子供がいる共働き世帯の保険
子供がいる、共働き世帯の保険を検討するときに、どんなことに気をつけなければなりませんか?
子供がいる共働き世帯にご検討いただきたい保険と、それぞれの重要度・優先度をご説明します。
保険が得意とする4つの分野に分けて、その重要度・優先度などを説明します。
➀ 遺族の生活資金
遺族(配偶者、子供)のための教育費用や生活費用です。
残された配偶者の収入の大きさによって、対策の要否や規模が決まります。遺族年金(公的年金)と配偶者の収入で、遺族の生活費をカバーできそうなら、保険は必須ではありません。
ただし、ひとり親になることで、配偶者がこれまでと同じように働けなくなるかもしれません。となると、収入も減ってしまいます。
できるだけリアルに想像して、対策の要否をご判断ください。
家族が亡くなることで、転居したり、転職するなど、想定していなかった生活の変化が起こるかもしれません。
そう考えると、必要なさそうでも、多少とも死亡保険金を受け取れるようにしておく方が安心です。
ただし、通常は、掛け捨て保険で対策することになるので、必要最小限にしましょう。
➁ 死後の整理資金
どんな人でも、必ず発生する費用です。
ただし、相続税が高額になるような資産家を除くと、高額になりにくいです。
とくに近年は、身内だけによるこじんまりとした葬式が多くなっているようです。
急に必要になったときに、200~300万円くらい動かせるお金があるなら、保険に入る必要性は低いです。
整理資金は、亡くなられた後すぐに発生する、まとまった出費です。
まだ動揺が収まっていない時期なので、数百万円の保険金であっても、金銭的な価値以上に心強く思えるかもしれません。
また、この目的のために使われる終身保険は、いつかは必ず保険金を受け取ることができる(掛け捨てではない)ので、迷うなら入ってもよいです。
➂ 医療費
そもそも論として、日本は公的医療保険制度が充実しているので、医療保険やがん保険の必要性は低いです。
入院するときなどに保険があると心強いですが、だからと言って、保険がないと治療費を払えない、という事態は起こりにくいです。
また、加入者のほとんどは、受け取る給付金総額より、払い込む保険料累計の方が大きくなります。
とは言え、難病・奇病で生涯入退院を繰り返すリスクはゼロではありません。必要性は低いけれど、無意味というわけではありません。
就業不能保険
近年、就業不能保険へのニーズが、じわじわと広がっています。
病気・ケガなどで働けなくなったときの、収入減を保障する保険です。
ただし、ご夫婦とも企業か役所に就職されていて、協会けんぽ・組合健保・共済組合のどれかに入っているときは、傷病手当金や出産手当金が出るので、必要性は高くありません。
一方、自営業や会社経営をされている方々には、検討する価値があります。
➃ 生活資金(学資・老後)
他の金融商品と同じく、貯蓄型保険の利回りもこの数年低水準です。
しかも、主力商品は固定金利(加入した時の金利に固定される)です。元本保証はありますが、低い金利で固定されるので、魅力度は低いです。
ただし、定期預金など、他の金融機関の元本保証がある商品に比べると、利回りは少し上なので、迷うところです。
また、生命保険料控除が適用される入り方をすれば、節税になります。
元本保証にこだわるなら、貯蓄型保険は選択肢になります。
とくに、15~20年間で教育資金を貯める学資保険の場合、他に選択肢が少ないのが実状です。
近年、外貨建ての一時払い保険などが注目されています。
利回り面で有利な商品は多いようですが、元本割れのリスクがあります。
また、何かにつけて手数料がかかるので、仕組みを分かっていないと損をしやすいです。
外貨運用に自信がある方、興味がある方以外には、おすすめしにくいです。
【参考】4つの分野の概要
年代や家族構成などにかかわりなく、意識していただきたい基本事項を、下表に整理しました。
遺族の生活費 |
|
---|---|
死後の整理資金 |
|
医療費 |
|
生活資金(学資・老後) |
|
遺族にお金を残すなら、収入保障保険がおすすめです。ムダが少ない死亡保険です。
共働き世帯で遺族に保険金を残すなら、子供が経済的に独立するまでの教育費用・養育費用がおもなターゲットです。
このような、期間が限定されている死亡保障には、定期保険か収入保障保険が向いています。
高額な死亡保障には、掛け捨て保険が現実的
ちなみに、定期保険か収入保障保険も掛け捨て保険です。
掛け捨て保険は、保険を使わないと保険料が戻ってきません。そのことをもったいなく感じる方が多いです。
しかし、貯蓄型の保険(払った分が必ず戻る保険)で、遺族のための死亡保障を準備するのは現実的ではありません。保険料が高くなりすぎます。
たとえば、35歳男性が、60歳までの間1500万円の死亡保険に入るとします。
その場合、月々の保険料は、定期保険(掛け捨て)と終身保険(貯蓄型)とで、次のようになります(オリックス生命の商品で見積もり)。
- 定期保険(掛け捨て) 月額4,560円
- 終身保険(貯蓄型) 月額21,615円
このシミュレーションでは、月々の保険料が5倍近くにまでなりました。
ムダが出にくい掛け捨て保険は、収入保障保険
定期保険と収入保障保険の、死亡保険金の仕組みを図にすると、下のようになります。
定期保険は、契約期間内であれば、いつ亡くなっても同一の金額が出ます。
一方、収入保障保険は、亡くなる時期が満期に近くなるほど、保険金額は少なくなります。
収入保障保険の方が損に見えるかもしれませんが、実はこの方が合理的です。
亡くなる時期が遅くなるほど、子供の経済的自立の時期に近くなるので、必要な保険金額が少なくなるからです。
もちろん、保険料も、収入保障保険の方が安くなります。
迷うくらいだったら、終身保険に加入した方が良い理由があります。どっちに転んでも、損にならないのが魅力です。
掛け捨て保険は、保険を使わなければ、お金は戻りません。必要のない掛け捨て保険に入るのは、お金を捨てるようなものです。
それに比べると、必要性を感じないで終身保険に入っても、金銭的な損にはなりません。
終身保険が損にならない理由
終身保険では、死亡保障が一生続くので、いつかは必ず死亡保険金を受け取ることができます。
そして、死亡保険金は、払い込んだ保険料総額より大きくなるので、金銭的に損をすることはありません。
なお、途中で解約したら、払い込んだ保険料の一部が戻ります。全額ではないので、途中での解約は損になります
ただし、掛け捨て保険を解約しても戻るお金はわずかなので、それよりはマシです。
どうせ入るなら、早く入る方がおトク
生命保険の保険料は、通常は、加入する年齢が高くなるほど、金額が大きくなります。
それだけでなく、入る時期が遅くなるほど、保険料の総額が大きくなる傾向があります。
オリックス生命の終身保険『RISE(ライズ)』の保険料と解約返戻率のシミュレーションをご覧ください。
それぞれの年齢の男性が、死亡保険金500万円、60歳までの保険料払い込みで加入したときの、保険料総額と解約返戻率(解約したときの戻り率)をシミュレーションしました。
加入年齢 | 月々の保険料 (支払い総額) |
解約 返戻率 |
---|---|---|
30歳 |
10,920円
(3,931,200円) |
110.8%
|
40歳 |
17,470円
(4,192,800円) |
103.8%
|
50歳 |
37,690円
(4,522,800円) |
96.3%
|
早く入るほど、1回あたりの保険料も、保険料総額も、解約返戻率も有利です。
条件が合えば、保険料の合計より、解約で戻る金額の方が、大きくなることもあるのですね!
子供のいる共働き世帯についての、よくある疑問に、Q&A形式でお答えします。
共働き夫婦の妻は、生命保険に平均いくら入っていますか?
生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査』(平成30年度)によると、平均値は以下の通りでした。
- 一人平均1.7件。
- 死亡保険金額876万円
- 1日当たりの入院給付金8,960円
件数
「正規雇用の管理職」が2.6件、「個人事業の経営者」が2.2件、「自由業」が2.3件と多いです。少ないのは「派遣社員」の1.4件です。
死亡保険金額
もっとも高いのが「正規雇用の管理職」の1,737万円なのに対し、もっとも少ない「パート」は743万円と倍以上差がありました。
入院給付金
もっとも高いのが「自由業」の11,330円で、もっとも少ないのが「正規雇用の管理職」の7,950円でした。
それ以外の方々は、上の平均に近い金額でした。
公務員の共働き夫婦にとって、入るべき保険は何ですか?
社会保障とお勤め先の福利厚生を合わせると、スッポリ抜け落ちている保障はありません。ただし、金額が十分かはケース・バイ・ケースなので、点検しましょう。
金額面で不足する危険性が高いのは、どちらかが亡くなられたときの、死亡保険金です。
配偶者の収入、預貯金の残高、遺族年金などで、子供が経済的に自立するまでの教育費用・養育費用をねん出できるか、ご確認ください。
とくに地方にお住まい方は、進学する大学を具体的に想定しながら(下宿して東京の私立大学に通うことになったら・・・等)、ご検討ください。
共働きの妻の医療保険は、どのくらい必要ですか?
医療保険から出るのは、入院費用・手術代などの治療費用です。
出る金額を設定できますが、上限があるので、治療費以外(治療中の家族の生活費など)までカバーするのは難しいです。
よって、医療保険は、立場の違い(共働きか専業主婦か、自営業か被雇用者かなど)で、入り方が大きく変わる保険ではありません。
あくまでも、急に入院・手術してときに保険が必要か、でご判断ください。
不正防止のために、医療保険で設定できる金額は、治療費としての常識的な範囲に限られています。
治療費とは別に、治療期間中の生活費などを準備するなら、就業不能保険などをご検討ください。
40代夫婦は、どのくらい保険に入っていますか?目安はどのくらいですか?
生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査』(平成30年度)によると、40代の保険加入状況は以下の通りでした。
- 世帯主40代前半で世帯加入率92.4%、40代後半で93.3%
- 世帯主40代前半で世帯加入件数4.3件、40代後半で4.4件
- 世帯主40代前半で死亡保険金額は世帯主2,107万円(妻929万円)、40代後半で1,942万円(妻932万円)。
加入率は90%を超えているのですね。ほとんどの世帯が加入しているのですね。
保険は、何十年と続ける可能性があります。まちがった選択をしないよう、専門家を活用しましょう。
生命保険の難しいところいろいろありますがね、次の2点はとくにやっかいです。
- 「~になったら」という仮定が多すぎて、何が正解かの判断が難しい。
- 加入してから実際に使うまでの間に、数年以上のタイムラグがあるため、不良品に気がつきにくい。
商品の仕組みを理解することより、数々の「~になったら」という仮定をしっかり検討することの方が、ずっと難しいです。
そこで、一度は保険の専門家にじっくり相談することをおすすめします。
詳しいことは、
賢い生命保険の入り方
をご覧ください。