JA共済『終身共済』

JA共済『終身共済』

JA共済の共済商品は、生命保険と実質的には同じものです。そして、組合員でなくても、農家でなくても、入れます。

JA共済は、農業協同組合(JA)の共済事業です。

共済という言葉は、「互いに助け合う」という意味です。
厳密には、保険とは異なる仕組みです。ただし、実際には、保険とほぼ同じように利用できます。

農業協同組合の事業なので、農家の人は組合員になれば加入できます。
しかし、農家でなければ入れない、というわけではありません。

農家や組合員でなくとも、加入できる

農家でなくても、組合員でなくても、JA共済に入ることができます。その方法には、以下の2つがあります。

  • 出資金を支払って、准組合員になる。
  • 地元の農協を員外利用する。

出資金は、組合に入るときに1回納めます(1,000円以上)。このお金は、組合から抜けるときは、もどってきます。

よって、準組合員になるとしても、大した負担にはなりません。とは言え、出資金不要の員外利用の方がおトクです。

もっとも、員外利用には制限が設けられています。それぞれの地域のJAごとに、員外利用の利用額は、組合員の利用額の2割まで、と法律で決められています。
地域によっては、申し込んでも、員外利用できないことがあります。

共済と保険の用語の違い

共済と保険は、中身は同じようなものですが、成り立ちが違うので、言葉の使い方が、ところどころ異なっています。

特に重要そうな用語を、あげておきます。

保険 共済
保険 共済
保険料 共済掛金
保険金 共済金
配当金 割りもどし金

生命保険会社並みの品ぞろえ

JA共済の、人に関する保障商品には、以下のようなものがあります。

  • 終身共済(=終身保険)
  • 養老生命共済(=養老保険)
  • こども共済(=学資保険)
  • 医療共済(=医療保険)
  • がん共済(=がん保険)
  • 介護共済(=介護保険)
  • 年金共済(=個人年金保険)
  • 定期生命共済(=定期保険)
  • 傷害共済(=傷害保険)

生命保険会社とそん色のない品揃えです。

さらに、自動車保険にあたる自動車共済や、火災保険にあたる建物更生共済など、損害保険会社と同じような商品も販売しています。

このページでは、JA共済の主力商品の一つ、終身共済について、以下で掘り下げます。

JA共済の主力商品『終身共済』に、入ってはいけない理由があります。

助け合いという理念に基づいて運営されているJA共済の『終身共済』ですが、残念ながら、入ってはいけない保険です。
主な理由は以下です。

  • 実質的に定期付終身保険(セット商品)です。保険のセット商品は、いずれ後悔する危険があります。
  • 保険料(掛金)が割高です。

それぞれについて、以下で詳しく説明します。

JA共済『終身共済』は、実質的に定期付終身保険

『終身共済』は、実質的に定期付終身保険です。
以下が、JA共済のウェブサイトに掲載されている、『終身共済』の仕組み図です。

JA共済『終身共済』

まったく定期付終身保険です。
ということは、定期付終身保険のデメリットが、そのまま当てはまります。

  • セットされている保障の中に、割高なもの、劣ったものが含まれていても、選別できない。
  • 将来、保障内容をけずりたくなったときに、希望通りに変更できない。

一般的な家庭に必要な保障がパッケージになった定期付終身保険は、レストランで"シェフのおまかせコース"を頼むようなもので、注文するときは楽です。

しかし、食べたら終わりのディナーと違って、共済に加入した後、長年にわたってかけ続けます。その間に、仕事や家庭の事情が変わって、中身を見直したくなるかもしれません。

定期付終身保険には、セット商品としての制約がいろいろあって、中身を見直すときに、思い通りになりにくいです。
結局、保険会社や共済のルール通りに手続きすると、損することが多いです。

保障ごとに、別々の保険商品に加入しておけば、こちらの思い通りに見直すことができます。
加入するときは、商品数が増えるので手間も増えます。でも、長く付き合うものなので、別々に加入することをお勧めします。

別々に加入することのメリットは他にもあります。
保障一つ一つについて、ベストの商品を選べるので、保険料の節約や保障内容の充実という点でも、優れています。

JA共済は保険料(掛金)が割高

上の図のように『終身共済』は、いろいろな保険の塊(かたまり)です。そのままだと、他社の商品と価格を比べにくいです。

そこで、『終身共済』を構成する保障の一つ、定期保険の保険料(掛金)を、日本生命、オリックス生命の定期保険と比較します。

30歳と45歳男性が、死亡保険金1,000万円、保障期間15年の定期保険に加入するときの、月々の保険料(掛金)です。

30歳 45歳
JA共済 2,660円 5,750円
日本生命 2,800円 6,130円
オリックス生命 1,475円 4,232円

JA共済の保険料(掛金)は、伝統的国内大手の日本生命より、少し安くなりました。
それでも、カタカナ生保・損保系生保のオリックス生命と比べると、日本生命に近い価格です。

JA共済の保険料(掛金)は、伝統的国内大手並みの、割高な価格設定になっています。

JA共済は、安いのかと思っていました。実はお高いのですね・・・

JA共済『終身共済』に加入されているか、ご検討中なら、以下の見直しをすることで、大幅に節約できます。

見直しのポイントは、次の通りです(実施する順です)。

  1. 『終身共済』の主契約・特約のうち、今後も必要な保障を選定する。
  2. 今後も必要な保障について、カタカナ生保・損保系生保の見積もりを入手する(保障一つにつき、1商品)。
  3. 主要なカタカナ生保・損保系生保の見積もりを比較検討して、それぞれについて、ベストの商品を選ぶ。
  4. 『終身共済』を解約するか、払済契約に変更する。

以下に補足説明します。

『終身共済』を解約するか、払済契約に変更する

JA共済への掛金払い込みを停止する方法は、2つあります。解約するか、払済契約への変更です。

解約と払済契約への変更

解約すると、『終身共済』は消滅します。入ってからある程度以上の年数が過ぎていたら、解約することで、お金(返れい金)がもどってきます。

払済契約とは、今後の保険料の払込を停止して、これまでに払い込んだ保険料に見合う、終身保険(終身共済)に変更することです。
この手続きでは、お金(返れい金)はもどらないかわりに、その金額相当の終身保険が残ります。

保険料払い済み契約への移行

どちらを選んでも、損も得もありません。
解約したときに戻ってくる金額と、払済契約にしたときの保障額とをJA共済に問い合わせましょう。
金額を聞いたうえで、魅力を感じる方法を選んでください。

解約または払済契約の手続きは、最後におこなう

ただし、解約または払済契約の手続きは、新しい保険への加入が終わった後に、実行してください。
先に、『終身共済』を処分してしまうと、新しい保険の加入が終わるまで、無保障の期間ができてしまいます。

生命保険の加入手続きには時間がかかります。場合によっては、健康上の理由などで、加入できないこともあります。手続きの、順番に気をつけてください。

ところで、解約または払済契約の手続きは最後にやりますが、返れい金(解約したら戻るお金)の金額と、払済契約に変更したときの死亡保障額については、JA共済に早めに問合せしましょう。

返れい金の金額や死亡保障額によって、新しく加入する保険の中身が変わるかもしれませんから。

ニーズに合わせて、カタカナ生保・損保系生保の商品に加入

上の保険料比較からわかるように、保険料の面では、カタカナ生保・損保系生保がお勧めです。

経営基盤のしっかりしたカタカナ生保・損保系生保

もし、カタカナ生保・損保系生保の将来に不安を感じるようでしたら、大手企業・有名企業系列の保険会社に絞ってください。

  • オリックス生命(オリックスの系列)
  • ソニー生命(ソニーの系列)
  • SOMPOひまわり生命(損保ジャパン日本興亜の系列)
  • 東京海上日動あんしん生命(東京海上日動の系列)
  • ネオファースト生命(第一生命の系列)
  • 三井住友海上あいおい生命(三井住友海上の系列)
  • メディケア生命(住友生命の系列)

保障ごとに、別々の保険商品に加入

『終身共済』の場合、主契約の終身保険は全員必須ですが、特約の付け方は人それぞれです。特約一つ一つを、単体の保険商品に移行する、という方針で検討を進めてください。

『終身共済』の主な特約と、移行する保険種類の組み合わせを、下表にまとめました。

終身共済 移行する保険
主契約 終身保険
家庭収入保障特約 収入保障保険
災害給付特約 災害保障保険
災害死亡割増特約
定期特約 定期保険

他社に乗り換えるなら、その時期が遅くなるほど、年齢が進んで保険料は高くなります。乗り換えを先延ばしして、トクになることはありません。

保険料は確かに安くできそうですね。でも、けっこう手間が・・・

保険のプロに相談するなら、中立性が高く、商品を比較できるところを選びましよう。

わかりにくい保険だからこそ、中立な立場で助言してくれるプロに相談したいです。

保険ショップか独立系FP

保険を販売する人たちを、中立性と商品知識の2つの角度から分類したのが下の図です。

商品知識 保険ショップ 独立系FP 銀行窓口 一般の保険代理店 保険会社の直営 店または営業

お勧めしたいのは、赤い文字の「保険ショップ」または「独立系FP」です。「独立系FP」とは、特定の保険会社に所属しないFPのことです。

保険ショップ
  • 取り扱う保険会社数がもっとも多く、中立性は高い。
  • 各社の商品についてよく知っているが、保険・家計の知識は店舗による。
独立系FP
  • 複数の保険会社の商品を取り扱っており、中立性は高い。
  • 各社の商品についてよく知っており、保険・家計の知識もある。

基本から相談したいときにFP保険相談を、入りたい保険がだいたい決まっていて、商品選びをしたいときは保険ショップをお勧めします。

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