保障の充実度で収入保障保険を比較

保障の充実度で収入保障保険を比較しました

収入保障保険の保障の充実度は、病気・ケガで就労できないときの、保障の厚さが決め手です。

収入保障保険のメインの機能は、死亡保険です。世帯主が亡くなったときの、遺族の生活費の準備です。

しかし、収入を保障してほしいのは、世帯主が亡くなったときだけではありません。
世帯主が、病気・ケガで働けなくなったときにも、収入は減るか、無くなってしまいます。

そうなると、生活費と治療費の両方を確保しなければならないので、金銭面だけで考えると、亡くなるより深刻かもしれません。

収入保障保険の、保障の充実度を比較するなら、こうした療養中の収入保障に注目です。

病気・ケガにより、就労できなくなるケースは、大きく3つのパターンが考えられます。

病気・ケガの療養で働けなるケースは、いろいろと考えられます。お金に着目すると、3つのパターンに分けられます。

  • 完治できて、仕事に復帰できるケース。
  • 完治が難しく、治療を受けながら、仕事を続けるケース。
  • 障害や要介護状態のために、仕事に復帰できないケース。

完治できて、仕事に復帰できるケース

健康保険、船員保険、各種共済組合等に入っている人は、最長1年6ヶ月を限度に、傷病手当金をもらうことができます。傷病手当金は、それまでの収入の3分の2くらいになるので、大きいです。

会社員や公務員なら、勤務先の福利厚生制度に、役立つものがあるかもしれません。

これらを活用しても心細いようなら、保険商品などを使って、自分で対策しましょう。

個人事業主・自営業者は、通常は国民健康保険に入っているはずですが、国民健康保険に傷病手当金はありません。よって、療養中の治療費・生活費を、自分で確保しなければなりません。

治療を受けながら、仕事を続けるケース

がんのような再発する病気や、腎不全のように慢性化しやすい病気にかかると、仕事を続けながら治療に取り組む、ということがあり得ます。

入院・療養が必要になったら、仕事を休まなければなりません。
また、発病前と同じように働くことは難しくなって、負担の軽い職場や職種に変更、という可能性もあります。

このような状況に対して、公的制度による支援は乏しいです。

がんの他に、統合失調症・うつ病などの精神の疾患、腎臓や関節の障害など、さまざまあります。

障害や要介護状態のために、復帰できないケース

健康状態としては、3つのうちで、最悪のケースです。
このような状況に、個人の力だけで対策するのは困難です。社会福祉制度を活用することになります。

そして、活用できる制度はいろいろとあります。障害年金、公的介護保険、障害者手帳の交付、生活保護、地方自治体の支援制度などです。

生命保険の活用する場合、これらを補う資金という位置づけになりそうです。

最も不安定なのは、治療しながら仕事を続けるケース

上の3つは、どれも不安になりますが、特に心配されるのが、「治療を受けながら、仕事を続けるケース」です。
社会福祉制度などの、公的な援助が薄いので、自助努力の割合が高くなります。

万が一こういう状況になったときに、役に立ってくれる収入保障保険こそ、手厚い保険と言えそうです。

収入保障保険の中には、就労できないときにも、役に立つ商品がいくつかあります。

収入保障保険は、基本は死亡保険ですが、そのうちのいくつかは、特約を付加することで、療養で働けないときに、保険金・給付金を受け取ることができます。

SOMPOひまわり生命『じぶんと家族のお守り』

同社の収入保障保険はリニューアルされて、2018年4月に『じぶんと家族のお守り』として生まれ変わりました。

リニューアルされた点の一つが、就労不能の保障の強化です。3つの特約が新設されました。

就労不能保障特約
以下のいずれかに当てはまったら、保険期間満了まで年金が出る。
  • 国民年金法の障害等級1級または2級になる。
  • 同社所定の就労不能状態になる。
メンタル疾患保障付七大疾病保障特約
以下のいずれかに当てはまったら、所定の期間(2年か5年)年金が出る。
  • 七大疾病により同社所定の状態にになる。
  • メンタル疾患により60日以上の継続入院する。
七大疾病・就労不能保険料免除特約
上の2つの特約のどちらかの条件に当てはまったら、以後の保険料の払込みが免除される。

3つの特約は、それぞれ役割が異なります。就労不能への対策としては、3つの特約すべてを付加したいです。

T&Dフィナンシャル生命『家計にやさしい収入保障』

特定疾病収入保障特則を付加すると、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)により所定の状態になったときに、特定疾病年金を受け取ることができます。年金の期間は、1年間、5年間、保険期間終了までの、3つの中から選べます。

所定の状態とは・・・

  • 初めてがんと診断確定されたとき。
  • 急性心筋梗塞を発病し、手術を受けるか、20日以上入院をしたとき。
  • 脳卒中を発病し、手術を受けるか、20日以上入院をしたとき。

のいずれかを指します。

さらに特定疾病保険料払込免除ワイド特則を付加すると、三大疾病で所定の状態になったら、それ以後の保険料払込が不要になります。

所定の状態は、上の特定疾病収入保障特則に準じますが、急性心筋梗塞と脳卒中は20日以上の入院ではなく、入院すれば即所定の状態に認定されます

チューリッヒ生命『収入保障保険プレミアム』

ストレス性疾病保障付就業不能保障特約を付加すると、所定の就業不能状態になったときに、保障期間満了まで毎月年金受け取ることができます。

所定の就業不能状態とは・・・

  • 初めてがんを原因とする入院または療養により、就労ではない状態が60日を超えて継続したとき。
  • 急性心筋梗塞を原因とする入院または療養により、就労ではない状態が60日を超えて継続したとき。
  • 脳卒中を原因とする入院または療養により、就労ではない状態が60日を超えて継続したとき。
  • 肝硬変を原因とする入院または療養により、就労ではない状態が60日を超えて継続したとき。
  • 慢性腎不全を原因とする入院または療養により、就労ではない状態が60日を超えて継続したとき。
  • 不慮の事故による身体障害を原因とする入院または療養により、就労ではない状態が60日を超えて継続したとき。
  • ストレス性疾病を原因として、60日以上を超えて入院したとき。

のいずれかを指します。

また、ストレス性疾病とは、以下のような病気を指します。


  • 統合失調症など
  • 気分[感情]障害(うつ病など)
  • 神経症性障害など
  • 摂食障害
  • 非器質性睡眠障害
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 潰瘍性大腸炎
  • 過敏性腸症候群
  • 更年期障害

統合失調症とか気分[感情]障害のような、精神的な疾患は、治療が超長期化しやすく、深刻です。
現時点で、曲がりなりにも、対応している収入保障保険は、これだけです。

東京海上日動あんしん生命『家計保障定期保険』

5疾病・重度介護家計保障特約を付加すると、以下のいずかの場合に、給付金を毎月受け取ることができます。

  • 5疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全)により、就業不能状態が60日を超えて継続したとき。
  • 病気やケガによる所定の要介護状態が180日を超えて継続したとき。

受け取る期間は、2年間、5年間、または保険期間の満了までのどれかを、加入するときに指定します。

その他に、上の5疾病の治療を目的として入院すると、5疾病初期入院給付金が出ます。金額は、上の特約給付金月額の2ヵ月分です。

三井住友海上あいおい生命『&LIFE 新総合収入保障』

同社は、『&LIFE 新収入保障』『&LIFE 新総合収入保障』の、2つの収入保障保険を販売しています。その実体は、一つの商品の、2つのプランなのですが・・・

このうち、『&LIFE 新総合収入保障』を選ぶと、就労不能のときに給付金が出ます。II型、III型の2つのタイプが用意されています。

死亡・高度障害のときに保険金が出るのは当然として、その他に、以下の年金が組み込まれています。

年金の種類 II型 III型
生活障害年金
生活介護年金
特定就労不能障害年金

III型が、もっとも手厚い収入保障保険、と言えそうです。

ところで、上表りそれぞれの年金の、支払条件は、下のようになっています。

年金の種類 支払条件
生活障害年金
  • 国民年金法の障害1級。
  • 所定の障害状態になったとき。
生活介護年金
  • 公的介護保険制度の要介護2以上。
  • 65歳未満で、生活介護状態が180日以上継続。
特定就労不能障害年金
  • 所定の病気により国民年金法の障害2級。
  • 約款所定の就労不能状態になったとき。

各年金とも、国民年金法や公的介護保険制度の認定基準と連動しています。
他社に比べると、年金の支払条件はかなり厳しいです。

メットライフ生命『マイディアレスト』

II型(三大疾病保障付コース)を選ぶと、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)により所定の状態になったときに、特定疾病年金を2年間、受け取ることができます。

所定の状態とは・・・

  • 初めて、医師によるがんの診断が確定したとき。
  • 心疾患により、所定の手術を受けるか、継続20日以上入院したとき。
  • 脳血管疾患により、所定の手術を受けるか、継続20日以上入院したとき。

のいずれかを指します。

保険の専門家のアドバイスを受けながら、保障内容と保険料のバランスを比較して、加入する商品を選びましょう。

上で6つの商品をご案内しました。このうち・・・

三大疾病による就労不能に絞って保障

上の収入保障保険のうち、三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)による就労不能にしぼって保障するのが、以下の3商品でした。

  • T&Dフィナンシャル生命『家計にやさしい収入保障』
  • メットライフ生命『マイディアレスト』

三大疾病は、日本人が最も警戒すべき重病です。しかし、就労不能の原因は、これだけではありません。
そういう意味では、不安を根本的に解決するより、半ば気休めに近い対策とも言えます。

これらより、保障する範囲を広げているのが、以下の2商品でした。

就労不能の保障範囲をさらに拡大

上の3商品と比べて、就労不能の保障範囲をさらに拡大したのが、以下の商品です。

  • SOMPOひまわり生命『じぶんと家族のお守り』
  • チューリッヒ生命『収入保障保険プレミアム』
  • 東京海上日動あんしん生命『家計保障定期保険』

この3つの中では、東京海上日動あんしん生命は、精神的な病気になる就労不能をカバーできません。よって、他の2つの方が、保障の範囲は広いです。

保障範囲は広そうだけど、微妙なのが・・・

一見、保障範囲は広いように見えるけれど、支払条件が厳格であるために、さほど広くなさそうなのが、三井住友海上あいおい生命『&LIFE 新総合収入保障』です。

この商品の特定就労不能障害年金は、たくさんの病気に対応しているものの、支払条件を見ると、「両眼の視力の和が0.05~0.08」「上肢のすべての指を欠く」「体幹の機能に、歩けないくらいの障害」というように、厳しい条件が並んでいます。

がんの入院くらいでは、年金をもらうことができません。
障害年金とか、公的介護保険を肉付けするための保険、という位置づけのようです。それはそれで、意味のあることですが・・・

保障内容と保険料とのバランスで選ぶ

ここまで、就労不能のときの収入保障に焦点を当てて、収入保障保険を比較しました。

保障は、手厚いに越したことはありません。しかし、充実させるほど、保険料も高くなります。
後は、保障内容と保険料とのバランスをチェックして、最終決断していただきたいです。

保障内容を比較するにあたっては、各社の商品り違いが細かい上に、社会福祉制度などの知識も必要になります。
保険の専門家の有効活用を、お勧めします。

生命保険を比較して選ぶ、手軽で安心な方法は、

賢い生命保険の入り方
をご覧ください。

就業不能の保障をもっと充実させたいなら、就業不能保険の単体商品を検討しましょう。

収入保障保険に特約を付けて、就業不能による収入減を保障する方法を、上で説明しました。

残念ながら、どれも使えるケースが限られています。就業不能になる原因が限定されている(三大疾病、5疾病など)ためです。

現実には、原因が何であろうと、仕事が出来なくなって、収入が減少したり無くなったら、困ります。
就業不能になったら、何が原因だろうと、保険金・給付金が出る保険を欲しくなります。

就業不能保険

就業不能になったときに、収入を補ってくれる保険は、最近になって商品が増えつつあります。

保険業界においては、まだ発展途上のジャンルなので、公認の名称はありませんが、就業不能保険、生活障害収入保険などと呼ばれています。

たとえば、日本生命の『ニッセイ就業不能保険』だと、以下のどれかに該当したら、就業不能給付金が出ます。

  • 病気・ケガで入院した場合。
  • 健康保険の対象となる治療として、医師の指示により、在宅療養した場合。
  • 国民年金法の1~2級障害に認定された場合。

さらに、以下のどれかに当てはまると、特定疾患就業不能給付金が出ます。

  • 所定の精神・神経疾患により、入院した場合。
  • 精神・神経障がい等級2級以上に認定された場合。

所定の精神・神経疾患には、統合失調症や気分[感情]障害などの他に、アルツハイマー性認知症や飲酒による障害なども保障されます。

就業不能専門の保険商品だけに、収入保障保険の特約より、カバーできる範囲は広いです。

収入保障保険と就業不能保険を組み合わせる

世帯主が亡くなっても、病気・ケガで働けなくなっても、家族のために手厚い保障を用意したい、ということなら、収入保障保険と就業不能保険の組み合わせをお勧めします。

その場合、収入保障保険はあくまでも死亡保険として加入します。

収入保障保険と就業不能保険を組み合わせる

贅沢な組み合わせですが、いざというときの資金を自分で確保しなければならない個人事業主・自営業者の方々には、検討していただきたいです。

収入保障保険も就業不能保険も、まだ新しいジャンルです。保険の専門家に相談しながら、各社の商品を比較し、納得して加入しましょう。

就業不能保険は発展途上のジャンルですし、収入保障保険もわりと最近になって広まったジャンルです。

ことに就業不能保険は、新しい上に、社会福祉制度とかかわりがあります。それについての知識が無いと、各商品の保障内容の評価や比較が難しくなります。

漠然とした評判で決めるのではなく、保険の専門家に相談しながら、各社の商品を比較し、納得して判断していただきたいです。

生命保険を比較して選ぶ、手軽で安心な方法は、

賢い生命保険の入り方
をご覧ください。

収入保障保険は死亡保険ですが、高度障害状態(重い障害状態)になっても、保険金は出ます。

収入保障保険は、基本的に死亡保険です。しかし、ほとんどの収入保障保険では、死亡だけでなく、高度障害状態(重い障害状態)になっても、保険金が出ます。

高度障害状態とは、以下のいずれかを指します。

  • 両眼の視力を全く永久に失ったもの
  • 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
  • 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
  • 両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失ったもの
  • 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

高度障害状態でも保険金が出るのは、収入保障保険だけではありません。
というか、ほとんどの死亡保険(定期保険、終身保険など)に当てはまります。

万が一そういう状況になったら、お忘れなく、保険会社に申し出てください。