40代の保険の入り方・選び方

40代の保険の入り方・選び方

40代の保険の選び方を、ライフスタイル別にご案内します。

40代のライフスタイルは多様で、保険との付き合い方もそれぞれでしょう。

ただし、ほとんどの人に言えるのは・・・

これからの保険との付き合い方を決断し、それを形にしたい年代です。

高齢化社会の進展に伴って、60代70代でも加入できる保険が増えています。

しかし、年齢が高くなればなるほど、健康の衰えや高額な保険料のために、望むような保険に入りにくくなります。

よって・・・

保険の先延ばしや、今後見直しが必要になりそうな入り方は、避けたいです。

以下、代表的なライフスタイルに分けて、保険を選ぶときのポイントを説明します。

すべての40代に検討していただきたい保険があります。

それぞれの立場や境遇にかかわらず、40代の人たちに検討していただきたい保険があります。

次の3つです。

  • 死後の整理のための保険
  • 病気のための保険
  • 老後生活資金のための保険

それぞれについて、以下で説明します。

死後の整理のための保険 〜 終身保険

亡くなったときに、遺族に遺すお金のうちは、お葬式とか、埋葬とか、遺品整理というような、死後の整理・後始末は、誰にでも共通します。

また、相続対策の要否は人によりますが、一定以上の資産がある人には、等しく課税されます。

これらの準備に向いているのが、終身保険です。

終身保険のイメージ図

保険金額は、100〜500万円が相場のようですが、もちろん人によって異なります。

病気のための保険 〜 医療保険・がん保険

病気のための保険というと、医療保険がん保険などが該当します。

入る時期を遅らせて、良いことはない

これらの保険料は、年齢が上がるにつれて高くなります。しかも、高齢になるほど、上がり方が急になります。

さらに、加入する年齢が高いほど、生涯の保険料累計も大きくなります。

以下は、各年齢の女性が、アフラックの医療保険『医療保険EVER Prime』のお勧めプラン(入院給付金5000円、通院ありプラン)に加入するときの、保険料です。

〈累計〉は、女性の平均寿命である89歳までの、保険料の総合計です。

加入年齢 月払い保険料 89歳までの累計
25歳 2,069円 1,588,992円
35歳 2,458円 1,592,784円
45歳 3,343円 1,765,104円
55歳 4,930円 2,011,440円

25歳と35歳では、25歳のほうが安いですが、差はそんなに大きくありません。

しかし、45歳になると、月額でも累計でも、あきらかに高くなっています。55歳だとなおさらです。

入る年齢が高くなるほど、保障を受けられる期間は短くなり、払い込む保険料の累計が高くなります。

以下のことが言えそうです。

  • 加入を先延ばしするのは、損を大きくするだけ。
  • 今後、二度と見直ししないつもりで、商品や保障プランを決めたい。

入っている保険は、極力見直さない

若いときに加入した医療保険・がん保険の見直しをお考えかもしれません。

医療保険やがん保険などの医療関連の保険は、医療現場の影響を受けやすいです。医療が進歩すれば、保険も変わります。

そのため、加入してから年数が経過すると、見直したくなるかもしれません。

見直すのは悪いことではありませんが、

元の保険は、可能な限り温存してください。

昔の医療保険を、最新のものに置き換えても、機能の半分以上は、さほど変わりません。

ところが、変わらない部分の保険料も、今の年齢を基準に再計算されて、高くなります。

保険会社は、そのほうがもうけになりますが・・・

保険見直しの理想は・・・

元の保険の不要になった部分を切り落とし、新しく登場した機能の分だけ、新規に加入することです。

老後生活資金のための保険 〜 個人年金保険

個人年金保険などが、当てはまります。

もっとも、個人年金保険を含めて、安全性の高い安定志向の貯蓄手段は、ここ最近超低金利です。

個人年金保険は、生命保険料控除を受けられるので、定期預金などよりは有利です。元本が保証される貯蓄の中では優秀です。

それでも利回りは低いので、まとまった金額を貯めるには、時間をかける必要があります。

40代から始めて、60代で満足できる金額の年金を受け取れるかは、微妙なところです。

たとえば、明治安田生命『年金かけはし』に、45歳女性が加入するとします。

65歳から年金開始するプラン

45歳から65歳まで毎月20,000円の保険料を払い込み、65歳から10年間年金を受け取るとします。

個人年金保険(据え置き金なし)
保険料の累計 480万円
年金額 約48.9万円
年金累計額 約489万円
65歳での一括受取額 約482万円

合計で480万円払い込んで、年金の合計は約489万円。9万円増えます。

30年間の利回りを年利に換算すると、約0.029%です。

ちなみに、年金としてではなく、65歳のときにまとめて受け取ると約482万円なので、2万円の増加です。

増えてもどるので、貯蓄として成立しているものの、他の手段と比べてメリットは乏しいです。

70歳から年金開始するプラン

45歳から65歳まで毎月20,000円の保険料を払い込み、その後5年間据え置き(預けて待機する)、70歳から10年間年金を受け取るとします。

個人年金保険(据え置き金あり)
保険料の累計 480万円
年金額 約49.8万円
年金累計額 約498万円
70歳での一括受取額 約490万円

合計で480万円払い込んで、年金の合計は約498万円。18万円増えます。

30年間の利回りを年利に換算すると、約0.032%です。上の65歳開始の試算とほぼ同じです。

ちなみに、年金としてではなく、70歳のときにまとめて受け取ると約490万円なので、10万円の増加です。

金額で見ると、この方が増えているように見えますが、利回りにすると、大差ありません。

貯蓄としては使えそうですが、利回りはギリギリです。言い換えると、

40代を過ぎると、個人年金保険という選択肢を、失ってしまいます。

40代既婚者の保険の選び方、見直し方をご案内します。

結婚して家族がいると、亡くなったり病気になったときの、遺族への影響も考慮しなければなりません。

家族に対する影響の大きさは、色んな角度からはかれますが、保険を検討するときは、もっぱら金銭面で考えます。

収入面で、家計を支えている人の保険

ご夫婦のうち、収入のほとんどを担っていた人が亡くなったら、まずは遺族の生活費が気になります。

その準備のために使える保険には、以下があります。

  • 収入保障保険
  • 定期保険
  • 総合保障型保険(組み立て型保険、定期付き終身保険、アカウント型保険・・・)

いずれも、遺族が生活を立て直せるまでの、生活を支える保険です。

必要な保障の大きさは、資産の大きさ、配偶者の収入、子どもの有無と年齢、持ち家か賃貸かなどによって変わります。保険の専門家と相談しながら、納得できる保障を準備したいです。

また、病気・ケガの治療で、仕事を長期間できなくなったとき、治療費は上で説明した医療保険等でカバーできるとして、治療中の収入の減少が気になります。

特に、自営業者・個人事業主は、病気療養が、収入に直撃しやすいです。

気になる方は、以下の保険をご検討ください。

  • 所得補償保険(損保会社)
  • 就業不能保険(生保会社)

家事で世帯を支えている人の保険

専業主婦(主夫)とかパート主婦(主夫)が亡くなったり、病気・ケガで家事ができなくなっても、ただちに生活費が行き詰まることはないはずです。

ただし、小さな子どもがいる世帯では、金銭的な影響がすぐに出ます。世帯の中に育児を受け持てる人がいなければ、保育園にあずけたり、ベビーシッターを利用するとか・・・

家事全般についても、亡くなった人の穴を他の人が埋められなければ、ジワジワと家計にダメージが出ます。外食が多くなるとか、ホームヘルパーを利用するとか・・・

そうなったときにどうするか、ぜひ夫婦間で相談しててください。

たとえば、身内が近くに住んでいて、手伝いを頼めそうなら、支出の増加は手持ちのお金でカバーできるかもしれません。そういう手段を選べず、お金を払って解決するしかなければ、多少の保険金でも心強いはず。

そうであれば、死後の整理資金(葬義費用、埋葬費用、遺品整理費用・・・)に加えて、遺族に残すお金を、用意したいです。

一方、専業主婦やパート主婦が病気・ケガで長期療養になったとき、治療費用ではなく、生活費を穴埋めするための保険はありません。

医療保険の給付金額を、大きめに設定することで、足しにできるかもしれません(ただし、医療保険の給付金の大半は、治療後にもらえます)。

そもそも、男性より女性の方が、生涯にかかる医療費は大きくなりやすいので(寿命が長いので)、夫より妻の医療保険を大きくするのは、合理的です。

過剰な保険がないか、見直しを

すでに家族のための保険に入っている方々は、40代でいったん見直したいです。

家族のための保険は、加入したときの世帯の状況が前提になっています。

一般論として、家族のための必要保障は、年月の経過とともに小さくなります。

お子様がいたら、その経済的自立に年々近づきますし、老齢年金を受給できる年齢も近づいてきます。

現在加入している保険の中に、小さくできるものがないか、点検してください。

逆に、新たに入りたい保険があるなら、先延ばしするほど条件は悪くなるので、健康状態が良くて、保険料が少しでも安いうちに、加入しましょう。

子どもがいるかいないか、また子どもの年齢で、必要な保険金額が大きく変動します。

子どもがいても、必要な死亡保障は、原則として同じです。ただし、保険金の大きさは変わります。かなり大きくなります。

子どもがいると、必要な死亡保障は、大きくなる

世帯の人数が増えれば、世帯主が亡くなったときの、遺族の生活費は当然大きくなります。子どもの衣食住の費用に加えて、学費などの養育費を準備しなければなりません。

また、子どもが幼いと、遺された配偶者は、時間の拘束がきつい仕事に就きにくくなります。となると、子どもが留守番できるようになまでの生活費も、保険金額に含めたいです。

というように、子どもがいることで、必要な保障はかなり大きくなります。

子どもの成長につれて、必要保障は小さくなる

子どもがいる世帯の必要保障額は、子どもの経済的な自立が近づくにつれて、だんだん減少します。

それに合わせて、保険の内容も随時見直したいです。

保険の見直しは、新しくしたり、大きくするときは面倒です。手続きが必要ですし、保険料は高くなります。

一方、保障を小さくするのは簡単です。保全(=契約内容の変更)なので、やることとしては、書類の提出くらいです。

また、保障が小さくなれば、それにあわせて保険料も少し安くなります。

マイホームを購入しているか、賃貸住宅かで、死亡保険の保険金額は異なります。

賃貸か持ち家かで、死亡保険の保険金額が変わります。

賃貸の場合、そこに住み続ける限り、賃料を払い続けなけれはせなりません。よって、保険金額の見積もりにも、賃料(たとえば、子どもが自立するまでの年数分)を含める必要があります。

一方、持ち家で、ローンを返済中のとき、世帯主が亡くなったら、ローンは消滅します。なぜなら、住宅ローンに団体信用生命保険がセットされていて、借り手が亡くなったら、その保険金が自動的にローンに充当されからです。

遺族は、ローンを返済することなく、住み続けることができます。

要するに、団体信用生命保険の方ですでに対策しているので、個人個人が保険でローン返済に備える必要はありません。

保険に加入した後に、住宅を購入していたら、保険金額を下げましょう。

その一方、世帯主が病気療養などで、収入がピンチになっても、ローンの返済はそのまま続きます。

そうなっても、現在の住居に住み続けるなら、ローン返済のめどを立てたいです。保険を利用するなら、所得補償保険とか就業不能保険の守備範囲です。

医療保険やがん保険の必要性は、男性より女性の方が大きいです!

一般的に、男性より女性の方が、保険に対する意識は高いです。

そのせいか、女性向けの保険商品や保障プランを、目にする機会は少なくありません。

しかし、実際には、女性だけに準備してもらいたい、特別な保障があるわけではありません。男女共通の保険商品て、十分に備えられます。

女性の方が、生涯の医療費はかかりやすい

ただし、女性の方が男性より平均寿命が長いため(2017年の日本人の平均寿命は、女性87.26歳、男性81.09歳)、病気のリスクも高くなります。 80代になってからの6年の差です。その6年間に、病気を患う恐れはけっこう大きいです。

厚生労働省『患者調査』(平成26年)によると、年間の男女の入院患者数は、以下のようになっています。

  • 男性入院患者数 約603,800人
  • 女性入院患者数 約715,100人

というように、一生の保険である医療保険の必要性は、男性以上に、女性の方が高いです。

これ以降、保険を見直さないつもりで

上で、アフラックの保険料例をご覧いただきましたが、40代以降は、加入する年齢が上がるにつれて、1回あたりの保険料だけでなく、生涯の保険料累計もどんどん高くなります。

また、健康への不安が大きくなるかもしれません。場合によっては、それが原因で、保険に入れないかもしれません。

そうした可能性を考慮すると・・・

40代のうちに、残りの人生40年くらい続けられる保険を選びたいです。

特に注意していただきたいのが、医療保険やがん保険のような、医療関係の保険です。

これらの保険は、医療の進歩の影響を受けやすいです。年月の経過とともに、劣化するリスクがあります。

しかし、このリスクを避けられる入り方があります。保険を構成する給付金の選び方が大切です。

経年劣化のリスクが大きいのは、最新の医療にもとづく給付金です。これを避けましょう。

入院給付金、手術給付金、診断一時金など、特定の治療法の影響を受けにくい給付金を組み合わせて、給付金の金額を厚くすれば、長持ちします。

自営業者・個人事業主は、公的制度がやってくれないことを把握し、それぞれについて手を打ちましょう。

公的医療保険や公的年金などの諸制度は、会社員や公務員に手厚くなっています。

そこには、会社員や公務員のような被雇用者は立場が弱いので、保護が必要という発想があります。

では、自営業者や個人事業主は、立場が強いかというと、一概には言えません。とは言え、自営業者や個人事業主に対する公的制度の保護は薄く、各自がそれぞれの判断で準備することになっています。

保護というのは、裏を返せば干渉にもなります。自営業者や個人事業主は、公的制度の保護が薄いとも言えますし、自己裁量が幅広く認められている、とも言えます。

いずれにしても、公的制度がやってくれないことを把握して、それぞれに対して手を打たなければなりません。

療養が長期になったときの、治療費と生活費の確保

自営業者・個人事業主で、しかも一人または少人数で営んでいるときに気になるのは、病気・ケガで仕事をできなくなったときの、収入の確保です。

治療費用は、国民健康保険などでまかなえますが、減った収入を補填してくれる公的制度はありません。

自助努力で保険・共済で対策するなら、次のような選択肢があります。

  • 所得補償保険(損保)、所得補償共済
  • 就業不能保険(生保)
  • 給付金の金額を大きく設定できる医療保険(経営者向け、法人向けを含む)

ちなみに、会社員・公務員が加入する健康保険には、傷病手当金があります。

傷病手当金は、病気やケガのために勤務を休み、十分な報酬が受けられないときに、公的医療保険から支給されます。最長1年6ヶ月を限度に、それまでの給与の約3分の2の金額をもらえます。

また、業務上または通勤でのケガ・病気・障害・死亡では、労災保険の保護を受けることができます。

ちなみに、職種によっては(自動車を使用する事業者、土木・建築などの事業者、漁業者・船員など)、自営業者・個人事業主でも労災保険に特別加入できます。

老後の生活資金

老後の生活費として、自営業者・個人事業主は、国民年金を受け取ることができます。しかし、これだけでは生活できません。

ちなみに、厚生労働省『平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金(老齢基礎年金)の平均支給額は、一人あたり月に55,615円でした(夫婦なら倍の111,230円)。

会社員・公務員なら、国民年金の他に厚生年金にも入っており、そこからも受給できます。

自営業者・個人事業主には、そういう年金上乗せの仕組みがないので、自分で不足分を準備しなければなりません。

初めに検討すべきは、保険など金融商品の利用より、本業でしっかり収益を上げることでしょう(余計なお世話ですが・・・)。

次に、業界組合などで、小規模企業共済(独立行政法人中小企業基盤整備機構による退職金の準備)などを利用できないか、検討してください。

それでも不十分なら、個人年金保険のような、個人での資産形成も視野に入れてください。

遺族の生活費

もし世帯主が亡くなったときの、遺族の生活資金の準備については、上の40代既婚者の保険の選び方で説明したとおりです。

ただ、死亡保険金の金額を決めるために、会社員・公務員よりも、多くのことを考慮しなければなりません。

会社員・公務員の配偶者だと、国民年金と厚生年金の両方から年金が出ます。受給資格を充たしていれば、生活できる最低限の年金を得られます。

しかし、自営業者・個人事業主の配偶者は、国民年金のみなので、それだけでは生活できない恐れがあります。上でもご案内しましたが、国民年金の平均支給額は、一人あたり月に55,615円なので。

死亡保険で配偶者の老後の生活まで守るなら、死亡保険金額は、それを見込んだ金額に設定する必要があります。

また、従業員がいたり、リース物件を多数抱えていたり、取引先との関係によっては、事業主の死亡保険金で、事業の継続や整理もやらなければなりません。

経営者保険に詳しい専門家に相談しながら、必要十分な保障をご準備ください。

保険のプロに相談するなら、中立性が高く、商品を比較できるところを選びましよう。

わかりにくい保険だからこそ、中立な立場で助言してくれるプロに相談したいです。

保険ショップか独立系FP

保険を販売する人たちを、中立性と商品知識の2つの角度から分類したのが下の図です。

商品知識 保険ショップ 独立系FP 銀行窓口 一般の保険代理店 保険会社の直営 店または営業

お勧めしたいのは、赤い文字の「保険ショップ」または「独立系FP」です。「独立系FP」とは、特定の保険会社に所属しないFPのことです。

保険ショップ
  • 取り扱う保険会社数がもっとも多く、中立性は高い。
  • 各社の商品についてよく知っているが、保険・家計の知識は店舗による。
独立系FP
  • 複数の保険会社の商品を取り扱っており、中立性は高い。
  • 各社の商品についてよく知っており、保険・家計の知識もある。

基本から相談したいときにFP保険相談を、入りたい保険がだいたい決まっていて、商品選びをしたいときは保険ショップをお勧めします。

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