格付とソルベンシー・マージン比率

格付とソルベンシー・マージン比率

保険会社が経営状態をチェックするのに、一般的には格付とソルベンシー・マージン比率が活用されます。

ネットなどで保険会社について調べると、格付けソルベンシー・マージン比率(支払い余力)の説明に行き当たります。

格付

いくつかの格付会社が定期的に発表している、生命保険各社の評価です。

生命保険業界ではありませんが、有力な格付け会社には、判断を誤って市場を混乱に陥れた前科があります。その後改善が進んでいるかもしれませんが、格付を信頼しすぎるのは危険です。

とは言え、複数の格付会社がそろって悪く評価している生命保険会社は要注意です。

格付を参考にするときの見方を紹介します。
といっても、わたし流の大ざっぱな見方です。

格付の記号 安全性
AAA または Aaa たぶん安全
AA または Aa 同上
A 同上
BBB または Baa 同上
BB または Ba ちょっと心配
B かなり心配
CCC または Caa 論外
CC または Ca 同上
C 同上

実際の格付けでは、上の表の記号の後ろに+や-の記号が付けられていることが多いです。AA+とかA-というように。AA+ならAAの中では良好、A-ならAの中では低評価、という意味です。

ここで、最新の主な保険会社の格付けを掲載しようと思いましたが、1社を除いてはA-以上の評価、つまり安心できるという評価でした。

そこで、A-よりも低かった1社だけ紹介して、次に進めることにします。A-よりも低かったのは、朝日生命(BB)でした。

ソルベンシー・マージン比率(支払い余力)

法律(保険業法)で定められている、生命保険会社の支払い能力
を表す指標です。
単位は%で、数値が大きいほど安全と考えられます。

問題は、この数値がどのくらいになったら危険なのか、ということ。
公式には200%とされていますが、200%を超えていた複数の保険会社が経営破綻しています。

一連の保険会社の経営破綻の後、ソルベンシー・マージン比率の計算方法は厳しくなりました。
その一方、各保険会社は、経営状態は苦しくても、ソルベンシー・マージン比率が低くならないように、法に反しない範囲で、あの手この手を使っているようです。

というように、ソルベンシー・マージン比率は、保険会社の経営健全性の判断材料として、絶対的なものではありません。

とは言え、他社と比べて目立って不審な保険会社があれば、要警戒です。体裁を取り繕えないくらい弱っている危険がありますから。

2018年3月末のソルベンシー・マージン比率ランキング

個人向けの販売実績がある、すべての生保会社の、ソルベンシー・マージン比率ランキングです。

赤字は、カタカナ系生保、損保系生保です。

1位 ネオファースト生命 5250.4%
2位 みどり生命 4602.2%
3位 メディケア生命 3191.1%
4位 ソニー生命 2624.3%
5位 ライフネット生命 2455.8%
6位 東京海上日動あんしん生命 2348.1%
7位 三井住友海上あいおい生命 1726.7%
8位 アクサダイレクト生命 1723.2%
9位 ソニーライフエイゴン生命 1626.1%
10位 オリックス生命 1566.6%
11位 SOMPOひまわり生命 1513.1%
12位 クレディ・アグリコル生命 1393.4%
13位 T&Dフィナンシャル生命 1258.3%
14位 チューリッヒ生命 1233.9%
15位 大同生命 1206.2%
16位 SBI生命 1172.2%
17位 かんぽ生命 1131.8%
18位 FWD生命 1109.9%
19位 富国生命 1081.2%
20位 三井生命 1068.7%
21位 アフラック 1030.0%
22位 三井住友海上プライマリー生命 992.9%
23位 明治安田生命 990.2%
24位 日本生命 968.0%
25位 フコクしんらい生命 947.2%
26位 マスミーチュアル生命 937.9%
27位 ジブラルタ生命 889.1%
28位 メットライフ生命 883.6%
29位 第一生命 881.8%
30位 住友生命 881.7%
31位 マニュライフ生命 841.9%
32位 太陽生命 835.1%
33位 PGF生命 829.7%
34位 プルデンシャル生命 822.1%
35位 朝日生命 815.4%
36位 楽天生命 799.5%
37位 アクサ生命 780.9%
38位 エヌエヌ生命 779.6%
39位 第一フロンティア生命 574.5%

表全体を見回すと、半数が1000%を超えています。
最下位の第一フロンティア生命ですら574.5%なので、200%という基準を余裕でクリアできています。

これを見る限り、差し迫って、経営状況が危ぶまれる生保会社は見当たりません。むしろ、前前年、前年と比べて、企業体力は全体的に向上しているようです。

あいにくと、このサイトでは、格付もソルベンシー・マージン比率も、さほど参考していません。

実際に使おうとすると、格付にもソルベンシー・マージン比率にも欠点があって、あまり参考になりません。

気になる保険会社ほど格付がない

格付会社は、ボランティアで格付を判定して公表しているわけではありません。

保険会社など格付を取得したい企業が、格付会社に費用を払って依頼します。

また、格付をするにはある程度業績の蓄積が必要になります。歴史の浅い会社だと、評価が難しいです。

そうしたことの結果、知名度の低い若い会社ほど、格付が無いという状況になっています。

むしろ、そういう会社こそ、格付(プロによる評価)を知りたいのですが・・・がっかりです。

ソルベンシー・マージン比率は変動しやすい

決算の数字をもとに算出されるソルベンシー・マージン比率は、客観性が高いです。

ただし、複数年のソルベンシー・マージン比率を見比べると、意外と変動が大きいです。というか、大きすぎます・・・

たとえば、アクサダイレクト生命を例に挙げると・・・

2019年度 1335.9%
2018年度 1803.5%
2017年度 1723.2%
2016年度 2190.4%

4年度とも良好な数字ですが、1年で数百パーセントも変動しています。

これだけ変動が頻繁かつ大きいと、判定基準として、あてにしにくいです。

このサイトでは、「苦情発生率」「解約失効率」「新契約率」の3つを基準に、保険会社の良し悪しを判定しています。

詳しくは、以下の《関連するページ》の該当ページをご覧ください。