かんぽ生命の主力商品『新ながいきくん』を、お勧めできない理由があります。

以下の理由から、かんぽ生命『新ながいきくん』への加入をお勧めできません。

  • ばらんす型おたのしみ型は、実質的にセット商品です。目的が異なる保険は、別々に加入したいです。
  • メインの終身保険の保険料が割高です。
  • かんぽ生命のサービス品質は、有名な保険会社の中では、不安があります。

各項目について、以下で詳しく説明します。

ばらんす型おたのしみ型は、実質的にセット商品

『新ながいきくん』には、以下の3つのタイプがあります。

『定額型』は、普通の終身保険

『新ながいきくん(定額型)』は、昔からあるシンプルな終身保険です。

かんぽ生命『新ながいきくん(定額型)』

こちらは、セット商品には当てはまりません。

細かいことを言うと、不慮の事故や感染症で死亡したときに、死亡保険金が倍額になる機能が、自動セットで組み込まれています。
必須の機能とは考えられないのに、自動セットされていることには違和感があります。

ただ、自動セットされているのはこれだけなので、保険料への影響は小さいはずです。

『ばらんす型』は、実質的に定期付終身保険

『新ながいきくん(ばらんす型)』は、実質的に定期付終身保険です。よって、セット商品です。

かんぽ生命『新ながいきくん(ばらんす型)』

下図が、定期付終身保険のイメージです。上の図と見比べると、微妙に違っています。

定期付終身保険のイメージ

定期付終身保険は、終身保険(一生続く保障)と定期保険特約(保険料払込期間の上乗せ保障)の組み合わせです。
一方、『新ながいきくん(ばらんす型)』は、それらを区別しないで、一体化しています。

見かけは少し違いますが、保障としては定期付終身保険と何も変わりません。しかも、保険料の面では、定期付終身保険より不明朗です。
というのは、定期付終身保険なら、終身保険の部分と定期保険特約の部分の、それぞれの保険料が明示されています。しかし、『新ながいきくん(ばらんす型)』ではそれが抱き合わせになっています。

いずれにしても、このタイプのセット商品には、以下のような問題点があるので、お勧めできません。

  • セットされている保障の中に、割高なもの、劣ったものが含まれていても、選別できない。
  • 将来、保障内容をけずりたくなったときに、セット商品としての制限のために、希望通りに変更できない恐れがある。

生命保険は、目的ごとに、別々の商品に加入することを、お勧めします。

『おたのしみ型』は、もっとも危険な組み合わせ

『新ながいきくん(おたのしみ型)』は、 もっとも危険な、保障性保険と貯蓄性保険の抱き合わせ商品です。

かんぽ生命『新ながいきくん(おたのしみ型)』

かんぽ生命『新ながいきくん(おたのしみ型』は、図のように、水色の保障の部分と、ピンク色の貯蓄の部分からできています。

一つの保険商品で、保障も貯蓄もできてしまうのは便利、と思われるかもしれません。しかし、この2つを混ぜるのは、加入者にとって最も危険です。

貯蓄というからには、払い込んだ保険料が、どのくらい殖(ふ)えてもどってくるのかが重要です。
しかし、『新ながいきくん(おたのしみ型』からもらえる金額は、払い込んだ保険料より、少なくなります。保険料の一部は、掛け捨ての保障のために消費されてしまいますから。

そこで、保障の部分と貯蓄の部分を切り分けて、貯蓄の部分の利回りを調べようとしても、わかりません。保障の部分と貯蓄の部分が一体化されていて、分けることができないからです。

というように、保障性保険と貯蓄性保険が一体になった、『新ながいきくん(おたのしみ型』のような商品は、得なのか損なのかを、消費者が判断できません。最も危険なタイプの商品です。

メインの終身保険の保険料が割高

『新ながいきくん』の保険料を、同業他社と比べると、割高です。

『新ながいきくん』は複数の保険の塊(かたまり)で、しかも3タイプあるので、他社との比較がやりにくいです。
ここでは、シンプルな終身保険である定額型を、明治安田生命とオリックス生命の終身保険と比較します。

30歳男性が、死亡保険金1,000万円の終身保険に、60歳まで保険料を払い込む条件で加入するときの、月々の保険料です。

月々の保険料
かんぽ生命
新ながいきくん(定額型)
24,100円
明治安田生命
終身保険パイオニアE
22,950円
オリックス生命
終身保険ライズ
18,380円

オリックス生命の『終身保険ライズ』は、他の2つと内部の仕組みが異なるので(低解約返戻金型終身保険)、保険料が安くなるのは予想通りです。

しかし、『新ながいきくん』は、国内大手の明治安田生命『終身保険パイオニアE』と比べても、明らかに高くなっています。かなりの割高感です。

かんぽ生命は、安いのかと思っていました。実はお高いのですね・・・

調査会社による大規模なアンケート調査によると、サービスの品質はけっこう不安なレベルです。

国内最大の保険会社かんぽ生命ですが、かんじんなのは、わたしたち消費者に対するサービスの品質です。

顧客満足度はなかなかやや不安

かんぽ生命の評判を、中立的な調査会社によるアンケート調査の結果で、確認しましょう。

米国の調査会社J.D.パワーの調査結果をご覧いただきます。
同社は、米国で設立された、顧客の意識・行動・満足度を調査するプロフェッショナルです。毎年、生命保険に対する顧客満足度調査を実施しています。

2016年の調査結果が最新です。「契約時の満足度」「保全手続きの満足度」「保険金請求の満足度」の3部門に分かれています。
かんぽ生命のランキング順位は、以下の通りでした。

契約満足度 8位
保全手続満足度 12位
保険金請求対応満足度 21位

41社ある生命保険会社の中での順位です。
とは言え、名前の通った保険会社は上位に集中しています。そんな中で、品質の高い会社と言えるには、少なくとも10位以内にいてほしいです。特に、かんぽ生命は、国内最大ですから。

そういう目で見ると、保険金請求対応満足度の悪さが目につきます。これは、順位がついた会社の中では最下位です(アンケートの得票数が少ない会社には、順位がつきません)。

突き詰めると、生命保険は、保険金をもらうために加入します。保険金の支払いに対する満足度が目立って低いのは、心配です。

支払い漏れと苦情の件数も、けっこう多い

生命保険各社の支払い漏れと苦情の件数が、生命保険協会のWebサイトで公表されています。これらも、生命保険会社のサービスの品質を知るうえで、参考になります。

なお、支払い漏れや苦情の件数そのもので比較すると、保有する契約件数が少ない会社の方が有利になってしまいます。そこで、それぞれの会社が保有している契約の件数と、支払い漏れと苦情の件数との割合を、比較しました。

少ない順にランキングしたときの、かんぽ生命の順位は下のようになりました。

2015年の支払い漏れ 全41社中、23番目に少ない。
2016年上半期の苦情件数 全41社中、36番目に少ない。

支払い漏れの件数も、苦情の件数も、平均より多いです。特に、苦情の件数の多さが目につきます。

名前の通った生保会社の場合、どちらか片方の順位が悪くても、もう一方はまあまあの順位にいることが多いです。
かんぽ生命のように、両方の順位が、真ん中より下というのは、けっこう不安です。

かんぽ生命サービスの品質は、かなり心配ですね。

かんぽ生命『新ながいきくん』に加入されているか、ご検討中なら、以下の見直しをおこなうことで、大幅に節約できます。

見直しのポイントは、次の通りです。

  • 『新ながいきくん』を解約するか、保険料払済契約に移行する。
  • カタカナ生保・損保系生保の見積もりを比較して、終身保険を選ぶ。
  • 保険料払込期間中(60歳まで、65歳まで・・・)の死亡保障を手厚くするなら、定期保険収入保障保険を検討する。

以下に補足説明します。

『新ながいきくん』を解約するか、保険料払済契約に移行

とりあえず、割高な保険料を払い込み続けるのは嫌なので、解約するか、保険料払済契約に移行します。

保険料払済契約とは、今後の保険料の払込を停止して、これまでに払い込んだ保険料に合わせて、保障を小さくする手続きです。

保険料払い済み契約への移行

解約すると、保障はゼロになりますが、解約返戻金はもどってきます。保険料払済契約に移行すると、保障は残りますが、もどってくるお金はありません。

どちらを選んでも、損も得もありません。
解約したときに戻ってくる金額と、保険料払済契約にしたときの保障額とをかんぽ生命に問い合わせましょう。金額を聞いたうえで、魅力を感じる方を選んでください。

ニーズに合わせて、カタカナ生保・損保系生保の商品に加入

上の保険料比較からわかるように、保険料の面では、カタカナ生保・損保系生保がお勧めです。

もし、カタカナ生保・損保系生保の将来に不安を感じるようでしたら、大手企業・有名企業系列の保険会社に絞ってください。

  • オリックス生命(オリックスの系列)
  • ソニー生命(ソニーの系列)
  • 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命(損保ジャパン日本興亜の系列)
  • 東京海上日動あんしん生命(東京海上日動の系列)
  • ネオファースト生命(第一生命の系列)
  • 三井住友海上あいおい生命(三井住友海上の系列)
  • メディケア生命(住友生命の系列)

なお、『新ながいきくん』の何型から移行するかによって、検討する商品は異なります。以下に整理したので、参考にしてください。

『新ながいきくん』の型 検討する保険のタイプ
定額型
  • 終身保険
  • 特約をつけているときは、医療保険など、個別に検討する。
ばらんす型
  • 終身保険
  • 定期保険
  • 特約をつけているときは、医療保険など、個別に検討する。
おたのしみ型
  • 終身保険
  • 収入保障保険
  • 個人年金保険、学資保険などの貯蓄性の保険。
  • 特約をつけているときは、医療保険など、個別に検討する。

他社に乗り換えるなら、その時期が遅くなるほど、年齢が進んで保険料は高くなります。乗り換えを先延ばしして、トクになることはありません。

保険料は確かに安くできそうですね。でも、けっこう手間が・・・

複数の保険商品の見積もりを比較するなら、保険の専門家を上手に活用しましょう。

『新ながいきくん』を、カタカナ生保・損保系生保の単体商品に置き換えると言っても、どんな生保会社があって、それぞれがどんな商品を扱っているのか、調べるだけでけっこう負担になります。

また、それぞれの商品の見積もりをして、保険料を比較するには、保険の知識や各社の商品知識が必要になります。とても、素人の手には負えません。

そこで、保険のプロの活用をオススメします。

保険のプロにはいろいろありますが、相談相手として選ぶべきは、上に名前をあげた保険商品を一通り取り扱っている保険のプロです。
そうでないと、ご自分の条件で、主要な保険商品を比較できなくなってしまいます。

では、どうすれば、そういう保険のプロに相談できるのでしょうか?
意外と簡単に、しかも無料でできてしまいます。詳しいことは

を、ご覧ください。

ところで、かんぽ生命は、どんな会社ですか?評判は?

かんぽ生命は、国内有数の規模を誇る、名門の生命保険会社です。

かんぽ生命が、現在の民間の保険会社となったのは2006年です。それまでは、国営の郵政事業の一環として、簡易生命保険や郵便年金を販売していました。

民間企業になると同時に、国内の生保業界No.1だった日本生命を、総資産額で大幅に抜き去り、国内はおろか、世界でも有数の保険会社となりました。

現在でも、かんぽ生命は巨大金融機関

かんぽ生命は、現在でも国内最大の保険会社です、どのくらいの規模なのか、2015年度の決算をご覧いただきます。生命保険会社総資産の上位10社は以下の通りです。

順位 会社名 総資産
(億円)
1位 かんぽ生命 815,436
2位 日本生命 634,538
3位 明治安田生命 365,766
4位 第一生命 358,949
5位 住友生命 276,415
6位 ジブラルタ生命 110,889
7位 アフラック 107,755
8位 メットライフ 98,724
9位 ソニー生命 80,354
10位 三井生命 70,955

首位というだけでなく、2位との差が大きいです。

郵便局中心の大規模な販売体制

かんぽ生命は、76ヵ所の直営店舗と20,056の郵便局にて(いずれも2016年3月末)、保険商品を販売しています。郵便局は、かんぽ生命の代理店という立場なります。

生命保険はとてもわかりにくいので、消費者はその必要性や意義を理解しにくいです。だから、店先にパンフレットを陳列しても、それで売れるような商品ではありません。

かんぽ生命の、全国津々浦々の郵便局を中心とした販売体制は、他社には無い強力な武器です。

ただし、代理店という形をとっているとしても、大規模な販売網を維持するためには、大きなコストがかかります。それが、わたしたちが払い込む保険料に反映されます。

かんぽ生命は、販売する保険の種類を絞り込み、簡素な手続きで加入できる、コンパクトな保険商品を提供しています。

かんぽ生命の保険商品を、保険の種類別に整理しました(2017年2月現在)。

保険の種類 商品名 補足説明
総合保障保険
  • 新ながいきくん(ばらんす型)
  • 新ながいきくん(おたのしみ型)
1つの商品で複数の保障を確保できる。
終身保険 新ながいきくん(定額型)
定期保険 新普通定期保険
こども保険 はじめのかんぽ
貯蓄保険
  • 普通養老保険
  • 特別養老保険保険
  • 特定養老保険

かんぽ生命が販売している商品は、他の生保会社と比べると、種類が限られています。
それ以外にも、かんぽ生命ならではの特徴が、いくつかあります。

  • 加入にあたって、医師による診査はない(告知や面接はあり)。
  • 保険金額に、限度額が設けられている(小型の保障)。
  • 払込保険料総額に、限度額が設けられている(小型の保障)。

加入の手続きは、他の生保に比べて簡略化されています。ただし、取り扱える保障も小さくなります。

保険商品を比較して、納得して選ぶなら、中立的な立場の保険の専門家に相談しましょう。

それぞれの生命保険会社に問い合わせすれば、資料を送ってくれたり、営業職員をよこしてくれます。しかし、自社商品の説明をしてくれても、他社の競合商品との比較はできません。

比較して、自分に最適な商品を選びたいなら、それぞれの生保会社に個別に問い合わせて、提案書を手元に集めるしかないのでしょうか?

そんな手間と時間をかけなくとも、主要各社の見積もりをまとめて入手する方法があります。中立的な保険の専門家のアドバイスを受けることもできます。しかも無料で。

その方法は

を、ご覧ください。

 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。

  • FP(ファイナンシャル・プランナー)は、保険を含む、資産・家計・税務知識の公的資格保有者。
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