間が限られていることを指します。
個人が加入するときは、短期払込であることがポイントです。
要するに、 短期払込の長期定期保険は定期保険と終身保険をたして二で割ったようなものです。
保険料負担は安く、解約返戻率も優秀
アクサ生命のLTTP FairWindで、上の終身保険に近い条件で試算してみました。
- 保険金額 ・・・ 1000万円(死んだときに受け取る金額)
- 年齢性別 ・・・ 30歳男性
- 保険期間 ・・・ 98歳まで
- 保険料支払 ・・・ 59歳まで
- 割引制度 ・・・ 利用しない(標準体)
- 特約付加 ・・・ なし
- 支払方法 ・・・ 月払い
試算の結果は以下のとおりです。
● 毎月の保険料 ・・・ 15,730円
● 解約返戻率(60歳時) ・・・ 127.7%
というように、上のどの終身保険と比較しても、保険料負担は安く、解約返戻率は最も優秀です。
あくまでも定期保険なので、保障される期間には限りがあります。
また、定期保険の解約返戻金はある時点を境に減少に転じますから、いつ解約するのかを分かっていなければなりません(終身保険の解約返戻金は増え続けます)。
そのあたりを理解した上で、検討してください。
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